地上げに遭う:経緯
不動産業者(地上げ屋)との協議についての経緯の記録と、見解を述べたものとなります。
2021年10月:大家が熱海の住む住宅を含む土地を不動産業者に売却
弁護士によると、この不動産業者は典型的な地上げ屋であるとのこと。
2021年12月:地上げ屋の担当者Yと立ち退きについて正式に時間をとって協議。6月末までに退去した場合、家賃の半年分を補填するという提示があり、これを拒絶。家賃の35ヶ月分、引っ越し費用、および転居先不動産の初期費用を要求。
2022年2月8日:6月末までに退去した場合、家賃の35ヶ月分のみ支払い可能の旨、地上げ屋Yより回答あり、これを承諾せず。2月中に再度面会したい旨の依頼があり、これも精神的負荷を考えて拒絶。また、本来打診したい退去期限が3月末であることが地上げ屋の同行者Nの発言により明らかに。
事実上、3月末の退去を2月になってから打診されている状況になりました。
2022年2月14日:地上げ屋Yより、2月中に再度立ち退き交渉の時間をとってほしい旨依頼あり。多忙で時間が取れない旨を回答。
2022年2月17日:共用部の電気が止まり、洗濯機が使用できなくなる。復旧するよう不動産業者(管理会社を兼ねる)に依頼。
2022年2月18日:不動産業者の担当者より復旧のために訪問する旨連絡があり、13時に訪問があることを承諾。定刻にノックされたドアを開けると、地上げ屋の代表Hの姿があり。
こうして経緯を記載してみるとこちらが拒絶してばかりいるようにも見えますが、ともかく今の物件が気に入っていること、転居先を考えるのに十分な時間を設けたいことから、一切の交渉を不可としたい状況です。しかし、立ち退き交渉の機会を設けるために家賃の支払いを「手渡し」のみに制限したり、共用部の電気をストップしたりされるため、交渉の場自体は半強制的に設けられていました。検討事項が多すぎて「決められない」ための拒絶になっているのが正直なところです。6月末まで考える時間があるなら、と海外放浪や福岡/中之条への移住も選択肢に含めたうえで検討していました。
地上げ屋の代表の主張する内容は、土地の転売は資本主義の摂理上自然なものであること、物件の質が生活と本質的に関係ないということでした。それに対して、マネーゲームのような投資は慎むべきであり、新自由主義経済から脱却した経営活動の例が産業界にあること、本立ち退き要求は明確な「生活の破壊」であることを示しました。生活については質感を展示で表現したいと考えています。
2月中に内見に行くことを同意するまで地上げ屋は退去せず、2月20日に物件の内見に行くことになりました。
2022年2月20日:地上げ屋の担当者Y推奨の物件を内見。現在の物件と比較して下記の欠点があり、かなりひどいものでした。
・そもそも戸建てではない
・庭がない
・家賃が高い
・利便性が低い
・狭い
・築年数が長い
・冷蔵庫が設置できない
・近くにジャグリングの練習できる公園がない
等
この日も2月中にもう一度内見に行くことを同意するまで地上げ屋は開放してくれず、家賃の受け取りも拒否、2月28日に物件の内見に行くことになりました。
2022年2月28日:地上げ屋の担当者Y推奨の物件を内見(2回目)。現在の物件と比較して下記の欠点があり、こちらもひどいものでした。
・そもそも戸建てではない
・壁が薄く、隣室の生活音がほとんど聞こえる
・家賃が高い
・利便性が低い
・狭い
・築年数が長い
・近くにジャグリングの練習できる公園がない
・隣室の庭に大きな水槽があり、ボウフラが湧くことが予想される
等
同行者からは「3月にとりあえず退去して、満足の行く物件を探せばいいじゃないか」という耳を疑うような発言もありました。今の満足している生活を捨てて転居し、そこで生活を組み立てながらさらなる転居先を探していては、生活において生じる充足した感覚がいつまで経っても定着せず、その場限りのものとして過ぎ去ってしまいます。生活圏を終えた流浪の生活は、旅人として行うのであれば自由なものかもしれませんが、他者に強制された場合は誇りを失ったものとなってしまします。
2022年3月から、地上げ屋の立ち退き交渉は本格化し、身の危険を感じたり、生活に支障が出たりするものになっていきます。
ここで述べたような外圧をユーモアに消化しつつ、家の思い出を締めくくる手段として「家がなくなる展」の開催につながっていきます。
詳しくは下記の記事で読むことができます。