「光る君へ」への長い道のり ~『第29回 「母として」振り返り』(その2)(ネタバレ)~[3246文字]
大河ドラマ「光る君へ」 第29回『母として』 の振り返り、その2です。
※以下より、第29回のストーリーを記述しています。未視聴の方は先に第29回をご視聴ください🙇。
■[第29回『母として』 振り返り]その2
まひろの館ー。文机に向っているまひろ〔吉高由里子〕のもとに、いとがやって来る。
いと「お方様。殿の北の方様のご使者が‥‥」
使者「北の方様からのお伝えにございます。山城守 藤原宣孝は、にわかな病にて、4月25日に身まかりました。弔いの儀も済ませましたので、お知らせいたします」
まひろ「にわかな病とは‥‥」
使者「北の方様は豪快で快活であった殿様のお姿だけを、お心にお残しいただきたいと仰せでございました。私どももご最後のご様子は存じませぬ」
ひとり、部屋に座るまひろ。庭の影。
きぬ「お父上は無官。殿様も亡くなってしまわれて、この家はどうなるの?」
乙丸「え~‥‥」
きぬ「飢えるのは嫌だから、私、越前に帰ってまた海に潜ろうかな」
乙丸「えっ!」
きぬ「あんたも来る?」
乙丸「えっ!」
執務部屋で報告を受ける道長〔柄本佑〕。
恒方「弔いの儀は、既に済まされたとのことでございます」
道長「うむ」
恒方が出て行ったあと、ひとり一点を見つめる道長。
うつろなまなざしで縁に座っているまひろ。ニコニコよちよち賢子がやってくる。
まひろ「賢子‥‥何?」
賢子「父上は?」
賢子を抱き寄せるまひろ。涙が止まらない。
数日後ー。
まひろの屋敷の門の前。道長の従者、百舌彦がやって来る。
あさ「お世話になりました!」
いと「お待ちなさい!」
あさが飛び出してくる。
いと「この恩知らず!」
まひろ「もうよいから‥‥」
いと「お方様。乳母などおらずとも、きぬと私で姫様をお育ていたします!ご安心くださいませ!」
百舌彦「ああ‥‥」
振り返るまひろ。
まひろ「百舌彦‥‥」
百舌彦は道長の使者として、為時〔岸谷五朗〕とまひろを尋ねて来たのだった。
部屋で為時とまひろを前にする百舌彦。
百舌彦「左大臣 藤原道長様よりの使いとして参りました。為時殿には、長~い越前でのお役目,、まことにご苦労に存ずるとの仰せにございます。また、この度は宣孝殿にわかに身まかられたること、痛ましき限り。お慰めの言葉とて見つかりませぬ。さぞ、お嘆きとお察ししますが、この上は、くれぐれも御身大切におわしますように」
まひろ「生前、夫は左大臣様に過分なお引き立てを賜り、一代の名誉と常々喜んでおりました。お志に改めてあつく御礼申し上げます」
百舌彦は為時に向き直る。
百舌彦「越前守 再任を後押しすることが出来ず、すまなかったと主はもうしておりました。つきましては、為時殿より、左大臣家ご嫡男田鶴君に、漢籍のご指南をいただけないかとのことでございます。屋敷でも時折、漢詩の会が開かれますので、そちらでもご指南を頼みたいと。まあ~つまり、左大臣家お抱えのご指南役ということですな!。正式な官職ではないが、お引き受けいただければ、禄は十分に出すと仰せにございます」
為時「私のような者の暮らしのことまで、左大臣様にご心配いただくとは、もったいなきことにございます。されどそのお役目は辞退いたしたく存じます」
ぎょっとする百舌彦。
為時「私は左大臣様の御父君、亡き関白 藤原兼家様にもお雇い頂いていたことがございます。されど、正式な官職を得るまで、耐えきれなかった己を恥じております。左大臣様のお心を無にしてしまい、まことに申し訳ございませぬ。もし叶うならば、この次の除目において、お力添えを頂きとう存じます。(頭を下げる)」
使者の役目が果たせず、肩を怒らす百舌彦。
賢子がちょこまかとやってくる。
まひろ「これこれ‥‥賢子」
ぷりぷり飛び出す百舌彦は、門の前で道を掃いている乙丸を睨んで、ぷいっと去っていく。
為時の前に座るまひろ。
まひろ「父上。まことにこれでよろしかったのでございますか?」
為時「お断りするしかなかろう。お前の心を思えば、左大臣様の北の方様のご嫡男に、漢籍の指南をすることはできぬ」
まひろ「私の気持ちなぞ、どうでもよろしいのに。父上に官職なく、私に夫泣く、どうやって乙丸やいとやきぬを養い、賢子を育ててゆくのでございますか?」
為時「あっ‥‥それは、そうであろうが‥‥」
まひろ「明日、道長様をお訪ねになり、お申し出を受けると仰せくださいませ。次の除目とて、当てにはなりませぬ。賢子にひもじいい思いをさせないためにも、父上、お願いいたします(頭をさげる)」
為時「そうであるな‥‥。そうである」
ということで、長くなりましたので、『第29回「母として」』の振り返り』その2は、その3へ続かせていただきます(´-`)。
最後までお読み頂き、ありがとうございました🙇。