2023シーズン ザスパ全選手振り返り 後編
さて、後編!前中編はこちら。
2023シーズン ザスパ全選手振り返り 中編|猛 (note.com)
2023シーズン ザスパ全選手振り返り 後編|猛 (note.com)
29 田頭亮太
あなたの武器を見せてほしい
大学4年生ながら特別指定選手として加入した田頭は既にデビューを完了しており、なんなら初スタメンも経験済みと来季への準備が完了しつつある選手です。ザスパと東洋大の関係性がイマイチ理解できていないのですが、東洋大が田頭をザスパに帯同させる事に拒否的だったように見え、使いたい時に使えないという事もあったように見えました。J2に出場したのは4試合だけでしたが、東洋大で関東1部の試合にも出続け、沢山の経験ができた1年だったのではないでしょうか。
田頭についてはまだ理解できていません。基礎的な技術が高そうなのは見て取れますが、それ以外はまだよくわかりません。アスリートとしての能力も高そう?かなぁ。守備は怪しい予感。A山口戦の失点シーンでの裏の取られ方はちょっと嫌でした。まぁ、わからないです。また来年見てみたい。
特別指定選手ですから、田頭は来年のザスパに確実にいるでしょう。岡本は移籍すると思われるので右SBにはチャンスがあるはず。田頭の武器はこれなのだ!とハッキリしたものを見せてほしい。頑張ってね。
30 小野関虎之介
良い1年だったのでは?
健大高崎高校出身者初のプロサッカー選手としてザスパにやってきたオノトラですが、1試合もリーグ戦に出ることなくシーズンが終わりました。ただ、高卒1年目なんて往々としてこんなものであり、天皇杯でデビューできた点だけでも十分良かったと評価できると思います。1年目から普通に通用してた岡本が異常なだけなので、焦らず頑張ってほしいです。
プレーについてですが、天皇杯ではそもそもボールに触る機会が少なかったため、言葉にするのは難しいです。練習見学ではまだプロに適応できていない印象を受けたので焦らずに努力してほしい。練習を見ていて気になったのがシュートへの意識が高すぎる事。これは彼の高校時代の試合でも見られたものですが、オノトラはエリア外で後ろを向いて完全にゴールに背を向けた状態から無理やりシュートを撃つ悪癖を持っています。
恐らく、高校時代はそれがゴールに繋がる事もあったのでしょうし、積極性として褒められていたのだと思いますが、やはりプロのレベルではそのチャレンジはノーチャンスであり、ただ相手にボールを渡すだけになってしまいます。実際に練習見学ではコーチから「それはノーチャンス」と声をかけられる様子が見られ、その判断をより良いものにするための指導を受けているようです。あとオノトラで凄く良いと感じているのは個人として外部のコーチに依頼して指導を受けている事。チーム練習で満足するのではなく、それ以上を積み上げていくために外部に頼るのはとても良い事だと思います。プロ1年目にして素晴らしい意識の高さ。とても期待しています。
契約更新が既に発表されていますが、とにかく来年もよろしく。焦らなくていい。
33 細貝萌
「サッカー選手」細貝萌に期待しています
まさかこんな1年になるとは思っていませんでした。細貝としても予想外の1年だったのではないでしょうか。昨季は負傷もあってプレー時間は伸びなかったものの、元気であれば絶対的な存在としてチームに求められていました。しかし、今季は開幕から5試合はスタメン出場したものの、それ以降のスタメンは1度もなく、ほとんど試合に絡めないままシーズンを終えました。こんな状況になるとは細貝も思っていなかったでしょう。筆者もびっくりでした。
今季、細貝が出場機会を得られなかったのは足下の技術がチームの求める水準に達していなかったからです。撤退守備とビルドアップの2本柱によって強さを手に入れた今季のザスパにおいて、ボランチの足下の技術は必須項目であり、その不足は致命的でした。また、スタメン出場した天皇杯では下がる必要がないのに下がって受けようとする(城和から下がらなくていい!とコーチングされてた)など、個人戦術でも厳しさが目立ってしまいました。また、年齢を原因としたフィジカル面の低下も見られ、良さであったはずの守備でも微妙という厳しいパフォーマンスでした。大槻さんからの細貝に対する評価は妥当だったと思います。
37歳という細貝の年齢を踏まえれば劇的な改善が起こる可能性が小さいのは事実ですが、それをやらなければなりません。試合に出られない選手がいる事が当然とされるGKと違い、試合に出られないFPに待っているのは契約満了だけでしょう。それを避けるためには選手としての実力をピッチの上で証明するしかありません。
