W杯予選でヘディングした日本人サポーターとじゃない方として扱われるネガティブナルシストのカカロニが語るこれまでとこれから
今回はW杯日本-セネガル戦でセネガル選手の外れたシュートをヘディングでクリアするシーンがテレビ中継され話題を呼んだ菅谷さん(右)とネガティブナルシストキャラの栗谷さん(左)によるカカロニさんにインタビューしてきました。所属事務所のグレープカンパニーについてやコンビ結成秘話、今後の展望などをたっぷりお届けします!
※以下は参照動画
サンド・伊達にスーツを買ってもらう
立川:今回、グレープカンパニー所属の芸人さんに初めて取材するんですが、まずはグレープカンパニーを選んだ理由を教えてください。
栗谷:ちょうどカミナリさんがM-1の決勝に進んだのを見て、グレープカンパニー乗ってるなと思ったので履歴書を出してみました。最初は浅井企画にネタ見せに行ったんですけど、あまりハマらなくて。
菅谷:グレープカンパニーにネタ見せに行ってみたら、当時人気が出始めた頃というのもあって、芸歴がないどころか養成所に行ってない人が結構多くて、そんな中でも僕らは以前別の事務所に所属してたこともあって、ちょっと芸歴があったからライブにも出させてもらえました。
所属が決まるまで結構時間が掛かったんですけど、お互いのタイミングが合ったんでしょうね。すぐ決まりました。
立川:カミナリさんの活躍を見て、良い事務所だというイメージが湧いてきたってことですか?結構少数精鋭みたいなイメージがあったりします。
菅谷:芸人内での評判が1番良かったですね。実際に入っても良い事務所でしたし。まだ結果を出してない人が入っても、入ったら結果出してるというか、みんなテレビに出てるイメージありますね。
立川:結構縦のつながりもありますか?
栗谷:大きな事務所よりはあると思います。僕らはサンドウィッチマンさんの前説とかやらせていただいてるので、よく会わせてもらってます。
菅谷:様々な形でみんな優しいですね。伊達さんは栗谷さんに衣装買ってくださいましたし。
栗谷:そのとき同席したマネージャーも買ってもらってて、ちょうどそのマネージャーのスーツがさっきネットニュースになってたんですよ。
栗谷:そんなに喋ったことない時期に「おまえ汚えな。衣装買ってやるよ。」と言ってくれたんです。本当に買ってもらえると思わなかったんですけど、後日「今日空いてるか?並木まで来てくれ」って連絡がきて。洋服の並木っていう、U字工事さんとか芸人がみんながスーツ作ってる有名なところで買っていただきました。
立川:いくらくらいですか?
栗谷:僕のが70,000円だったんですけど、マネージャーのは88,000円くらいです。
※スーツの裏地には『(贈)サンドウィッチマン伊達みきお』の文字が。白の衣装に白で刺繍が施されているため、初見の人が確認しづらいのが悩みの種らしい。
菅谷:なんでマネージャーの方が高いんだと(笑)富澤さんもめちゃめちゃ優しくて、若手を集めてウイイレ大会やったり、着なくなった服を楽屋に持ってきてくれて「誰か持ってって」とグループLINEに入れたり。
栗谷:カミナリさんも2ヶ月に1度『カミナリの漫才』っていうライブをやってるんですけど、打ち上げに若手を全員連れてってくれます。ライブの手伝いって基本的にお金もらえないじゃないですか。でもカミナリさんは手伝ってるのにお金もらえないのはおかしいって自腹でお小遣いくれるんですよ。
コンビ結成は勘違いがきっかけだった
立川:コンビ結成のきっかけもサッカーが関係してたりしますか?おふたりとも長年サッカーをやっていて、栗谷さんは高校時代に神奈川県ベスト4という成績を収めましたよね。
菅谷:いや、共通の知り合いの紹介で組みました。僕は顔がそんなに良くない人と組みたいって相談したら、「とんでもないのがいる」と紹介されて。会ってみたら思ったよりもとんでもなくて(笑)、それでちょっとやってみようかとなんとなく始まりました。
栗谷:僕は彼を知らなかったんですけど、「ツッコミをやりたがってる」と聞いてベアードノーズ(※菅谷が以前組んでたコンビ)の動画を見たんですよ。そしたらツッコミがうまくて、この人だったらやれるなと思いました。でも会うまでに少し時間があいてたから顔を覚えてなくて、実際にをネタやってたら、あれ?うまくないなと思って。そしたらこの人なら組めると思ったのはモンローズ宮本さんの方で、僕が勘違いして組んじゃったんですよ。
菅谷:ベアードノーズ時代の相方ですね。気付くの遅いわ(笑)
栗谷:彼の最初のプレゼンがめちゃくちゃうまかったんですよね。でも徐々に違うなと思うようになって、聞いてみたらツッコミやったことなかったって。
菅谷:だから最初の半年間はどのライブ出てもめちゃくちゃすべってました。
立川:ネガティブナルシストのネタはいつ頃から初めたんですか?
