若手作家座談会vol.2!2020年ブレイク芸人をガチ予想してもらいました
放送作家・立川ヒロナリが独自のネットワークで集めた、あらゆるジャンルで活躍する作家3名とともに座談会を実施。その様子を全3回に渡ってお届けします。2回目のテーマは「2020年ブレイク芸人予想」。読者の皆さんも想像しながらご覧ください!※この座談会は12月2日に実施しました。
参加作家プロフィール
エレファントかさ増し:若手のライブシーンを中心に活動している構成作家。大喜利ライブ「喜利ン児」企画構成、「寄席明」「池袋ボンバーズ」主催など。YouTubeでは「大喜利ペイペイヨ」「ナイチンゲールダンスのサタデーナイチンフィーバー」などを担当。
西塔徹成:作家歴1年目の放送作家。学生時代は日本大学経商法落語研究会の代表を務める。普段は無限大ホールでライブの構成やYouTubeのネタ出しを担当。
芝山大補:元芸人でKOCセミファイナリスト。現在はネタ作家、土佐兄弟、他300組以上とネタ会議。ネタの作り方を教える「笑わせ学」という講演会も開催している。過去の取材記事はこちら。
立川ヒロナリ:テレビ番組のアシスタントディレクターを経て放送作家へ。テレビ番組・Abema TV・ラジオ番組・You Tubeチャンネル・お笑いライブの構成などを手がける。
立川:前回のテーマは「『おもしろ荘』出演者予想」でしたが、今回はそれぞれの理論を聞きたいのでなるべくかぶらないでほしいなと思います。改めてですけどここで誰もボケないんですね。
芝山:そりゃあ仕事に関わってますからね(笑)
立川:たしかにそうなんですけど、もう売れてるよみたいな人を入れるとか…
芝山:それは1回やっといたらよかったかな。アンタッチャブルさんとか今確実に仕事のオファー殺到してそうだよね。じゃあ出そうか!せーの
立川:あー、やっぱりちょっと近いね!じゃあこれも1人ずつプレゼンしていきましょう。
放送作家・立川ヒロナリの予想
トンツカタン森本 / 三戸キャップ(THE GREATEST HITS) / 納言
立川:僕はやっぱりフワちゃんの周りがブレイクするんじゃないかなと思います。中でも森本さんは誰と絡ませてもおいしくするっていう、フワちゃんに対しても猛獣使いの感じがあったんですよ。もちろんフワちゃんは単体でもおもしろいけど、若手芸人界隈で1番上手く使いこなしてるのは森本さんだと思います。『フワちゃんブレイク会議』というイベントを手伝ったときに特に感じたんですけど、返しの速さとか例えを出すのが速くて、他の芸人が10秒あったら思い付くような例えをぱっと出せる感じです。
西塔:みんなが2個目に出すくらいのやつを1個目から出してきますよね。
立川:5秒とか10秒で思い付くようなことを間髪入れずに1秒くらいでぱっと。
芝山:高速なんだよね。
立川:それは引き出しとかもすごいし、知識があるからできることだと思います。
かさ増し:あと、スルーを絶対しない。絶対に拾うっていうのと、絶対にその人をすべらせないですよね。
芝山:それかっこいいよね。
立川:本人も「突き放すようなお笑いはあんまり好きじゃない」と言ってたんですよ。それが若手界隈だけじゃなくていわゆるテレビでもいける感じはあるなと思います。
一般の人と絡んだときも相手をおいしくするし、安打製造機というか、誰と絡んでも笑いを作り出せるって感じがします。
かさ増し:MCとかにすぐ収められる感じですよね。めちゃくちゃスキルありますし。
立川:僕は霜降り明星の粗品さんくらいすごいと思うんですよ。トンツカタン自体でも『おもしろ荘』に出たりとか、テレビに出てる長さは結構あるので、芸人以外の人と絡んでるところをもっと見たいですね。逆にあえておもしろくない人と絡むことによって、腕が試される気がします。
かさ増し:『スペシャのヨルジュウ』っていう音楽番組の天の声をやってるのでR-指定さんとかchelmicoさんとも仲が良いし、好かれてますよね。
芝山:返してくれるから嬉しいとかもあるんだろうね。
かさ増し:みんな森本さんにツッコまれたくて楽屋でボケますからね(笑)
立川:続いてTHE GREATEST HITSの三戸キャップさん。近年の流れとしてあるあるモノマネの人がブレイクしそうというのはあるんですけど、その中でも特に僕は三戸キャップさんのネタのテイストがすごい好きなんです。90年代生まれの人のあるあるがうまいのはもちろん、こないだはメンタリストDaiGoのモノマネでバズったり、たびたびバズってるのでタレントで好きな人も結構増えてきてる印象です。
芝山:プリッとChannelにも出てるもんね。そこの繋がりもあるし、しかもやってること自体そもそもおもしろいしってことだよね。「そこやるモノマネ」って言葉が流行りそうだと思うよね。
立川:同じあるあるモノマネの系統でいくと、元LOVEのたつろうさんが『ザ・細かすぎて伝わらないモノマネ』で優勝しましたけど、もっと露出してもいいのになと思います。
納言は安部さんの方が特に好きで、特にテレ東の佐久間さんがじゃない方芸人にスポット当てるのがめちゃくちゃ早くて、もうイジり始めてるんですよ。こないだ『ゴッドタン』にも出てました。童貞だったりして、イジれる部分はたくさんあります。幸さんもすごくうまいし、有吉さんが番組でみんなにあだ名を付けてたみたいに、共演者の出身地やよく行く街を聞いて街ディス千本ノックみたいになりそうだなって。
