【海業のススメ】日本の水産業が変わる?全漁連の本気はすごい!
2023年から本格始動した海業。ざっくりいえば、地域の様々な業種が手を取り合って、「地元ならでは」の海の素材を活かして盛り上げていきましょうといった取り組みです。そんな地元の海で欠かせないのが、地元の漁師さん。漁師さんは、地元の海を何百年と代々守り、地元の海を知り尽くし、「地元ならでは」のおいしい地元料理の素材を獲ってきてくれる、地域の海の産業の立役者でもあるわけです。海業を進めるにあたってなくてはならない存在ですよね。そんな全国の漁師さんを支えているのが、全国漁業協同組合連合会、通称、全漁連です。今回はその全漁連さんの取り組みについてのお話です。
海業って何なの?
海業自体は約40年前に作られた考え方なのですが、日本の政策として明確に位置付けられたのは2022年とつい最近の話。
2023年に本格始動して、募集をかけたところ海業のモデル地区として選ばれたのが12地区。
そして水産庁は、2023年7月、新たな目標として5年間で500の海業を取り組むと目標を立てたのです。
そのまま記事を読んでいたら、1年間で12/500となるわけで、あと4年で488件作らなければならなの?となるわけで、本当に達成できるの?と途方に暮れるわけなのです。とはいえ、地元の海では取れたての魚が手に入る朝市や地元漁協が直営する鮮魚店、漁船を使った釣り船などなど様々な取り組みをすでに行っていました。そんな地元の海の取り組みを見てきた私からしてみると、きちんと拾っていけば目標の500なんてすぐ行ってしまうでしょと思っていたのですが、ことはそう簡単にはいかないようです。というのもこの500件については「新たな」取り組みとしての目標だったのです。また振出しに戻るのかと考えていると新たな情報を手に入れました。
そうして全漁連さんにお話を聞きに行ってきました。
全漁連と浜プラン
日本の漁業界(通称、JFグループ)の構造には、しっかりした組織体制があって、地域の漁師さんを支える漁協。その地域漁協を都道府県ごとに支える都道府県漁連。そして全国の都道府県漁連を支える全漁連。といった構造になっています。
そんなJFグループが一丸となって地域の海をさらに盛り上げようとしているのです。というか、そんな取り組みをすでに行ってきていたのです。それが、浜の活力再生プラン、通称、浜プランです。
浜プランは、2014年に始まった取り組みで、漁協を中心に水産業を活性化させることを目的とした政府が進めている取り組みです。そしてこの浜プラン。単なる旗揚げ的な取り組みではなく、その内容もかなり具体的。
例えば
・漁業所得10%アップを目指す。
・課題、計画、目標を明確にした計画書を作成する。
・5年ごとに計画の見直しを行い、PDCAを回していく
と、地域の水産業を中心に地方の売上を上げていくためにリアルにどうするかといったプランを立てて、実際にやってみて、検証して…ということを行ってきているのです。そのプランの策定・実践を全国的に支援しているのが全漁連というわけです。
この浜プラン、5年をひとまとまりとして、第1期(2014~)より漁業者主体で取り組んでいき、第2期(2019~)からは漁業者主体の浜プランに加えて「異業種連携」というもう1つのテーマが加わって進められてきました。今まで全国554にも及ぶ地域で浜プランが取り組まれその1/3が目標を達成するという驚異の数字を叩いています。
この浜プランは、全漁連が管理している「浜プラン.jp」(https://hama-p.jp/)のサイト内で、どの地区がどんな取り組みをしているのか見ることもできます。
その他にも、よりリアルな地域の取り組み経緯やアイデア、インタビューなど浜プラン.JPには海の取り組みの情報が詰まっています。
そんな浜プランも2024年には第3期に入ります。そこで今回のテーマが「海業」なんです。今までの水産業を中心とした漁業所得向上に加えて、海業の施策も取り入れて、漁村地域全体の活性化を図っていきましょうという形にしていくとのこと。ここまでの実績を持ったJFグループが海業も視野に浜プランを進めるということになるというのが、この2024年というわけです。
海を変えるのに必要なもの?
では海業でも始めましょ!といってもなかなか思う通りにはいきません。というのも海業は、マリンレジャーや宿泊施設、食事処など観光業といった面が強いわけです。いくら地元の海や魚のプロである漁業者といえども、観光業や店舗経営といった別の産業での商売となると畑違いすぎてわからないというのが現状です。海業に取り組むには民間企業や商工会議所、地域の役所など様々なプレイヤーが必要となってくるのですが、なかなか接点さえもない状況。私が実際見てきた異業種連携の成功事例の多くは、ある課題に対してたまたま話してみると解決できる人がいてなんとなくやってみたら成功したということをよく耳にします。そのため、漁業×DXとか漁業xマリンレジャーといった単発の取り組みが多いのが現状といったところです。そんな単発の出会いでさえ奇跡なのに連携なんてそうそう叶えられるものではないのです。ましてや海業といえばもっと多くのプレイヤーとの接点が必要になってくるわけです。やや無理ゲーに近い状況です。とはいえ現場では他にももっと困っていることやこうだったらいいのになといったアイデアがたくさん埋もれています。アイデアや理想があってもそれを実現するには”どんなことが必要で、どんなスキルが必要で、そんな人がどこにいるのか”という入口で躓いてしまうわけです。いわゆるマッチングができないのです。
そこで全漁連では、政府の「漁業・異業種連携推進事業」(2018~2022年度)の実施主体として、漁業者・漁協と企業との連携促進に取り組んできたノウハウ等を活用し、イベント出店の際に名刺交換した先や、「浜プラン.jp」の問い合わせフォームから問い合わせのあった企業などと個別に面談を行って、マッチングしそうな漁協があれば、繋げるというサポートをしているのです。
さあ、2024年新たな取り組みとして全漁連も動き出しました。あとは勇気をもって1歩踏み出すかどうかは、あなた次第です。日本の海が明るくなるのも間もなくです。この波乗るしかないですよ。
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