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コンゴ民主共和国で拡大するエボラについて、いま知っておきたいこと

コンゴ民主共和国(DRC)で、エボラウイルス病(エボラ出血熱)の感染が広がっている。

世界保健機関(WHO)によれば、2019年5月15日時点で死者は1073人に達している。

今回のエボラの大流行は、2014年〜16年に西アフリカで発生した大流行に次いで、過去2番目の規模に達している。

しかも、感染が拡大している地域が紛争地で、医療チームが武装勢力から繰り返し攻撃を受け、4人が死亡している。このため、感染の封じ込めを目指す取り組みが困難な状況になっている。

イギリスのガーディアンは5月15日付で、コンゴ民主共和国のエボラが「制御できない」とする、専門家のコメントを報じている。

エボラウイルス病について、いま知っておくべきことを整理する。

大流行の経過

コンゴ民主共和国の保健省が2018年8月1日、北キブ州で、エボラウイルス病の発生を宣言。以後、10カ月にわたり感染が拡大を続けている。

感染者数
感染が確認された事例:1672例
疑い例:88例
合計:1760例
死亡者数
エボラによる死亡と確認:1073人
疑い例:88人
合計:1161人

今回の致死率は、確認された事例だけでも、64.1%に達する。WHOによれば、昨年8月以降、コンゴ民主共和国で11万1,000人がワクチンの接種を受けたが、新たな感染者の確認が続いている。

武装勢力の攻撃で、医療チームが近づけないコミュニティが存在し、ワクチンの接種を含む医療の提供にギャップが生じているためだという。

今回エボラが発生した北キブ州は、コンゴ民主共和国の東部にあり、ウガンダやルワンダと国境を接している。

医療チームへの攻撃で、4人が死亡、38人が負傷

WHOが5月3日に現地で開いた記者会見の記録によれば、1月1日から5月3日までに、医療チームが130回の攻撃を受け、4人が死亡、38人が負傷した。

4月19日には、北キブ州内の大学病院が襲撃され、医師が死亡している。コンゴ民主共和国東部で活動する、「マイマイ」と呼ばれる民兵組織による攻撃とみられている。

5月16日付のワシントンポストは、エボラ対応にあたっている医療従事者たちが、白衣や手術衣を着るのを避け、極秘で行動せざるを得ない状況になっていると報じた。


上記は、世界の紛争や、市民への攻撃、テロなどをマッピングしてウェブで公開している"Armed Conflict Location and Event Data"(ACLED)から、コンゴ民主共和国の国境地帯の地図をキャプチャした。

エボラの発生が宣言された2018年8月から、直近の2019年5月19日までの間に、コンゴ民主共和国で起きた戦闘行為や、一般の人たちに暴力が向けられた事案を抽出すると、北キブ州など国境地帯で頻発していることがわかる。

感染経路

国立感染症研究所(日本)によれば、エボラに感染したチンパンジー、ゴリラ、サルなどの野生動物の体液と接触したことで、ヒトに感染したケースが報告されているという。

ヒトからヒトへの感染は、感染者の体液や排泄物、感染者が触れた物品などに触れることで、感染が起きる可能性がある。とくに、傷のある皮膚が感染者に体液が触れた場合、感染のリスクがある。

頻発する医療従事者への攻撃で、週ごとに確認される感染者の数は、増加傾向にあり、さらなる感染拡大が懸念される状況になっている。

Photo by  Vincent Tremeau for World Bank via Flickr taken on January 17, 2019, Beni, North Kivu region, Democratic Republic of Congo. A health worker vaccinate a man who has been in contact with an Ebola affected person.

写真は、世界銀行提供。医療従事者が、エボラの感染の疑いがある人と接触があった男性にワクチンを摂取している。

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