鼻中隔延長術によるトラブルケースについて

今回の記事は、池大官Dr.に解説してもらいました。

まずはコチラの動画を御覧ください。1分半程です。
(鼻中隔延長で曲がってしまった鼻のトラブルケース動画①と
続けて②鼻中隔に力点を頼らない、鼻先がぐねぐねできる動画です。

動画をみていただくとわかるように、鼻中隔延長術で硬く固められた鼻は、時間とともに曲がってしまったり、鼻先に移植した軟骨が露出しそうになったり、さまざまなリスクが高まります。
先日投稿したジョン先生のエッセイ「建築と鼻の手術」
https://note.com/theplus_tokyo/n/n0e0114fc6731
を読んでいただくとわかりやすいのですが、硬く固めて築き上げられたものは、逆に壊れやすいものです。
最新の耐震・制震・免震構造の建築物は、地震のときも柔らかくグネグネ動くように作られています。
鼻も同じように、将来、壊れないように、柔らかく自然にグネグネ動くように築き上げる必要があります。
今回は、日本(韓国も同じ)の医師たちが主流とする鼻中隔延長術で硬く固める術式と、ジョン先生の鼻中隔延長に頼らない柔らかくグネグネ動く術式の違いを解説したいとおもいます。
ジョン先生の技術と、鼻中隔延長に頼る技術との違いをひと言でいいますと、「自然な柔らかい鼻を形成する技術」です。

鼻尖を形成する方法は大きく2種類に分類できます。

①鼻中隔に力点を頼る方法、これをL-strut dependent typeと我々は呼んでいますが、鼻中隔延長術などが
これに当たります。 →韓国及び日本ではこの方法が主流です。
(鼻中隔延長により硬く固められた挿入物が鼻先表面に露わになっている動画)

ジョン先生が主に行っている方法は、
②鼻中隔に力点を頼らないL- strut independent typeになります。
(鼻先がグネグネ動く動画)

両方のメリットとデメリットを交えてご説明しますと、

①L-strut dependent type(鼻中隔に力点を求める方法、鼻中隔延長術)
メリット
・強固な構造を得られるため、イメージした形を作りやすい、延長効果が得やすい。
デメリット
・鼻中隔に依存(直接連結)するため、鼻尖が硬い、笑ったときなどにも鼻尖が動かない、曲げると痛い。術前から鼻中隔が脆弱な場合、湾曲、後戻りなどを生じやすい。
・時間とともに移植した軟骨やシリコンが露出しやすい。

②L-strut independent type(鼻中隔に頼らない方法)
メリット
・鼻中隔に依存しないため、動きのある柔らかい鼻尖が作れる。
・鼻中隔の大きさ、湾曲、脆弱さがある場合も鼻尖形成が出来る。(他の術式の併用が必要)
・湾曲や後戻りした鼻の修正手術に適している。
・湾曲や後戻り、移植物の露出が生じにくい。
デメリット
・煩雑な技術を必要とする。高いテクニックが必要。(医師の)
・経験による判断が必要。(医師の)



簡単に説明しましたが、ジョン先生の技術である②は、しっかりと経験のある形成外科医でないと簡単に習得出来るものではありません。
それどころか、学んでも経験を積み上げないとうまく使えないとおもいます。
私は、形成外科専門医として、患者の将来のことまでしっかり考えた術式を提供するべきだと考えます。
もちろん、鼻中隔延長術も悪い術式とは思いませんが、適応できる患者さんが限られている印象です。慎重に術式を選ぶべきだと思います。
そのためにも、手術手技の習得のみならず、術式の選択までの深い理解が必要になるとおもいますので、これからも、ザ・プラスの一員として、経験深いジョン先生の下で鼻形成術を磨き続けていきたいとおもっています。

皆様、これから応援の程、宜しくお願い致します。

池大官

いいなと思ったら応援しよう!