Rule of thumb 〜経験則
術者はどのように実力を向上させているのか?
実力をどのように強化しているのか?
この質問に対する答えを一言で表現するならば、“経験”だ。
経験は時間の蓄積である。
一定の然るべき時間を経て積み重ねられた結果が経験である。
有名なシェフのレシピ通りに定量の材料を加えて料理をしても同じ味にならないように、完璧な知識と正確な技術以外に何かが常に必要なのである。
それはまさに様々な症例を通して蓄積された経験による自分だけの特別な味付けと言える。
医学分野で経験を通して蓄積された手術の症例数は、教科書、論文、各種ビデオ、及び学会参加、手術参観等から身に付けた。
間接的な経験と有機的に組み合わさり、術者の判断や決定を導き出す。( surgical descision and judgement )
このような判断や決断は、術者の経験が蓄積されるに従い少しずつ変化していく。
科学的な考え方と、計算的でなければならない医学と、これを基とする医療環境は、他にも多くの変数や突発状況に遭遇する。
科学的な証拠に基づくデーター( evidence baced data )や検証された参考文献( reference )を根拠として突き付けても、成熟し、熟練した術者が判断や決断を下す際には、常に“ rule of thumb ”つまり、経験則が適用される。
そこには蓄積された経験だけでなく、直感( intuition )という動物的な感覚さえも入り込んでいかなければならない。
鼻に関わる全ての事が知りたい、全てをうまくやり遂げようという覇気に満ちた私のこれまでの17年間を振り返ってみると、様々な事が思い浮かぶ。
論文を少し多く読んだからといって、専門書に幾度も目を通すからといって、あるいは十分な頭脳や正常な10本の指があるからといって、優れた術者になれるわけではない。経験を積むに相応しい一定の時間を経なければならないということ。
時間が流れていく間に、絶えず挑戦し努力しなければならないということ。
そこに調味料のように染み込んでいく然るべき直感と感覚が、最後のひとさじの塩のように付け加えられなければならない。
経験を積むに相応し期間との間に、待ってはくれない身体の老化に多くの術者は足を引っ張られる。
周囲の先輩や同僚達は、50歳を過ぎると様々な身体の変化や違和感を感じると言う。皮肉ではあるが、これは手術の現場にいる全ての術者の宿命である。
老いない術者はいない。積まれた経験への必須条件は、健康な身体である。少しだけ急ごう。
ジョン・ジェヨン
あとがき
ジョン先生は鼻のオープン法の形成術で、35,000症例の経験があります。
韓国だけではなく、国をまたぎ日本国内のドクターからも鼻の神様と一目置かれているのは、さまざまな症例と向き合い、技術向上を目指された17年があったからだと思います。
SNSには目に見える、綺麗にみえる症例はたくさんあります。
その奥にある、手掛けたドクターの経歴にも目を向けてみるといいかもしれません。
違った何かを発見し、クリニックやドクター選びができると思います。
広報・編集*makiko
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