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それ俺の知ってるバブルと違う

こないだたまたま続けて30歳くらいの男子とまた別に35歳の男子と同じ話題になったんだよね。

「WEBTOON、めっちゃバブルですよね!」

って言われて。

いまマンガ業界は確かにどこでもその話が多い。
いろんな会社が参入してきてスタジオ作って。
特にスタジオ側の人たちは制作依頼がバンバン降ってきてるから「バブルだ!」って感じてるんだろう。

でもね。

まずそもそもそのスタジオの人たちがめっちゃ苦労してる。
面白い原作を獲得して、作画のクオリティを上げて、週刊連載のペースマネジメントに専心して……。
みんなヒイヒイ言ってる。対価は貰ってるんだろうけど。

で、なんでそんな苦労してるかというと、なんでも売れているわけじゃないから。
原作脚本が面白くて絵と演出が素敵で連載ペースが高速で安定しているものじゃないと売れてないから。
もちろんその3本が揃っている作品はめっちゃ売れるんだけども。

つまり「一生懸命作った、いい作品がめっちゃ売れてる」っていう状態。

それは普通のことだ!

バブルっていうのはさ……

入社してまだ1年経っておらずまだやっとデスクワークだけ覚えたバイトのぼくが突然何も教えられないまま(みんな忙しいから)見よう見まねで増刊一冊作ったら5万部とか8万部とか売れて毎月利益1000万円です!みたいな嫁姑レディコミバブルとか……

古いエロ漫画が売れすぎて、どんだけ古くてもいけるから会社中を探してめっちゃ懐かしいカラー原稿が6pとか見つかって(エロ漫画雑誌には巻頭につくそういった作がたくさんあった)それを電子化して配信したら利益数千万円です!みたいなガラケーエロ漫画バブルとか……

そういうのだよ!

それでそのモードに入ったら、どこから湧いてくるのか超うさん臭いおじさんたちがワラワラと現れて、今まで地方都市で弁当屋のフランチャイズやってましたみたいなおじさんがITビジネス!みたいな顔でレディコミ作ったりエロ漫画の配信を始めて、いきなり毎月何百万円何千万円の利益出してるみたいな。

そういうのが俺の知ってるバブルであって。

なんなら俺の歳だからそんなもんだけどホントのバブルはもっとすごかったらしいぜって

今のWebtoon界隈には手を抜いてる人も胡散臭い人もまだ全然見かけないからバブルじゃない!

みたいな話をして。

そういえばそもそも35歳以下の人たちって本当にそういう経験をせずにきたんだよね。出版界最後の「なんでも売れるなー」って感じが2000年くらいだったと思うんで。もうそれから20年経ってる。

「なろう系」「異世界転生系」にほのかにその感じがあったけど、それでも昔に比べればやっぱり手をかけた作品が売れていたなあ、という印象。

ぼくがギリギリ経験させてもらったバブルは、手をかけてようがかけてまいがとにかく出せばある程度はなんでも売れる、っていう状態だったんで、確かにそういうのはここ20年味わっていないかもしれない……。

「バブル」ってだからもう教科書的な、歴史上の言葉なんだなあってジェネレーションギャップを感じたお話。

良し悪しはあるけど今を生きる後輩たちに「バブル」を経験させてあげるべく、ぼくたちも頑張らないとね。いや頑張ったらバブルじゃないんだけど。


というわけでWebtoon色々関わってたらセミナーにお呼ばれしました。
他の2人の登壇者Bookwalkerの橋場社長とWhomorの芝辻社長のプレゼンテーションが超充実の内容なのでめっちゃ面白そうだよ!

2022年3月3日の15時からオンライン。誰でも参加可能とのこと!


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竹村響 Hibiki  Takemura
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