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海洋ごみ(SDGs14.1 その2)

例えば、ここに1つのビスケットがあるとします。このビスケットは1つづつ袋に入っています。そのビスケットは12個にまとまっていて箱に入っています。その箱には見た目をよくするためにきれいな包装紙で包まれています。そしてこの箱は10箱で1セットになるように段ボールでお店に届いていたりします。この1つのビスケットを食べるためには袋、箱、包装紙、段ボールと4つの包装物を開けなくてはいけないのです。このような梱包物があるおかげで、私たちは衛生的に、効率的に、安全に、このビスケットを食べることができます。言い換えれば、この包装物は、私たちのために捨てること前提で作られたものです。捨てるもの、つまり使わなくなったものをゴミと言います。皆さんがすてるゴミ袋の中を見てみるとそのほとんどはそういった包装物や容器だと思います。このよう捨てるために生まれた包装物や容器は、ごみ全体の約6割以上を占めています(※1)。
※1、環境省「容器包装廃棄物の使用・排出実態調査の概要(令和2年度)」

必ず、生まれるモノはすべて寿命というものがあります。SDGsでも「つくる責任 つかう責任」といった、作ったからには最後のところまで考えていきましょうという1つ項目があるほどです。現在の人間がモノを作るスピードは、1.7個分の地球が必要なほど、資源を湯水のごとく使っている状況です(※2)。人間は、一生懸命ゴミを作っているともいえるのです。このゴミは世界全体で1年間に21億トンも捨てられているのです(※3)。つまり、人間1人が1年間で捨てるゴミの量は272㎏。世界の平均体重が62㎏なので、自分の体重の4倍以上のゴミを捨てているとも言えるのです。しかもビスケットの袋とかちょっと運ぶためのレジ袋とかその時だけしか使わないゴミが約6割という状況です。

※2、世界自然保護基金(通称、WWF)が提示する、自然資源の略取によって生じる環境負荷を数値化した環境指標「エコロジカル・フットプリント」より
https://www.wwf.or.jp/activities/activity/4033.html
※3、Verisk Maplecroft(イギリスの国際的なリスク分析会社)の2019年のデータより

とはいえ、モノを作ること自体は悪いことではないですし、進化していくためには新たな何かを生んでいかなくてはいけません。ゴミができてしまうのはしようがないものです。でも、ゴミを捨てると言ってもどこに捨てているのでしょうか?みなさんはゴミはゴミ箱に捨てると思います。でもそれだけでは終わりません。ゴミはゴミ袋にまとめられ、そのゴミ袋をゴミ収集車が回収して、ゴミ処理場に行きます。集められたゴミは、埋められたり、燃やされたりしています。つまり、ある場所にゴミが集めて見えないようにしているだけなのです。でも管理されているだけまだ救いがあります。この一部のゴミは海にも流れているのです。

ちょっと風に持っていかれたごみは必至で追いかけませんし、気づかずに落としてしまったごみなどは知る由もありません。そういったごみはいつしか海にたどり着き、文字通り海の藻屑となってしまうのです。そして一度広大な海に行ってしまったら最後。ほとんど見つけるのは不可能です。海に捨てられるというよりも、海にたどり着いてしまったゴミの量は1年間で3400万トンと言われています。そのうち死んだ魚貝類や枯れた海藻などの自然物もありますが、15.9%と言われています。しかし、この海洋ごみの中で65.8%を締めているのがプラスチックなのです。(※4)この人間のために作られたプラスチックが毎年800万トンも海に流れ着いているのです。数字が大きすぎてわかりにくいかもしれませんが、わかりやすく言うと、このままの調子でいくと2050年には世界の海にすむすべての魚の重量よりも、プラスチックの方が多くなる問うことになるのです。

※4、【増え続ける海洋ごみ】今さら聞けない海洋ごみ問題。私たちに何ができる?
https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2020/43293



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