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脱炭素の国際ルール(SDGs14.3 その4)

地球規模で見逃すことができない問題になってきた二酸化炭素。この二酸化炭素を排出を無くす取り組みを脱炭素と言います。脱炭素を国際的な取り組みとして取り上げたのは今から約30年も前になります。歴史ある取り組みであるがゆえに協定やら会議やらといろいろあって今ではいろんな媒体で様々な言葉が飛び交っています。まずはその意味を理解しないことには話が見えてこないので、今回は世界がどのように脱炭素へと取り組んできたか、時系列に重要項目に絞ってできるだけわかりやすくしてみようと思います。

始まりは1992年6月3日のリオ・デ・ジャネイロでした。この日、地球の温暖化対策の一歩が踏まれたのでした。その名は「気候変動に関する国際連合枠組条約(通称、地球温暖化防止条約)」です。(※1)「自然の生態系などに悪影響を及ぼしている温室効果ガスを抑え込んで、未来の地球の気候を守りましょう。」というような内容です。この条約が1つのきっかけとなり、地球温暖化の対策が広く知られることになったのです。ここから地球規模の温室効果ガスに関する専門の会議(※2)が開かれることとなりました。この会議(COP)は1995年から毎年、開かれることになったものの、この時点ではまだまだ抜け穴がありすぎて、まずはルールを作り直しましょうということになりました。

1997年、3回目の会議(COP3)が京都で開かれました。その会議で「まずは世界を引っ張っている先進国がお手本をみせないといけないね」という話が持ち上がってきました。そこで先進国は覚悟を決め、1990年と比べて、5%以上ということを条件に温室効果ガスを減らすことになったのです。これが「京都議定書」です。世界が初めて交わした温室効果ガスに関する約束事になったのでした。(※3)しかし、その後脱退国があったり、今後成長してくるだろう発展途上国こそ温室効果ガスの問題が深刻になるのではないかという問題が上がってきたりと再度仕切り直しをすることになりました。

仕切り直しにはだいぶ時間がかかりました。ようやく2015年、21回目の会議(COP21)で方向性が決まりました。
1、17世紀の産業革命の時と比べて2度以上あげないこと。
2、二酸化炭素の排出と吸収でプラスマイナス0にしましょう。
といった内容です。これを開催されたパリにちなんで「パリ協定」と呼ぶようになりました。

とはいえ、前途は多難でした。2016年時点での先進国の二酸化炭素の排出量は世界の約1/3程度。残りの2/3を占める開発途上国の協力なくしては実現しない目標となってしまったのです。ということで、技術が進んでいようとも遅れていようとも、人口が多かろうとも少なかろうとも、オール地球で取り組まなければならないということで全世界を対象に取り組むようになってきました。(※4)

このパリ協定の特徴は、最低ラインなどの条件を設けないで、あくまで鶴国が自主的に目標を決めるという形になりました。ちなみにこの段階では、日本は2013年度比で26%削減することにしました。しかしこれでも全然足りないということで2021年4月22日、主要40カ国による気候変動サミットが開かれたときに、日本は2030年までに46%まで削減すると引き上げたのでした。

この脱炭素の流れは、海の産業にもやってきました。最も輸送効率が良いとされる海上輸送でも、船から出る二酸化炭素は年間約8億トン。世界の二酸化炭素の全排出量の2.2%を占めています。(※5)パリ協定や様々な気候変動の会議などで、海の業界も脱炭素の方向へと進むこととなり、2030年までに船で発生する二酸化炭素の40%を削減を目指すことになりました。そして2021年、この40%削減という目標のため具体的な海のルールが決まりました。それは、
1、1隻1隻の二酸化炭素を計算して、基準値に満たせなかった船は改造するか、もしくは打ち壊すこと。
2、全世界の船をA〜Eに分けて、3回連続Dランクだと落第。Eなら、1発で落第。落第になった船は、二酸化炭素を出さないようなレポートを提出すること。
となったのです。(※6)

このルールの最初の対象船は、世界中を回る貨物船などの外航船です。このような外航船をターゲットに2023年1月1日から開始されることになっています。でもこの流れは最終的には全世界の船、小さな小船にも課されることになっていきます。海の脱炭素のルールは今後も厳しくなる一方で、お金を払って二酸化炭素を吐き出す時代がやってくるのです。(※7)

※1、UNFCCC United Nations Framework Convention on Climate Changeの略。気候変動枠組条約などともよばれます。条文はこちら
https://www.env.go.jp/earth/cop3/kaigi/jouyaku.html
※2、COP Conference of the Partiesの略。日本語にして「気候変動枠組条約締約国会議」
※3、京都議定書
https://www.wwf.or.jp/activities/basicinfo/3536.html
※4、パリ協定
https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/tokushu/ondankashoene/pariskyotei.html
※5、船舶から排出される温室効果ガス(GHG)削減に関する IMO 戦略
https://www.mlit.go.jp/common/001250101.pdf 
※6、IMO 第 76 回会合海洋環境保護委員会(MEPC 76) 主な審議事項
https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001407950.pdf
※7、国際炭素税といって、二酸化炭素1トンにつき、2ドルの税がかかるというもの。


国立Qゼミ(海はいつから塩分がふくまれるようになったの?)
https://www.qzemi.com/junior/qbox/36

PNAS Rapid ocean acidification and protracted Earth system recovery followed the end-Cretaceous Chicxulub impact
https://www.pnas.org/content/116/45/22500

哺乳類の家畜の割合
https://salad.co.jp/%E6%9C%AA%E5%88%86%E9%A1%9E/sustainablelifestyle/


プラスチック→仮想通貨
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/81485

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