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【保存版】"レゴの故郷" デンマーク・ビルン完全ガイド2 - レゴランドとレゴ本社編

皆さん、こんにちは!前回の記事でレゴの故郷、ビルンへの行き方についての説明をさせていただきました。今回はいよいよビルンの市内の見どころについての解説をしていきます。

ビルン現地にはレゴランド、レゴハウスなど、観光で訪れるべきレゴ施設がいくつかありますが、その他にもレゴの歴史上ゆかりのある地や、一般公開されていない隠れスポットがいくつかあります。Lego Inside Tour(以下LIT)にて、レゴハウスのガイドさんから直接教わったウンチクを交えてご紹介していきたいと思います。

ビルンの全体像

はじめに、今回ご紹介する市内のマップを取り上げます。地図上だといろいろな施設・見どころが書かれていますが、みなコンパクトにまとまっているので、中心部から歩いて30分圏内にあります。

レゴ好きのためのビルン地図。今回記事では#1〜5を取り上げます。

ざっくり地図の向かって右上(北東)が、ビルン空港やレゴランドが集まっ
ているエリア、左下(南西)が市内の中心部になります。ここでは丸数字の番号順に、ご紹介します。

なお、ここで紹介する歴史・エピソードは出所が示されている箇所以外はツアーにてガイドの方が話しくださった内容をまとめていたものです。(筆者にてすべての事実確認をしていない点はご了承ください)

北東エリア(No.1〜5)

1. ビルン空港

まちの玄関口となる国際空港です。デンマーク国内で最も忙しい航空貨物センターの1つで、ヨーロッパの主要空港との定期便の離発着があります。デンマークで第二の空港とはいいますが、そもそもデンマークには2つしか空港はありません。

全世界で定期便・シーズン限定便110箇所と結ばれていますが、主にはイギリス、ドイツとの便が多く通勤・ビジネス目的の利用が多いそうです。デンマークの大手アパレル会社BESTSELLERが飛行場内最大のハンガーの一つを、もう一つ小さい方を、レゴ社が所有しています。

空港内にはレゴストアもあるビルン空港(写真はTorkusa.comより)

このビルン空港の建設にも、レゴ社が大きく関わりました。その逸話を少し紹介します。ときは1960年代「レゴシステム・イン・プレイ」構想によって大きく成功したビルンのレゴ社を、多くのクライアントやビジネスパートナーが訪れるようになっていました。

ところが当時ビルン市には空港がなく、あるのはビルン近くの空軍基地だけ。空軍基地への着陸も特別許可を得れば不可能ではないですが、着陸の24時間以上前に承認が降りないと飛行場は利用できず、不便を抱えていました。

そこで1962年に、当時の2代目オーナー社長であるゴドフレッド・カーク・クリスチャンセンは、飛行場用の土地を買収して飛行場としての運用を始めます。飛行場と言ってもただの細長い原っぱで、飛行場用の設備などはありません。夜になるとあたりは真っ暗で着陸することはままなりませんでした。
前回記事に記載した通り、ビルンは夜になるとオーロラが見えるほど、真っ暗なのです)

ゴドフレッドは、賓客がくると家族に数台のクルマを運転させて、自動車のヘッドライトで飛行場の進行方向を照らして、着陸場所を示したと言われています。

その後もビルンへの空路需要が日々高まって行きます。レゴランドの全身となるレゴ社のショウルームには1960年代なかばまでに年間2万人の訪問者が押し寄せた、という話もあり、ビルンへの注目が伺いしれます。

そこでゴドフレッドが議案の代表となり、ビルン市の行政に空港の提案書を提出、2年後の64年にビルン空港は完成しました。現在の空港は、レゴ社と社長のリーダーシップがあってこそ完成したのです。

2. レゴランド・パーク

レゴランドの正面入口。デンマークのどんより天気でも、太陽のロゴが照らしてくれる!