菅谷:1年目のM-1落ちた直後かな。栗谷さんはかっこつけた喋り方するからナルシストなのかなと思ったんですけど、根はネガティブなので普段の人間性に近いのはナルシストっぽい喋り方のネガティブな人っていうことにM-1で滑り散らかしてから気付きました。今の形を見つけてからM-1の3回戦に進んだし、いろいろなところで褒めてもらえるようになりました。
立川:なるほど。菅谷さんはヘディングがきっかけで、カカロニじゃなくて「あのヘディングの人」みたいに声をかけられることも多いですか?
菅谷:スタジアムに行けばたまにありますけど、今はほぼないですね。ちょっともう触れられるのも恥ずかしいくらいです。サッカーファンよりも芸人が「あのヘディングすごかったすね」っていまだに言ってきます。当時は栗谷さんが舞台上で俺への不満をぶちまけまくってました。カカロニはずっと栗谷さんで笑い取ってきてるのに、あれをきっかけに『じゃない方芸人』の扱いになっちゃったから、この2人で前に出て栗谷さんが触れられないとすごい不機嫌になっちゃって。
立川:ちなみに現役のときポジションはどこでしたか?
栗谷:僕はトップ下です。
菅谷:トップ下は香川とか、本田とか、花形ですね。司令塔のポジション。僕はサイドハーフでサイドを何往復もする選手です。岡崎とか堂安とかですね。やっぱ一緒にやると栗谷さんの方が全然うまいですね。
坂本:一緒にやったことあるんですか?
栗谷:一緒にフットサルの大会に出ましたよ。30組チームくらい出てるやつで優勝しました。
菅谷:申し込めば誰でも出れるの大会なんですけど、栗谷さんが普段冷静なのに試合になると相手のキーマンを開始3分で潰すっていう(笑)イエローカードをもらったりしながら勝ち上がりました。
栗谷:相手のエースを潰すっていうのが染みついちゃってるんですよ。
菅谷:遊びの大会に出るような人はやらないサッカーだから、あんまり芸人のチームの勝ち方じゃないんですけど(笑)
30歳の童貞は幻覚が見える?
立川:女性絡みの話は豊富な方ですか?そんなにないですか?
栗谷:僕は一切ないですね。チェリーですから。基本的に女性と話せないんですよ。緊張しちゃって。
菅谷:高校サッカーで神奈川ベスト4なのに、そんな人が女の子と喋れなくて童貞って言うのがもう…当時の栗対さんのチームの対戦表を見たら、川崎フロンターレのユースチームとかと普通に試合してるんですよ。
栗谷:多分生い立ちに原因があって、これテレビでも話してますけど、生まれつき鼻の骨が1本足りなかったんですよ。それで小6の時に口の中から骨を入れる手術をしたんです。その時、口から出る血を飲みこまないように、セメントで口の中を固めるんですよ。でも当時成長期だったので、セメントのせいで顔が崩れてったんです。顔がどんどん歪んでいくから、それまでイケイケだったのに、女の子も一切話しかけてくれなくなって喋れなくなっちゃって。
菅谷:運動神経良いし、目も二重じゃないですか。歪む前は結構可愛い顔でモテてたんですよ。でも根はネガティブというか、ビビリだから女の子に自分から告白できなくて、「栗谷のことは好き YES or NO」と書いた紙をクラスの女子に配ってYES待ちをするっていう。
栗谷:手術前はYESって返答がいっぱいきましたね。高1の時に顔を整える手術をするはずだったんですけど、思春期で顔が変わるのが嫌だったんでその手術を受けなかったんです。だから僕の顔はまだ完成してないんですよ。
坂本:え、じゃあ今からまた手術するんですか?
