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みんなの54字の物語 Vol.1「扉」

こんにちは。氏田雄介です。みなさんから自作の「54字の物語」を募集したところ200以上の作品が集まりました!ありがとうございます!

テーマは「扉」。今回は、個人的に選んだ10作品を紹介したいと思います。まずは、最優秀賞から。

最優秀賞

部屋のドアや、どこでもドア、心の扉といったモチーフを使った作品はたくさんありましたが、「河原の石が異世界への扉になっている」というアイデアは他にありませんでした。54字の中にちゃんと時間軸があって、前半の「?」を後半で回収しているのが良いですね。人によって解釈の変わりそうな不気味さも好きです。

ちなみに、今回ネタカブりの多かったモチーフはこちら。

・ひらけゴマ 系
・どこでもドア 系
・心の扉 系
・「扉=戸・非」 系

優秀賞

続いて、優秀賞2作の発表です。

もしも身体がはさまっていたら……。理想的な「意味がわかると怖い」54字だと思いました!

上手い!落語みたいな綺麗なオチ。ダジャレ・言葉遊び系は取っ付きやすこともあって応募数が多いのですが、その中でも抜群の作品だと思いました!

続いては、気になった作品の紹介……の前に、次回のお題の発表です。

次回のお題

第2回
お題: 「星」
〆切:2020年5月22日 23:59
応募:#54字の物語 #星 をつけてツイート

どしどしご応募ください〜!

気になった作品

機嫌を損ねて鍵を開けてくれないのは、家族……ではなく、AIのアレクサ。最後の数文字で、想像していた情景がひっくり返ってしまう。これこそ54字の醍醐味だと思います。

青年が扉の前に長時間立ち続けたから「時間切れ」の文字が現れたのか。それとも、青年が扉を開ける前から既に「時間切れ」と書かれていたのか。書籍版とは毛色の違う、大人向けの渋い54字ですね。

どこへでも行ける扉だと思っていたら、どこからでもアクセスできる扉だった……という裏切りが良いですね!ただ、考えば考えるほど、この扉のメカニズムがわからなくなってきました。僕が理解できていないだけかもしれませんが。54字の文字数制限の中で、この世にないテクノロジーや概念を説明するのは難しいですよね。

有り余るお金を持っている大富豪が、金庫の中に大切にしまっていたのは、子どもの頃の思い出。一番最後の扉は、子どもの頃に自分で作った紙の箱だったりするのかななどと想像するとほっこりします。

結末までは書かずに不気味な結末を予感させるのが良いですね。小説の冒頭のようにも見えます。1点挙げるとすると、「壁だと思っていた」と「壁だと思い込んでいた」がほぼ同じ意味なので、別の表現にした方が良いと思いました。「それは壁だと思っていた。疑ったことすらなかった。ましてや、その向こうに何があるかなんて考えたこともなかった。」とか。

まず、「54文字ぴったり」が最低限のルールなので正式にはルール違反なのですが、アイデアが面白いと思いました。「楽園」と書かれた扉があり、それを開けると、今まで自分がいた場所が「楽園」だったと知る。ONE PIECEのグランドラインと同じですね。(わかる人にはわかる)

面接で物理的に「落とされて」しまう、というネタ。このままでも面白いのですが、「面接で落とされた。」を冒頭に持ってくるとより良くなると思いました。また今回のテーマを無視していいなら「扉をノック」の部分をなくして、面接でヘマをして床が抜けるところを厚くしてもよさそうですね。

今回は以上です!!54字の物語の解釈や良し悪しの尺度は、読み手の自由です。あくまで僕がつくる時の基準で選考・コメントさせてもらいました!!

改めて、次回のお題を掲載しておきます。

次回のお題

第2回
お題: 「星」
〆切:2020年5月22日 23:59
応募:#54字の物語 #星 をつけてツイート

作例

画像1

(『54字の物語 怪』より)

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