かさ増し:こないだ『有田ジェネレーション』で何かありましたよね。
立川:そうそう!オープニングで女性タレントにめちゃくちゃ悪態付くのがおもしろくて、足立梨花に対して「やる気のない立ちんぼ女みたいだな」とか、別の女性タレントには「おまえは頑張った日のご褒美にハプニングバーに行きそうな女だな」とかめちゃくちゃ言ってて(笑)
芝山:それがスパっと出るのすごいね。それだけ「返し」の引き出しあるならブレイクしそう。
立川:元子役で『1リットルの涙』にも出てたみたいなので、深掘りしたくなる要素はたくさんある方だと思います。
構成作家・エレファントかさ増しの予想
空気階段 / かが屋 / トンツカタン森本
かさ増し:僕はもう世に出てはいる人達を選びました。お笑い好きじゃない人に認知されるまでもう少しみたいなイメージです。空気階段は月1で一緒になるんですけど、もう2人とも結婚して、どんどんマイルドになってきてるというのと、キャラクターが乗っかっててかなりわかりやすいなっていうのがありますね。今はテレ朝の『かみひとえ』のスピンオフ番組でMCをやったりしてますけど、TBSでラジオをやってるのでそこから派生したりとか、『水曜日のダウンタウン』とかも多分もっと出てくるんじゃないかなと思います。納言の安部さんみたいに、かたまりさんもかなりイジるところがあるんですよ。
西塔:テレビを禁止されてたりとかしますよね。
かさ増し:金八先生を禁止されてたりですよね。「偽善だから」って理由で(笑)
西塔:親がちょっと独特な人みたいですよね(笑)
かさ増し:ラジオを聴いてても、もぐらさんは喋り方が賢いうえに知識量もすごくて博識なんだなと感じました。その点もさらに活躍が期待できるかなと思います。
かが屋はもう本当に、あとは仕事をこなしていくだけっていう印象です。
芝山:トンツカタン森本くんと、かが屋はもう飛び立つだけみたいな位置に達したよね。
かさ増し:今も再現VTRに出てたりするので、あとは時間の問題かなと思います。CMにも出てたりするので。
立川:『グランメゾン東京』にも出てたよね。
かさ増し:そうですね。コンビの仲が良ければ良いほど見る側はほっこりするじゃないですか。霜降り明星とかもそうですけど、この2人はすごい仲良く見えるし、ロケでも2人とも優しくて安心して見られるとか、ちょっと見守りたくなる。やっぱそういうのがみんな好きなので、ゴールデン帯の人にはさらにハマっていくのかなと思います。嫌味もまったくないし。
森本さんはさっき言った通り、誰と絡んでもうまいし、フワちゃんが世に出たのでそこの界隈で見つけられるんじゃないかなと思います。
放送作家・西塔徹成の予想
ラフレクラン / サツマカワRPG / ラランド
芝山:ラフレクランさんもたしかにブレイクしそうだよね。
西塔:ラフレクランさんはずっと売れてるっちゃ売れてるくらいの若手で、でももう一歩、EXITくらいまで跳ねてもいいんじゃないかなという感じはあります。ネタもコントも漫才もおもろいけど、賞レース系ではなかなかってところを今年『NHK新人お笑い大賞』で優勝して。
立川:箔が付いた感じだよね。
西塔:そうですね。西村さんは元アナウンサーという背景があって、顔もかっこいいしMCもできる。きょんさんはTik Tokにギャグを上げたり芸達者で、おもろい方としっかりした方みたいにそれぞれ役割分担されてる印象です。『嵐にしやがれ!』にゲストで出て、そこから嵐ファンに見つかってちょっと人気が伸びたという話も聞きました。
かさ増し:ジャニーズのタレントさんと仲良くするとめちゃくちゃ味方がつくみたいなジンクスありますよね。
西塔:そういうのもあって、各所に見つかっていくんじゃないかなと思います。
サツマカワRPGさんは今3人で怪奇!YesどんぐりRPGをやってて、常に新しい見せ方で失速しないようにしてるし、すごいなと思ったのは、台風の日に家から出られない人に向けてずっとショートコント動画を上げ続けていたんですよ。そういうことをずっとやり続けられる人って続けたらどこかで何かにハマる瞬間が出て、単体なのか今の形かわからないけど、今以上に認知されていくと思います。
『おもしろ荘』の座談会でも出したラランドはここでも挙げました。ネタで評価されてますけど、さーや自身が天才すぎるというか、元子役で演技もすごいできて、歌もうまいんですよ。そういうさーや自身のタレント性みたいなのが、ネタでブレイクした後に彼女だけでも売れる何かがあるんじゃないかなと思います。2020年よりもっと先になるかもしれないですけど、それこそ渡辺直美さんみたいなことになる可能性も秘めてるんじゃないかなって。
芝山:たしかになあ。
立川:以前ラランドさんを取材したときに驚いたんですが、さーやさんはポケモンを全然知らないんですよ。結構カルチャーに精通してるイメージがあったので、それはそれで新しいなと思いました。『ダウンタウンのごっつええ感じ』がすごい好きで、小学生のときは話が合わなかったそうです。
芝山:今の人あんまり『ごっつええ感じ』見てないですよね。
立川:僕はほぼ通ってなくて。
西塔:僕も通ってないです。
かさ増し:僕もダウンタウンさんはそこまで強いイメージがなくて。
芝山:やっぱそうなんだ。『笑う犬』の方が見てた?
