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ポゼスの遊山録ータイ編①ー

さて今回の記事は、THE POSSESS・理科ブレを好きな方々のなかでも殊更コアな方々が読むことを前提にタイでの男三人の珍道中を書き散らします。

タイでの思い出はこのMVに

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「海外で撮影しよう!」

我々、ザ・ポゼスの不定例ミーティングでその意見が出るのは初めてのことではなかった。数年前、1stAlbum収録の『毒めく街と踊る人々』のMV撮影会議でもそういった意見は上がっていたし、それ以後もポゼスのメンバーが集まる度に海外へ撮影に行きたいという言葉は誰かしらの口から出ていた。

しかし、ポゼスのメンバー(実は5人)はそれぞれに会社勤めをして生計を立てており、繁忙期や休日のタイミングがテンデンバラバラ。海外に行けるだけのまとまった休みを同時に取るのはほとんど不可能に近い。

その上、行動様式に異常なこだわりのあるメンバーが多く(例えば、2時間置きにプロテインを摂取しないといけない!と言い張る男はプロテインを持ち込めないため国際線の飛行機に乗れない。また毎日ジムにいかないといけない!とも言い張るその男はタイにゴールドジムがないため旅行に行けない。また日々変動するレートに右往左往する職の男はおのれの感情も刻々と変動させ、行くと言ったり行かないと言ったり、秒単位で返答が変わるので航空券を取れない)、全員が軌を一にして海外に行くということはなかなか難しかったのである。理科ブレではトビキリ一番ワガママボーヤなダイオキシンボーイが他のメンバーをなだめるポジションになるぐらいポゼスのメンバーは偏屈なのである。

しかし、なのである。

難しい難しいと言っていたら、いつまで経ってもコトは実現しない。

コトを進めるには思い切りと先決が肝要である。

「俺たちってまだライブできるほど演奏うまくないし、できる曲もないよな…?」など冷静謙虚に言っていたら、いつまでもステージに立てないのと同じである。先にライブの日を決めてきて、それに向かって練習・曲づくりを猛烈にやるのである。

そうしているうちに、いつの間にか少年は立派なライブができるようになっている。「先に本番の日を決めてしまう」それが人生で大事だと私はバンドで学んだ。

という訳で、2019年の夏、ダイオキシンボーイ、本気マジ太、私の3人は半ば勢いで海外撮影旅を決めた。

決行は半年後の冬、旅費・所要日数・航空便の時程・雨季乾季を考慮し目的地はタイ・バンコクと相成った。


さっきも書いたが曲が先にあってタイで撮りたいから行くのではない。タイで撮影したいからタイに合う曲を作るんである。

意気込み、勢い溢れるままに私はズンガズンガと最寄りのHISまで闊歩して行き待合いにある椅子にすねをぶつけた。すねをぶつける私は交渉前には事前に入念な下調べをするタイプである。男3人でタイに行くなら、およそこの便であの辺に泊まるだろうことをメモにまとめたうえで、HISのオネイサンと検討に入った。オネイサンはテキパキと現地のホテル情報や航空便のプランニングを進めてくれ、あとはもう契約するだけかと思った瞬間、彼女の口から驚くべき情報がもたらされた。

「座席指定は搭乗日近くにならないとできません」

「なんとおっしゃいまし!?」

「このプランでは座席指定が」

「We cannot....」

なんということだ。

いや、個人的には別にいい。どうせ深夜発早朝着のナイトフライトで景色も見られないから窓側じゃなくてもいい。

問題はダイオキシンボーイである。

ダイオキシンボーイはワガママボーヤの割に飛行機が大の苦手で、理科ブレのライブで仙台に行ったときも彼は3列シートの真ん中に座り、メンバーで挟みこまなければフライトドリーマーできなかった。離着陸時には彼は両隣りのメンバーの腕をがっちり掴んで、機体が上下するたびにワァワァ!と大騒ぎしていた。

座席指定ができず離れ離れに座った場合、ダイオキシンボーイは緊張のあまり大声で早口言葉シャトルランを叫び続け、飛行機から降ろされるかもしれない。

座席指定はポゼス海外プロジェクトの成功に必要不可欠なのだが…。

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ダイオキシンボーイは飛行機に乗れるのか!?

次回「ダイオキシンボーイ乗る!」

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記事があまりにも長くなったので連載形式にしようと思います。


Mt.Pontaro

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