栗谷:それは成長期にやらなきゃいけないので手遅れですね。もう一生完成しない。
菅谷:以前、中学校の同級生から女の子が栗谷さんの連絡先を聞きたがってるというLINEがきて、栗谷さんが「いいよ」って返してたんです。それで女の子から連絡がくるはずだと思って待ってたら、その日の夜から次の日の昼まで連絡が来なくて、栗谷さんがその間一睡もできずにLINEを待ち続けたんですって。結果、朝になったらその子のことを好きになってて、次の日のライブではいつもやってるネタなのに、栗谷さん何も言わなくなっちゃったんですよ。その場はやり過ごしたんですけど、裏でどうしたのって聞いてみたら、「客席にあの子がいた気がしたんだよね」って。その女の子の幻覚見てネタ飛ばしたんですよ。
立川:そういう理由でネタ飛ばしたの初めて聞きました(笑)
栗谷:30歳の童貞魔法使いになるって聞いてたんですけど、まさか幻覚が見えるとは(笑)でも本当にいた気がして、来てくれたんだと思ったんです。そしたらその女の子がどんどん移動していくように見えて、それが4回くらい続いて台詞を忘れちゃったんですよ。
菅谷:栗谷さん、ヤンキーの友達からは飲もうぜみたいな連絡よく来るよね。
栗谷:19歳くらいの頃はコンビニたむろしたりとか、結構悪さしてましたね。これヤンキー時代の写真です。
当時のプリクラ
菅谷:ヤンキーじゃないよね。これおかしいって!(笑)合成みたい。
栗谷:いや、これはめちゃくちゃヤンキーですね。
菅谷:あと、とっさに女の子と会うことになるとふてくされちゃうよね。
栗谷:先輩からバーベキューに誘われたとき、僕を含めて5人の芸人でやるって聞いて駅前に集合したんですよ。そしたら、先輩4人と女性が5人いたんですよ。騙されたと思って。
菅谷:普通はラッキーだろ(笑)
栗谷:準備して行きたいと思って、腹が立ったので全員を無視して喫茶店に入りました。そのあと合流したんですけど、芸人と女の子で喋ってもらって僕はずっと野菜を焼く役に徹してました。かぼちゃは焦げ目つけなければ永遠に焼けるんで、かぼちゃをひたすら焼いてました。
菅谷:絶対楽しみ方間違ってるけどなぁ。
立川:モテたい願望はないんですか?
栗谷:あるんですけど、急にこられちゃうときついですよ。
立川:言っちゃなんですけど、恋愛って急にですよ。
栗谷:そうなんですけど、昼間に芸人とバーベキューする女性ってどうなのかなって。平日ですよ。露出の仕方とか意味分かんなかったし、穴が空いてる服とか、価値観が合わないと思って。
立川:今日の坂本さんは大丈夫ですか?(左肩が空いてる)
栗谷:これは別に意味わかりますよ。だけどシンメトリーじゃないっていうのはありますね。
坂本:両方空けた方がいいですか?
栗谷:そうですね。シンメトリーじゃない意味がちょっとわかんない。
菅谷:女性の服にダメ出しする童貞、1番やばいぞ(笑)
ラフターナイト出禁を乗り越え、来年はもっとメディアへ
立川:フットサルの大会に出たりとか、スポーツ関係で女性との出会いは度々ありそうなイメージはありますがいかがでしょうか?
