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空白小説大賞 結果発表

考え中のこと

こんにちは。氏田雄介です。
大変お待たせいたしました！今年4月の『空白小説』刊行にあわせて開催した「空白小説大賞」の結果を発表します！
今回、おかげさまで870作品ものご応募をいただきました。『空白小説』の著者3人でひとつひとつ目を通し、最優秀賞・優秀賞・各審査員賞の計5作品を選出しました。

空白小説大賞とは？

『空白小説』は、同じ「書き出し」と「結び」から、全く異なるストーリーが展開されるショートショート集です。小説家の小狐裕介さんと脚本家の水谷健吾さんとの共著で、今年の4月にワニブックスさんから刊行しました。第一章を無料で公開しているので、ぜひ読んでみてください。

そんな空白小説を皆さんにも楽しんでもらおうと開催したのが、「空白小説大賞」です。お題は「吾輩は猫である」で始まり「名前はまだない」で終わる物語。みんなが参加しやすいように文字数は500文字程度としました。

結果発表

それでは、870作品の中から選ばれた5作品を発表します！


最優秀賞

作者：そいらてさん


「吾輩」というクセのある一人称も、それがライオンの言葉なら確かに納得。書き出しと結びの違和感がなくキレイなオチもついている、お手本のような「空白小説」でした。（氏田）

空白小説大賞をショートショートの賞と捉えるならば最優秀賞に一番相応しいのはこの作品だと思いました。短い中に驚きがあり、かつ書き出しと結びが自然につながっている。非常に完成度の高い作品だと思います。（小狐）

王道のオチでありながらも、その予感を全く感じさせない素晴らしい文体で、１次審査、２次審査、最終審査と最低３回は読んでいるはずなのに毎回「やられた」と驚いていました。おめでとうございます！（水谷）


優秀賞

作者：FUSAKOさん

書き出しと結びの縛りがあることを感じさせない素晴らしい完成度。短い中にも心をグッと掴まれる言葉が溢れていて、何度も読み返したくなります。（氏田）

個人的にとても好みの作品で、こんな場所が世界のどこかには存在するのかもな、と思わされました。「かくかくしかじか、まるまるねこねこ」というフレーズが好きで、作者のセンスの良さが表れている一文だと思います。（小狐）

駅長猫のセリフが印象的な作品でした。帽子を頭に乗せながら話す彼の言葉は可笑しくも優しく、そこから想像できる世界の居心地の良さを感じられる秀作でした。（水谷）


氏田賞

作者：たはらかにゃーさん

唯一無二の書き出しに惹きつけられました。猫が奮闘する光景を思い浮かべながら、絵本のような感覚で楽しめました。ピンポン玉の肉球がカツカツ鳴ってしまうところが好きです。（氏田）


小狐賞

作者：𝚖𝚒𝚗𝚝さん

この作品は一次選考の段階から私の中では一つ別格な作品でした。短い文章の中で、色々な見方をさせてくれる作品だと思っています。「茶トラで白い足」という特徴のある猫なので、きっとあだ名ではたくさん呼ばれていると思うんです。「トラちゃん」とか「（足が白いので）足袋」などなど……。だけど、この猫自身は「名前はまだない」と思っている。呼ばれている名前（愛称）を名前だと思っていない、という一匹の猫の感情のようなものを感じ取りました。もしかしたら飼い猫も飼い主がつけた名前を名前とは思っておらず、何か自分を呼ぶ時の掛け声のようなものだと思っているのかもしれない、そんな気づきを与えてくださった作品でした。（小狐）


水谷賞

作者：適糖酸さん

「まだない」を名前にする作品はいくつもありましたが、最後までそのオチに気付かせない設定はお見事でした。書き出しも「吾輩は猫である」を上手に活用しており、個人賞とさせていただきました。（水谷）

＊

最優秀賞のそいらてさんには50,000円分のAmazonギフトカード、優秀賞と審査員賞の4名には5000円分のAmazonギフトカードを差し上げます。
受賞された5名の皆さま、おめでとうございます！そして、空白小説にチャレンジしてくださった皆さま、ありがとうございました！

この5作品以外にも素敵な作品がたくさんあるので、Twitterで #空白小説 で検索してみてください。そして、書籍『空白小説』の方もよろしくお願いします！


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