君と僕。完結によせて
17年前、中学2年生のときから読んでいて大好きな作品、「君と僕。」が今年完結を迎えた。
当時は学校に漫画を持っていくことが禁止されていたので、単行本をビニール袋に包んでこっそり友達と交換していた。「君と僕。」も、仲の良かった部活の友達から「岬が好きそうだと思って」ということで貸してもらった作品だった。
男子高校生仲良し4人組のゆるい日常から始まった物語。
堀田先生のやさしいモノローグとくすりと笑えるギャグと余白の多い空気感が心地よくて、気が付いたら自分でも単行本を買っていた。
巻を重ねるたびに少しずつ登場人物が増えていって、笑いあり涙あり、ゆったり流れる時間を彼らと共有してきた。
読み始めた頃はお兄さんだったキャラたちが、いつの間にか自分より年下になっているということを初めて実感したのはこの作品だったと思う。
私が大学生のときには2度にわたってアニメ化もされた。自分がアニメサークルに所属していたこともあり、漫画を知らない人たちにも作品を知ってもらえることが嬉しかった。
数あるエピソードの中でも堀田先生の恋愛の描写は秀逸だと思う。
その時間が永遠に続くことはないとわかっているからこそ生まれる、寂しさと切なさを孕んだ空気の表現がとても美しかった。
私の一番好きなエピソードは、祐希と食堂のシンデレラこと花代さんの「colorless blue」だ。恋愛とまではいかなかったかもしれないが、間違いなく祐希の中に生まれた特別な感情がほろ苦く描かれていて印象に残っている。いつもマイペースな祐希が年上の花代さんに翻弄されている姿も新鮮でよかった。
それだけに、最終巻で祐希の進路が美容師の専門学校だとわかったときは嬉しかった。花代さんとの出会いが祐希の未来に影響を与えることになったから。
それと、悠太が卒業式で第二ボタンをあげたい相手がいる(おそらく高橋さんのこと)というのもよかった。
最終巻では花代さんも高橋さんも出てこないので、彼らとの明確な未来はわからない。でも、最後まで余韻を持たせてくれるところが、堀田先生らしくて最高の終わり方だった。
もちろん、千鶴と茉咲ちゃんが結ばれたこともすごく嬉しかった!
この先もみんなが幸せでありますように。
この記事を書くにあたって久しぶりにアニメ1期のOP「バイバイ」を聴いた。
「マイナス1℃の雨が降る」
このフレーズが当時からとても好きだったけど、今聴くとより切なく感じる。この曲の歌詞は花代さんから見た祐希と、高橋さんから見た悠太との関係に重ねて聴いてしまう。
二度と戻らない青春を大切な思い出にして、前に向かって歩いていく。まさに「君と僕。」にぴったりの楽曲だと思う。
堀田先生が療養のため休載されていた期間もあっただけに、こうして完結まで見届けることができて本当に嬉しく、幸せに思います。
堀田先生、長い間連載お疲れ様でした。私の理想の男性キャラはずっと浅羽兄弟です。
素敵な作品をありがとうございました。
君に出会えてよかったよ