栗谷:ないですね。栗チル(栗谷チルドレン)というのがあって、そいつらとしか行かないんです。
立川:グレープカンパニーの後輩ですか?
栗谷:いや、全員人力舎でトンツカタンの菅原とか。
菅谷:同期じゃん。チルドレンじゃないじゃん。
栗谷:グレープだと東京ホテイソンのたけるとかポンループの鈴木とかと遊ぶんですけど、僕借金が180万円くらいあって、毎月返済しなきゃいけないので遊びに回せないんですよね。
立川:それってあんまり出してない情報じゃないですか?
菅谷:でもその借金って、芸人を始めたばかりの頃に「芸人というのはこういうもんだ」って悪い勘違いをして毎日寿司と焼肉を交互に食べてできた借金なんですよ(笑)
栗谷:消費者金融行ってお金借りるのが芸人だと思ってたんですよ。女遊びもしないし、お酒も飲めないし、ギャンブルもやらなかったので、どうやってお金使おうって考えたら、焼肉と寿司を交互に食べるしかなくて。同期とか連れて行ってましたね。
立川:では最後に今後の展望を教えてください。
菅谷:僕らはまずテレビに出たいのと、M-1も不甲斐ない結果で終わっちゃったので、YouTubeにネタ動画をいくつかあげようかなと。あとラジオもやりたいですね。
栗田:ラジオは知名度が上がってからやりたいですね。
立川:ラジオと言えば、『ラジオ好き芸人GOLD』ではどういう話をされたんですか?
菅谷:第一回『ラジオ好き芸人Night』では聴いてるラジオや思い入れを話したんですが、今回は2回目だったのでもう少し掘ったradikoのアプリあるあるや、中外製薬のCMが気になるっていう話から派生したコーナーとかですね。2回目はリピーターのお客さんが多いので、先輩のラジオで自分の話題が出てきた時の心情の話とかちょっと掘った話が多かったですね。
栗谷:僕もラジオはずっと聴いてるんですけどね。
菅谷:栗谷さんはラジオのイメージがないんじゃないかな。あとラフターナイト出禁になったからね。
立川:そうなんですか?どういう経緯で?
菅谷:伊東楓アナウンサーが気さくな方なので、裏で栗谷さんの前髪を触ってたんですよ。そのとき横で見てたのでわかりましたけど、完全に恋に落ちたんです。その次の月には伊藤さんに触られたさ過ぎて前髪のちょろんを少し太くして来て、モグライダーのともしげさんに触られて心折れてたんですけど(笑)でもその翌月、栗谷さんが自分の思いを伝えようと思って、ライブが終わってから舞台裏で3輪のバラを渡したんですよ。そしたらそれを見たTBSラジオの越崎さんに「おまえ出禁な」と言われて、ネタだと思って「ちょっとちょっと!」って言ったんですけど本当に3ヶ月呼ばれなかったんです。
その3ヶ月後のラフターナイトで栗谷さんが「越崎さん、俺と伊藤アナがくっつくのを心配して、本当は伊藤アナが好きなんじゃないか」って持論をお客さんの前でぶちまけて、また3ヶ月出禁になって(笑)
栗谷:それで2018年はあんまり出られなかったっていう。
菅谷:今年はちょこちょこ出られましたね。
立川:無事出禁解除されたと。よかったです。といった感じで締めましょうか。
栗谷:もっとおもしろいこと言いたかった(笑)
カカロニ プロフィール
2016年コンビ結成。栗谷の「ナルシストキャラ」を生かした漫才を得意とする。学生時代は共にサッカー部に在籍。菅谷は昨年のW杯日本-セネガル戦でセネガル選手の外れたシュートを見事なヘディングでクリアするシーンがテレビ中継され話題となった。また、ラジオのハガキ職人として、南海キャンディーズ・東京03のネタを書いたこともあり。事務所ライブ「もぎたてライブ」「グレープライブ」に出演中。
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