ザスパサポの中には細貝に対して「経験を伝える存在として〜」みたいなまるで指導者か何かと勘違いした期待をする人もいますが、筆者としてはそんな期待はしていません。細貝にはサッカー選手としてピッチの上で勝利に貢献する形での活躍を期待しています。それができるからクラブから契約を与えられる訳だし、それができると思っているから細貝は現役を続けるのです。筆者はそれ以外を期待するつもりはありません。それができないのであればとっとと引退するべきでしょう。そして、引退するにはまだ早いはずです。「元日本代表」細貝萌ではなくて、「ザスパのキャプテン」細貝萌でもなくて、「サッカー選手」細貝萌に期待しています。頑張ってください。
35 玉城大志
左利きのプロスペクト
仙台大学在学中ながら特別指定選手として登録された玉城。今季は1度も試合に出ることなくシーズンが終わりましたが、仙台大ではインカレに出るなど沢山の経験ができたようです。
プレーについてはまだよくわかりません。公開された練習では良くも悪くも印象に残らなかった記憶です。全体練習後に内田、中田と長いキックの練習に取り組む様子があり、そこでは左足の質の高さを見せていました。
大槻さんは右のボランチには左利きを使う方針なので天笠、高橋との競走になりそうです。焦りすぎずに努力を積み重ねてくれれば。期待しています。
36 中塩大貴
ザスパの左SBができるのは君しかいない
今季は中塩にとってキャリアの転機となる1年だったのではないでしょうか。開幕戦から左SBとしてスタメンに並び、そのポジションを1度も明け渡す事無く全試合にほぼフル出場しました。中塩はプロ入りしてからの3年間で通算45試合に出た経験しかない選手でしたが、それに近い42試合にたった1年で出場できた訳です。ザスパに来て良かったね。
中塩の武器はやはり足下の技術の高さで、自信を持ってボールを持ち運べる選手です。間に付けるようなパスにも積極的で、とても素晴らしい技術を持った選手でした。また、逆サイドまで見渡す視野の広さも武器の1つで、A水戸戦で見せた岡本へのパスは今季のハイライトの1つでしょう。ビルドアップで大きな貢献を見せてくれるのが中塩大貴でした。
反対に課題としてはやはりアスリートとしての能力の低さでしょう。瞬間的なスピードやアジリティは特に課題で、ザスパの守備組織がその状況を作らないように中塩を守っていましたが、ドリブルを止めるのがあまり上手ではない事が今後のキャリアでネックになりそうな予感です。ここはもっと伸ばしたい所ですが、どうしても生まれ持ったものに左右されてしまうので、それを誤魔化せるチームを選び続ける必要があるでしょう。
来季の中塩についてはわかりません。素晴らしいシーズンを過ごした中塩ですが、それは大槻さんのやり方にマッチしていたからであり、他クラブでも今季のような活躍ができるか?と言うとだいぶキツいだろうというのが筆者の感想です。大槻さんが新しいクラブに行ったらそこへ移籍するみたいな感じで、中塩の良い所だけを引き出してくれる大槻さんとできる限り一緒にいた方が良い気がします。まぁ、181cmの上手い左利きなんて誰もが欲しがる選手なのでオファーはあるでしょうが、断った方が中塩のキャリアのためになるはず。ザスパとしても中塩のような選手はなかなか取れないので残ってほしい。ザスパにいる事がこれ以上ないほどザスパのためにもなり、中塩のためにもなる良いケースだと思ってます。大槻さんと一緒にいた方がいいよ。来年もよろしく。
38 天笠泰輝
天笠泰輝はマジでザスパが育てた
素晴らしいという一言では足りないくらいに素晴らしいシーズンだったのではないでしょうか?昨季は左SHとして起用されていた天笠でしたが、今季からボランチとして起用されるようになると大きな飛躍を見せました。40試合もの試合に出場し、そのほとんどでスタメン出場しました。今年1年だけでも大きく成長した選手であり、とても良い1年だったように思います。
昨季までの天笠の良いところは切り替えの早さにありましたが、良さはそのままにセカンドボールの競り合いで強さを見せられるようになりました。セカンドボールを回収して1人でボールを持ち運ぶプレーができるようになった事も大きかった。それらはチームとって大きな助けになっていました。また、強いキックが蹴れるのも武器の1つで、A甲府戦のゴールは彼の武器そのものでした。来年はもっと確実性を上げてミドルから3点くらいとりたいね。
課題はトラップが大きくなりがちな事で、それが相手のショートカウンターのきっかけになっていました。しかし、シーズンが進むにつれてそのようなミスは明らかに減少していましたし、確かな成長はそこでも伺えました。シーズン中盤まで天笠のボールロストからの失点が何度もありましたし、不満を感じる事もありましたが、それでも大槻さんが起用し続けた事でこんなにも成長できました。投資の勝利だと思います。選手を育てるってこういう事だよね。
