「光る君へ」への長い道のり ~『第25回 「決意」振り返り』(その4)(ネタバレ)~[2740文字]
大河ドラマ「光る君へ」 第25回『決意』 の振り返り、その4です。
※以下より、第25回のストーリーを記述しています。未視聴の方は先に第25回をご視聴ください🙇。
■[第25回『決意』 振り返り]その4
京・為時の屋敷ー。
洪水で泥まみれになった庭や縁を片付けるまひろ〔吉高由里子〕たち。
乙丸と福丸が戻って来る。
乙丸「ただいま戻りました」
まひろ「ご苦労さま。鴨川の堤はどう?」
乙丸「泥の塊があちこちにたまっていて、修繕はなかなかはかどりませぬ」
まひろ「ここはなんとか無事だったけど・・・。家を失った人はどうしているのかしら」
乙丸「皆、途方に暮れておりました」
福丸「大水は今に始まったことではございませぬゆえ、いずれ持ち直しますよ」
いと「二人とも疲れたでしょう。(きぬに向って)水を」
きぬ「はい」
いと「一休みしたら、あちらの庭の泥さらいもお願いね」
福丸「おう」
まひろ「よく尽くすのね、福丸は」
いと「この人は私の言うことは何でも聞きます。そこがよいのでございます」
まひろ「のろけてるの?」
いと「のろけてるわけではございません。私なりの考えでございます。みな歌が上手い男がよいとか、見目麗しい男がよいとか、富がある男がよいとか、話しの面白い男がよいとか言いますが、私は何も要りません。私の言うことを聞く、この人が尊いのでございます」
まひろ「そうなのねえ・・・」
福丸「では・・・(庭の泥さらいをしに行く)」
いと「乙丸ときぬは、越前のどこで知り合ったの?」
乙丸「こいつは、ウニを取る海女でございます。姫様がウニがお好きでしたので、いつもウニを求めに行っておりました。その時に、うっかり」
まひろ「私が食べていたウニは、きぬが取ってくれていたウニなのね」
きぬ「はい。私の得意な技は、息を長~く止めることでございます。(息を吸う音。鼻をつまんで息をとめるきぬ)」
乙丸「海女は息を止めて、海に潜りますので」
まひろ「ああ・・・。頼もしいのね」
内裏、道長〔柄本佑〕の執務部屋。道長が戻って来る。
恒方「おかえりなさいませ。右衛門権佐 兼 山城守 藤原宣孝殿でございます」
控えていた宣孝〔佐々木 蔵之介〕が頭を下げる。
道長「うむ。鴨川の堤の修繕は、どれほどのかかりとなるかいそぎ答えを出せ」
恒方「はっ」
宣孝「お忙しいところ申し訳ありませぬ。川岸の検分に御自らお出ましと聞いて、恐れ入り奉っておりました」
道長「何か用か?」
宣孝「さきの除目で山城守を仰せつかりましたので、お礼を申し上げに参りました」
道長「うむ。お上のために励んでもらいたい」
宣孝「親戚である藤原朝臣為時も、越前守に任じでいただき、早1年。つつがなく勤めておるようにございます。おかげさまで、為時の娘も、夫を持てることになりました」
顔をあげる道長。
道長「それは、めでたいことであった」
ニヤリとする宣孝。
道長「何だ?」
宣孝「実は私なのでございます」
道長「何が私なのだ?」
宣孝「為時の娘の夫にございます」
かすかに力む道長。
道長「フッ・・・。それは、何より」
京・為時の屋敷ー。屋敷の縁で書を読むまひろ。
まひろ「『君の門は九重閟ず 君の耳はただ聞こゆ堂上の言。君の眼は見えず、門前の事』・・・」
宣孝がやってくる。
宣孝「越前では忙しそうであったが、都では暇そうだな」
まひろ「書物を読むのは、暇だからすることではございませぬ」
宣孝「うわっ。またしくじった。ハハハハハ」
まひろ「随分と、ご機嫌なご様子にございますね」
宣孝「先ほど、内裏で左大臣様にお目にかかり、山城守拝命のお礼を申し上げてきた。お前を妻にしたい旨もお伝えしたら、つつがなくと仰せであった。
まひろ「そのようなこと、何故、左大臣様に・・・」
宣孝「いや、挨拶はしておかねば。あとから意地悪されても困るからな」
まひろ「何なんですか?その嫌らしい物の言い方は!」
宣孝「好きだからだ。お前のことが」
目を逸らし、こらえるまひろ。
まひろ「お帰りくださいませ」
宣孝「は~い。また叱られてしまったわ。ハハハハハハハ!」
去っていく宣孝。ひとり縁に座ったままのまひろ。瞳だけが小刻みに動く。
夕暮れの内裏ー。執務室で書面を書いている道長。
部下「お迎えの車が参っております」
道長「今日は帰らぬ」
部下「え?」
道長「ああ・・・、うむ」
部下「はっ(頭をさげ去っていく)」
筆の動きをとめて、ため息をついて、思案する道長。
道長「うむ・・・」
為時の屋敷に届けられた、道長からの祝いの品の数々。持参したのは、百舌彦。
そこにまひろが戻って来る。
きぬ「お戻りになりました」
まひろ「百舌彦」
百舌彦「こたびは、おめでとうございます(頭を下げる)」
お辞儀を返し、百舌彦の装いを見つめるまひろ。
まひろ「偉くなったのね」
百舌彦「長い月日が流れましたので」
まひろ「まことに」
百舌彦「もろもろ、お話ししたきこともございまするが、本日はこれにて(頭を下げる)」
ひとりになったまひろは、縁に座り、祝いの品に添えられた文を読む。
まひろ「(心の声)あの人の字ではない・・・」
文から顔をあげる。墨をすり文を書くまひろ。
まひろは紫の花の茎に結んだ文を乙丸に託す。
乙丸「承知いたしました」
駆けだす乙丸。
夜ー。燈心のほのかな灯かり。ひとり、正座したまひろ。戸が開く。
宣孝が訪ねて来た。頭を下げるまひろ。
向かい合う宣孝。
まひろ「私は不実な女でございますが、それでもよろしゅうございますか」
宣孝「わしも不実だ。あいこである」
まひろ「まことに」
宣孝に抱き寄せられるまひろ。仰向けに寝かされた目の前に宣孝の瞳。宣孝の肩に指を這わせるまひろ。
ナレーション:「翌日は日蝕。不吉の兆しであった」
次回、どうする倫子(´-`)。
以上で『第25回「決意」』の振り返り』は終了です(´-`)。
最後までお読み頂き、ありがとうございました🙇。