かさ増し:そうですね。『水10!』とか。
立川:第7世代はそうだと思います。
芝山:結構差があるよね。だからダウンタウンさんの影響下にいるかいないかで多分これからのお客さんに届けていくものは変わっていくんじゃないかな。僕らの世代が生み出す笑いって、もう若い世代には古く感じられてるのかもしれないね。
立川:同世代の芸人さんに誰に影響を受けたのか聞くと、大体バナナマンさんやおぎやはぎさんとか、エンタの初期のアンジャッシュさん、ドランクドラゴンさんを挙げますね。ダウンタウンがすごいっていうのがなんとなく中高生くらいで知って、『遺書』を買ったりはしましたけど。
芝山:コントとかトークはあんまり見てない?
立川:見てたりはしましたけど、多分全盛期を見てないと思います。
芝山:それは結構差がありそうだね。
立川:『HEY!HEY!HEY!』とかのイメージが強いです。
かさ増し:ほぼMCしてるイメージですよね。
芝山:なるほど。僕らで言うととんねるずさんみたいな感じかもしれないね。
ネタ作家・芝山大補の予想
にぼしいわし / オズワルド / 土佐兄弟
芝山:にぼしいわしはもう『THE W』でしっかりウケると思ってて、「おもろいやつが出てきたな」と世間に知られるんじゃないかと踏んでます。
立川:しかも今年の『THE W』は芸人審査員になったので、優勝もありえそうですよね。
芝山:ネタをどこまで持ってるかわからないけど、M-1の3回戦のネタはおもろかったので、それで番組作ってる人達に、番組に出したいなと思われることを願ってます。
オズワルドに関しては、M-1準決勝残ってるっけ?
かさ増し:残ってますね。
(※この座談会は12月2日に行われました)
芝山:彼らは多分ここからさらに進化していくっていう過程かなと思ってて、M-1で優勝できるかわからないけど、決勝に出て世に知られるんじゃないかな。
かさ増し:伊藤さんは声も良いですよね。
芝山:そうだよね。声が良くてずっと聞いてられる。あとちょっと人間的にダメな部分があるやん。ライブを寝坊してツイッターで他の芸人が呼びかけたりしてたけど、結局仕事を飛ばしてしまった。僕はSNSでしか見てないから経緯はわからないけど、ちょっとその寝坊してしまうにダメ人間さに惹かれてしまう。おもろい人はどこかダメな部分を持ち合わせてると思ってるんですよ。あと伊藤くんは愛されてるんだろうなと思って、だから他の芸人が呼びかけたりしてたんだろうなと。
西塔:伊藤さん、妹のヒモしてるらしいですよ。
かさ増し:女優の伊藤沙莉さんと一緒に住んでてね。
芝山:M-1の決勝までいくと、そういったおもろい手札もあるから、番組に呼んだらおもしろくなるイメージしかない。だからオズワルドは今年決勝まで進んで、来年はいろんな番組とかに呼ばれてほしいなと思います。
土佐兄弟はやっぱりTik Tokかな。一緒にネタ会議をしてるときに、ちょっとインスタの配信してみたら700人が見てる状態。電車でも飲みに行っても「有輝さんですよね?」と声を掛けられるらしいし、お兄ちゃんも職場で「もしかして高校生シリーズの撮ってる人じゃないですか?」と声でバレることがあったって。それくらい今、若い層に支持されてるんですよ。これだけ影響力が強いんだから、土佐兄弟は来年もっとテレビとかに出てくるんじゃないかな。それこそワタナベ18期のフワちゃんがYouTubeでブレイクして、第2陣として土佐兄弟がTik Tokでブレイクして、芸人の新しい売れ方を見せていってほしいな。
果たして来年は誰がブレイクするのか楽しみですね。作家座談会の最終回は12月31日に公開予定です。『2020年以降のお笑い界について』をテーマにどこよりも濃厚なお笑いトークをお届けします!
前回の様子はこちら。