カルチャー教育がもたらした効果とは?
シンカの10年を振り返るということで前回は「カルチャーフィット採用」をテーマにお話しさせていただきました。カルチャーフィットを意識してからというもの、採用だけではなく、教育にも変化が生まれてきたと思っています。
カルチャー教育を通じて社員の主体性を育むことができ、リーダーシップの変化と共に、社員に仕事を任せるという新たな経営スタイルを築いてきました。今回は、その具体的な取り組みについてお話ししたいと思います。
カルチャー教育
組織が大きくなっていくにつれ、カルチャー採用と共に、カルチャー教育の重要度が高まっていきました。シンカでは、さまざまなタイミングで、シンカの“イズム”に触れる機会を設けています。
1番大きなものは、年に一度の私自身が行う「シンカイズム研修」です。この研修を通じて、会社の歴史や存在意義、過去のイベントや転換点などを学ぶ機会を設けています。これにより、社員はシンカの“イズム“に深く触れ、自分たちがなぜこの会社で働いているのか、その意義を再確認することができます。
毎月の全体会議では、私自身が30分ほど、現在の取り組みや未来のビジョンについて語ります。社員全員が一つの方向に向かって進んでいるという一体感を持つことができます。
また、毎週月曜日には5分間の動画を社内のSlackに投稿し、最新の情報や考えをタイムリーに共有しています。この取り組みは約4年間続けており、社員とのコミュニケーションを密に保つ重要な手段となっています。
例えば…
さらに、「シンカの進化論」と題し、社内カルチャー辞書のようなシンカフィロソフィー(philosophy:哲学の意)を若手社員と共に言語化し、作成しました。ふと疑問に思った際に、自分で答えを探せるのも大きな利点だと思っています。
こうした研修や全体会議での話は一方通行なものに見えるかもしれませんが、繰り返し伝え続けることで、突然変異のようにバチっとハマる瞬間が訪れることがあります。
当然ながら、すぐに成果が出るものではありません。しかし、何度も言葉にし、伝え続けることで、量稽古のように少しずつ身体に溶け込んでいき、それぞれのタイミングでブレイクスルーが起き、「自分ごと」として、カルチャーを捉えていけるようになるのだと思います。
主体的な社員が増えてくれた
カルチャー教育の成果のひとつとして、主体的な社員が増えてきたことが挙げられます。私が現場にいた頃は、社員に指示を出し、“タスクを遂行してもらう“といった仕事の流れになっていましたが、裁量権を渡し、責任も含めて任せるようにしました。
こういった権限委譲によって、社員の参画意識が高まり、「この会社を自分が作っている」という意識を持つ社員が増え、主体的な行動を取るようになりました。
カルチャー教育という、しっかりとした土台。その土台がある上で、裁量権という柱を渡すことで、社員が自ら考え、行動して会社を作っていくという環境が整いました。この流れは、シンカにとって非常にポジティブな変化であり、次の10年を作っていく人材がメキメキと育っていってくれていると思います。
「任せる」ということ
リーダーや経営者にとって、どこまで誰に任せるかという視点は常に悩むところです。しかし、そのコツは「これぐらいならやってくれるかな?」というラインの2倍くらいを渡すこと。すると、社員は期待を越えて成果を出してくれることが多いというのが、私の経験則です。リーダーや経営者は、社員の能力を過小評価しがちですが、実際には社員は、大きな大きな可能性を秘めています。
私自身も、任せることが苦手な社長でした。社長の器=会社の器という言葉を勘違いし、すべて自分で把握していなければならないと思い込んでしまっていたのです。「社長の限界=会社の限界」ではなく、社長の器として本当に重要なのは、社員に仕事を任せられる勇気を持つことだと気づいたのです。
カルチャー採用・教育の成果もあり、主体的な社員が増えたおかげで、基本的な細かいことには口出しせず、自分自身の「社長としての仕事」に集中できるようになり、3年後、5年後、そしてもっと先の未来を見据えるようになりました。
おわりに
カルチャー教育、権限委譲、そして社長としての仕事の変化を通じて、私たちの会社は着実に成長を続けています。社員一人ひとりが主体的に行動し、自分たちの会社を自ら作り上げていくという意識を持つことが、私たちの成功の鍵です。
次回は、これまでの変化を踏まえた「社長の仕事」についてさらに詳しくお話しできればと思います。私たちの取り組みが、他の企業や経営者にとっても参考になることを願っています。これからも、社員と共に成長し続け、より良い未来を築いていきたいと思います。