見出し画像

デザイン会社の経営はめちゃくちゃ難しい

どうも、中村です!

デザイン会社を10年以上経営してきた立場から一言で言うなら、「デザイン会社の経営は本当に難しい」です。経営には日々の戦略や現場での試行錯誤がつきものですが、デザイン会社は特に、形のないものを商品にしているため、その価値をどう示すか、価格設定をどうするかに常に悩まされます。

今日は、「デザイン会社の経営がなぜこんなに難しいのか?」について、僕の経験をもとにお話ししてみたいと思います。

形のないモノを売る難しさ

まず、デザインという仕事の難しさは、販売しているものが形のない「無形の価値」だという点にあります。物理的に手に取れる製品とは違い、デザインは目に見えない「考え方」や「感情」に基づいて生まれるもの。デザインの力で顧客のブランディングを高めたり、商品の売上を伸ばすなどの効果を出すことはあっても、それを目に見える形で証明するのは難しいのです。

また、デザインに対する「価値」は顧客ごとに異なります。デザインがもたらす影響や、プロジェクトの規模、目的によっても価格が変動するため、価格設定も悩みどころです。ある顧客にとっては「高すぎる」と感じられたり、別の顧客には「これなら安い」と思われたりするため、デザインの価格には基準を設けにくいんですね。

デザインの価格設定が難しい理由

価格設定は、デザインの業界において特に大きな課題です。一般的な製品と違い、デザインの価値は目に見えないので、「これでいくらです」と説明するのが難しいんです。特に、私たちデザイナーは「創造する」ことが仕事であり、そのプロセスには高度なスキルと経験、知識が求められます。

例えば、ロゴのデザインを例に挙げてみましょう。ロゴは一見シンプルに見えるものでも、その背景には膨大な時間のリサーチや考察が詰まっています。そのロゴがクライアントの会社の価値観やブランドに深く結びつき、何年も使用されるものであることを考えれば、価格が上がるのも当然なのですが、顧客にそのプロセスや価値を理解してもらうのは簡単ではありません。

このように、形のないものに価値を感じてもらい、価格を納得してもらうためには、クライアントへの説明能力も重要であり、ここがデザイン会社の経営が難しいと感じる一つの要因です。

デザイナーは職人、独立のリスク

次に、デザイン会社には独自のリスクがあります。それは「デザイナーがいつ独立してもおかしくない」という点です。デザイナーは、特に職人のように自分のスタイルやスキルを磨き続ける存在です。熟練したデザイナーであればあるほど、「自分のブランドを築きたい」「独立して自由に仕事をしたい」と考えるのは自然な流れです。

このため、デザイン会社の経営者にとって、スタッフを育てていくことは必須ですが、それと同時に「いつか独立する可能性がある」というリスクを常に念頭に置いておかねばなりません。これは製品を作る工場などとは違い、デザイナー個人のスキルに大きく依存している業界ならではの課題です。

デザイナーが「組織で働く意味」を感じられるようにするためには、個人が会社の中で成長し、自分の価値を高められるような環境を提供することが必要です。例えば、クリエイティブなプロジェクトに挑戦できる機会を設けたり、スキルアップをサポートする制度を導入したりすることで、組織の中でのメリットを見出してもらう工夫が必要です。

組織である意味を見つけるのが難しい

デザインの世界は「一人でもできる」と考えがちです。実際、フリーランスで活躍するデザイナーも多く、一定のスキルと経験があれば個人でも仕事をこなしていけます。そのため、「デザイン会社」という組織であることの意義を見出すのは簡単ではありません。

デザイン会社として成長していくためには、「一人ではできない価値」を提供できるようなチームを作ることが重要です。たとえば、大規模なプロジェクトや複数の専門分野を必要とする案件に対応できるような体制を作ることが一つの方法です。また、デザイナー同士のコラボレーションによって生まれる新しいアイデアやシナジーも、組織の強みとして活かすことができます。

クライアントから求められる範囲の拡大

デザイン会社には、単なる「デザインの提供」だけでなく、クライアントのビジネスを成功に導くための「マーケティング」「ブランディング」のスキルが求められることが多くなっています。デザイナーとしてのスキルはもちろんですが、それだけではなく、クライアントの市場を理解し、顧客にリーチする方法やブランドの成長戦略を提案できるような知識が不可欠なのです。

マーケティングやブランディングに関する知識は一朝一夕で身につくものではなく、日々の学びと実践が求められます。世の中のトレンドやデジタルツールが次々と進化する中で、柔軟に変化に対応しながら常に自己研鑽を続けることが、デザイン会社の経営者にとっての大きなプレッシャーとなります。

世の中の変化への柔軟な対応が必須

デザイン業界は、特に変化が激しい業界のひとつです。新しいツールやトレンドが次々に登場し、消費者の価値観やマーケットも大きく変わっていきます。そのため、常に最新の情報をキャッチし、柔軟に対応していくことが不可欠です。

また、コロナ禍以降、オンライン上でのコミュニケーションやデジタルコンテンツの重要性が急速に増しました。これにより、オンラインでのデザインサービスの需要が増える一方、競争も激化しています。デザイン会社の経営者として、こうした変化に対応し、必要に応じて自社のサービス内容や提供方法を柔軟に変更していくことが求められるのです。

まとめ:デザイン会社の経営は「試行錯誤」の連続

デザイン会社の経営は、ただデザインを提供するだけでは成り立ちません。形のないものに価値を見出し、クライアントにそれを伝える力が求められます。また、デザイナーという職人たちが集まる組織を維持するためには、個人の成長を支援し、組織であることの意義を常に見つけ続ける必要があります。

さらに、マーケティングやブランディングの知識、業界の変化に対する柔軟な対応力も必須です。日々学び続けることが、経営者にとってもデザイナーにとっても重要な課題となります。デザイン会社を経営していると、その試行錯誤の連続に、途方に暮れることもありますが、それでも前進し続けることで、デザインの力を最大限に発揮できる環境を作っていきたいと思います。

それではまた!

いいなと思ったら応援しよう!