これまでザスパから上のクラブへ飛び立って行った選手は江坂や瀬川をはじめとして沢山いますが、我慢して起用する時間を経ずに最初から凄いプレーを見せる選手がほとんどで、育てたというよりは活躍の場を与えたという感覚でいます。育ててはいないよねみたいな。しかし、天笠についてはザスパが我慢して起用したからこそ活躍するようになった選手なので、マジでザスパが育てたと言って良い気がしています。
そして、そんな天笠の来年は移籍しそうだな〜なんて思っていたら契約更新を発表!やったー!来年の君に期待しています。天笠は必要不可欠な戦力です。
39 高木彰人
高木についてはプレーの話とかないです。話にならない。昨季ザスパに在籍した伊藤元太とTwitch配信にて深夜1時過ぎまでゲームをやっている様子が確認されており、それ以降嫌いになりました。
別にゲームをするなとは言わないし、プライベートの時間をどう使おうが自由ですが、深夜までゲームする、それを配信するとなるとちょっと話が変わってきます。結果残してる選手や若手がそれやってたら勘違いしちゃってるのかな?とかまだ言い訳の余地があるのに、試合で全く活躍できてない26歳の高木がそんな事やってたら活躍できない理由の証明にしかならないじゃん。あと、1番ショックだったのは深夜まで起きている事に何の罪悪感も感じてなさそうだった事。休養のとり方、睡眠時間がパフォーマンスに影響するとまるで知らないかのように振舞っていたのが残念でした。というか、ちょっとは隠そうとしてくれよ。ヤバいだろ。
サッカーは相手がいるスポーツなので、活躍したいと思ってもできないのは知ってるし、結果を出したくてもなかなか出せないのも知ってます。でも、結果を出そうと努力する姿勢であったり、努力する姿勢は本人の気持ち次第で見せられるはず。できないを責める事はしないけど、やらないを許すつもりもありません。活躍しろとは言わないので努力はして下さい。努力してないなら、せめてそれを隠そうとして下さい。君がザスパをクビになって僕は本当に嬉しいです。お疲れ様でした。
42 石井 遼
勝負の前にまず成長
今季はGKの2番手としてリーグ戦の全てにベンチ入りしました。櫛引という存在の大きさ、GKというポジションの特殊性から、1試合も試合に出ることなくシーズンが終わりましたが、それでも得るものはあったでしょう。
石井の武器はキック精度とクロス対応の上手さで、この2つについては櫛引より上かな?と思うほど質の高さを持っています。キックの回転はあまりに綺麗で伸びがあり、クロスをキャッチする高さはザスパGK陣でベストでしょう。空中姿勢も○
一方で課題はそれ以外の全てです。最も気になるのはシュートストップ能力の低さ。あくまで筆者の感覚ですが、クロス対応は練習すれば良くなる可能性が高いのに対してシュートストップは練習してもなかなか伸びず、生まれ持ったものに左右される印象を持っています。なので、ここをどれほど伸ばせるかは未知数です。試合前のシュート練習でもなかなか止められず、公開された練習でもステップや足の運びなど基礎的な練習で何度も指導を受けるなどまだ色んなものが足りない様子が見られました。まぁ、まだ23歳なのでこれから積み上げていけば良いのですけれど。
石井は来季もザスパにいる事が既に発表されています。来季も2番手の立場にいられるかは石井次第でしょう。今季は身長と年齢を理由に山田より序列が上に位置づけられている印象があったので、来季は実力で立場を手に入れてほしい。頑張って。
44 山田晃士
新たな挑戦に乾杯
今年は2番手GKとして櫛引に挑む1年になる!と思っていましたが、石井の加入によって3番手に序列が下がり、なかなか苦しい1年になってしまいました。シーズン通してベンチ入りもできず、天皇杯にも出られず。悔しい1年だったでしょう。
山田の良いところはプレーの丁寧さにあります。櫛引の項でも触れましたが、いつも100点を取りに行くメンタルを持っており、キャッチはしっかりキャッチ、弾くなら大きく弾くとハッキリしたプレーが彼の良さでした。一方で179cmという身長はやはりネックで、むちゃくちゃ足下が上手いとか何らかの付加価値がないと厳しいのも事実でした。ただ、石井よりレベルが低いGKだったか?というとそうは思えず、基礎的な練習で指導される石井より山田の方が良いGKだったと思っています。
ではなぜ石井の方が序列が上だったか?というと、石井の方が背が高く、若いからだったと思います。確かに今の実力は山田の方が上ですが、5年後に序列が逆転している可能性は高いでしょう。しかし、山田からすればそんなの知ったことではありません。身長も年齢も差が縮まる事は絶対にありませんから、山田としてはもどかしさしか感じられなかったでしょう。そう考えると契約を拒否した山田の選択は正しかった気がします。今の実力を見て立場を決めてくれるクラブへ行ければキャリアを切り開くチャンスがあるはずです。ザスパが間違ってるとは思いませんが、これ以上ザスパにいても山田のためにならないのは事実でしょう。これからの山田の挑戦に期待しています。がんばれー!
