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デザインの先にあるもの - クライアントを救えなかった後悔から学んだこと

どうも、中村です!

かつて、事業がうまくいかずに自己破産してしまったクライアントがいました。その経験が、僕にとってデザイナーとしての考え方を大きく変えるきっかけになりました。

今でこそ、僕は経営のアドバイスや事業戦略の相談にも乗ることが増えましたが、当時は「いかに見た目の良いデザインを作るか」だけに集中していた、いわゆる“普通のデザイナー”でした。基本的に過去を振り返って後悔しないタイプの僕ですが、そのクライアントのことだけは、今も心に引っかかっています。

その方は、やりたいことがたくさんあり、次から次に新しいプロジェクトに取り組もうとしていました。けれども資金に余裕があるわけでもなく、どこかでストップが必要な状況。僕はクライアントが望むデザインを提供し続けていましたが、「それはやめておいたほうがいい」と、一言アドバイスしていれば、もしかすると状況が変わっていたかもしれない。そう考えると、今でも申し訳ない気持ちが消えません。

この経験をきっかけに、僕は「デザインとは何か」「デザイナーとしてどうあるべきか」について改めて考えるようになりました。

デザインはただ見た目を良くするだけのものではなく、使い方次第で人の心や生活を豊かにするツールだと気付きました。そして「見た目の美しさだけを追求していた自分」は、本質的な価値を提供できていなかったのです。それ以降、僕はただクライアントのリクエストに「いいですね」と応えるだけのデザイナーをやめることにしました。

今では、たとえクライアントが求めた内容であっても、リスクやマイナス面が見える場合は「それは少し考え直したほうがいいかもしれません」と伝えるようにしています。もちろん、ストレートに否定するのではなく、「こちらのほうがより効果的かもしれません」と、複数の選択肢を提案し、クライアントのビジョンをサポートする形での意見を伝えるようにしています。

「中村は笑顔でダメ出しをする人」というのが、今や僕の代名詞です。それは、どんなに目上の人や重要なクライアントであっても変わりません。なぜなら、僕がクライアントの立場なら、本当に良いと思える方法で前に進みたいと思うからです。あの時の後悔が、今の僕の価値観や考え方の基盤になっています。

クライアントに寄り添い、目の前の課題だけでなくその先のビジョンを一緒に見据えること。それがデザイナーに求められる本当の価値だと気付かせてくれた、大切な教訓です。

それでは、また!

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