フェルミ推定とは?〜簡単なデータから複雑な問題を解く方法〜
フェルミ推定は、簡単な数値データを基にして、複雑な問題に対する近似的な解答を導き出す方法です。イタリア出身の物理学者エンリコ・フェルミ(Enrico Fermi)にちなんで名付けられました。フェルミ推定は、問題を細かく分解し、それぞれの部分に対して合理的な仮定を立てることで、全体の解答を得る手法です。
フェルミ推定のステップ
問題の定義
解答を求める具体的な問題を明確にします。
問題を分解する
問題を複数の小さな部分に分け、それぞれの部分に対して仮定を立てます。
フェルミ推定のポイント
合理的な仮定: すべての仮定は現実に基づいて合理的である必要があります。
近似: フェルミ推定はあくまで近似的な方法であり、正確な答えを求めるものではありません。
簡素化: 問題をできるだけ簡素に分解し、理解しやすい部分に分けることが重要です。
フェルミ推定の実例
例題1: 人間のまばたきの回数を推定する
人間は1分間に何回まばたきするか?(例えば、15回)
1日に何分間起きているか?(例えば、16時間=960分)
1年は何日か?(例えば、365日)
計算:
1日に960分×15回=14400回まばたきする
1年に365日×14400回=約5,256,000回まばたきする
例題2: 一年間に日本国内で消費されるペットボトルの数を推定する
日本の人口を推定する(約1億2000万人)。
1人あたりの週あたりのペットボトル飲料の消費量を推定する(例えば、4本)。
1年は何週間あるかを推定する(約52週間)。
日本全体の年間のペットボトル消費量を計算する。
計算:
1年間に1人あたり4本×52週間=208本のペットボトルを消費する。
日本の人口が1億2000万人だから、1億2000万人×208本=約249億6000万本のペットボトルが年間に消費される。
例題3: 1年間に日本の全ての家で使われるトイレットペーパーのロール数を推定する
日本の人口を推定する(約1億2000万人)。
1世帯あたりの平均人数を推定する(例えば、3人)。
日本の総世帯数を計算する(1億2000万人 ÷ 3人 ≈ 4000万世帯)。
1世帯あたりの1ヶ月のトイレットペーパー消費量を推定する(例えば、5ロール)。
1年間の消費量を計算する(12ヶ月)。
計算:
1世帯あたり年間に5ロール×12ヶ月=60ロールのトイレットペーパーを消費する。
日本の総世帯数が4000万世帯だから、4000万世帯×60ロール=約24億ロールのトイレットペーパーが年間に消費される。
フェルミ推定に興味を持った方は、ぜひ身近な問題に対して試してみてください。驚くほど簡単に、非常に役立つ推定ができることに気づくでしょう。