47 杉本竜士
彼の不器用さをチームがどう受けいれていたのか?
長倉が移籍するとほぼ同時に東京ヴェルディからやってきた杉本竜士ですが、なんとも言えない半年間を過ごしました。契約の関係で出られなかったHヴェルディ戦以外は全試合にスタメン出場。トップ下で起用されたH岡山戦を除いた全ての試合で左SHで起用されました。パフォーマンスは決して悪いものではありませんでしたが、0G0Aと数字を残せず、最高の補強!とは言えなかったと思います。
杉本の武器はドリブルの上手さと献身性にありました。SHに大きな守備負担がかかる戦術を採用していたザスパですが、その役割を全うする素晴らしい献身でした。また、ドリブルもとても上手く、相手のファールを誘ってFK獲得マシーンと化していました。ボールを前に進める手段を失っていた後半戦のザスパにおいて、杉本の獲得するFKはとても大きなものでした。FKで試合が止まるので、チームの呼吸を整えるきっかけにもなっていたと思います。
一方で杉本の課題、というより気になったのはチーム内での人間関係。正直、上手くやれていない印象を受けました。A水戸戦の途中交代でピッチを出る際に右サイドまで歩いていってもチームメイトが誰もハイタッチや労いの言葉をかけようとしなかったり、全体練習終了後のクールダウンで1人で走っていたり(普通は他の仲の良い選手と一緒に走る)、A大分戦で審判に怒った杉本を誰もなだめようとしないなど、人間関係での課題があるように見えました。インスタでも感情的な文章を書く(普通、うるせーとは書かないでしょ笑)選手ですし、恐らく周囲の人間から誤解をされやすいタイプなのでしょう。そして、その誤解を解くには半年では時間が足りなかったのだと思います。
来季についてはわかりません。正直、ザスパで誤解を解くよりも新しいクラブで人間関係を築き直した方がスムーズな気がしています。そもそも関係が悪かったのも確定じゃないけど。でも凄く良い選手でした。これからも頑張って。
50 菊地健太
新しいクラブへ行った方がいい
菊地は苦しい1年を過ごしました。10月14日に延期されたA藤枝戦でJリーグデビューしましたが、その後A山形戦に9分出場したのみでシーズンが終了。苦しいとしか表現のしようがない1年でした。
菊地の良いところはアスリートとしての能力の高さにあり、攻め上がった方が良さの出る、典型的なSBでした。しかし、CBのような左SBを求める今のザスパのやり方において、そんな菊地の持っている良さは合致しておらず、試合に出られないのはある意味必然でした。菊地がどうというより、チームに合ってませんでした。
菊地は新しいクラブへ行った方が良いと思います。来季中塩が残るにせよ移籍するにせよザスパはやり方を変えないでしょうし、やり方を変えないならば菊地が活躍するチャンスはほとんどありません。サッカー選手がサッカー選手でいられる時間は短いので、もっと能力を生かせるクラブへレンタルでも何でもいいから移籍した方が良いでしょう。出場機会を得ないと選手は未来を切り拓く事ができません。頑張って。
という訳で全選手振り返りはおわりっ!
今季はほとんどの選手が素晴らしい努力を見せてくれた1年だったと思います。僕は結果とか数字だけではなくて、どんな努力をしていたか、どんな成長があったか、そういう中身みたいなものを見落としたくないと常々思っています。数字は大事だけど、評価の基準がそれだけになると継続的な結果を出せなくなると思うので。どうやって結果を出そうとしているのかを見ようと僕は頑張るので、選手もそういう姿勢を失わないようにしてほしいです。そういうものを見逃さないように頑張ります。来年もザスパを応援します。頑張って。
とりあえず自己満足の文章を書きたいだけ書けたので僕は満足です。今季がどんなシーズンだったか、どんな選手がいたか、数字の他にどんなプレーがあったか、来季以降、いつか振り返りたくなった時に振り返れるように。今年も1年間お疲れ様でした。
強い気持ちで。
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