ブロックの無限の創作可能性をショウケースするため、レゴ社は模型展示を行っていました。前項で紹介した通り、レゴのショウルームは1961にはすでに存在し、多くの来場者を楽しませていたそうです。訪れる来場者は子ども、業界団体、リテール関係者など多岐にわたりました。

一方で、ショウルームは当時の工場に併設されており、60年代半ばになると増え続ける来場者の対応業務に追われたり、会場のキャパシティ不足の問題に、頭を抱える事態が発生していました。

そこで再びオーナー社長のゴドフレッドから提案されたのが、屋外のレゴ展示場のアイデア。後のレゴランドです。

ゴドフレッドはついに頭がおかしくなったと、誰もが思いました。こんな雨の多い国で、屋外の展示場なんて絶対に成功しない、と。

レゴグループ・コーポレートヒストリアンの説明より

彼は初年度の来場者数を25.5万人と予想し、レゴランド計画を推進していました。ところが彼の予想は大きくハズレます。1968年、オープンしたレゴランドには倍以上の、62.5万人が押し寄せたのです。圧倒的な数でした。オープン初日にはあまりにも人手不足で、多くのレゴ社員が導入され、当時の製品開発部門であるLEGO Futuraの責任者やマーケティング部門のディレクターまで皿洗いに動員されたという逸話も残っています。

なおLITツアーでは、ガイドされていた方から、レゴランドの地主についてのエピソードも、伺うことができました。

いまのレゴランド面積の約30%はその昔Elmaという農家の土地だった。レゴランドが開業した後も、自分が元気でいるうちは酪農をさせてほしいということで、現在の「4Dシアター」のあたりには酪農小屋がしばらくあった。Elmaが亡くなったあと、土地にはレゴ社のオフィスが建ち、HR部門が入居していて、後にレゴランドとなった。

レゴハウス・ツアーガイドの説明より


レゴ社はビルン市内の様々なところにオフィスを移転させているので、各所に歴史がたくさん詰まっているんですね。

レゴランドの外周道路からかすかにみえる、現在の4Dシネマ。

3. ホテル・レゴランド

10月に訪れた際には、ハロウィンのお祭りでかぼちゃまみれでした。

レゴランドと大通りを挟んで向かい合わせに建っているのが、ホテル・レゴランドです。他のレゴランドリゾート同様に、パークの目の前にゲスト用の宿泊施設として機能しています。レゴランドとホテルは高架でつながっており、レゴランドの正面エントランス以外にもホテル滞在者専用のエントランスが設けられています。またベッドルームから園内が見られるパークビューのお部屋も完備されています。

一方で他のレゴランドリゾートと異なり、ビルンにはあまり多くの宿泊施設が無いので、レゴランドに訪れる以外の目的で滞在している人もいます。大きな会議室兼食堂もあるので、ビジネスのカンファレンスや合宿に利用されているようでした。私が滞在した数日のにも2〜3組、ビジネスライクな出で立ちの方を目にしました。

今回泊まったお部屋。夢にもブロックが出てきそう。

ホテル・レゴランドの施設はその昔はホテルではなく、社内向けのコーポレート・ミュージアム用の建物として建てられたものです。コーポレートミュージアムとは、レゴ社の社員やパートナーの人たちに、レゴの企業理念と歴史を伝えるための私設博物館で、1980年から検討が始められ、1984年に創設されました。現在もコーポレートミュージアムは外部非公開のままですが、創業の地である「オーレ・カーク・クリスチャンセンの家」と、その家に隣接する建物の中に設けられています。

4. レゴランド・キャッスルホテル

レゴランド・キャッスルホテルの外観(写真はHotel in Billund.comより)

レゴランドおよびホテル・レゴランド隣接するもう一つの宿泊施設です。人気のキャッスル(お城シリーズ)をモチーフにして、プリンセス、ドラゴンと騎士、魔法使いなどのお部屋が142室、用意されています。

ホテル・レゴランドにも「キングダムルーム」と呼ばれる、お城シリーズをテーマにした部屋はありますが、こちらの方がより幅広い部屋の選択肢を提供しています。

またホテル屋外にはお城をモチーフにした遊具設備もあるため、特にお子さんはレゴランド入園以外の時間も遊び尽くすことができます。

5. レゴグループ 本社キャンパス

レゴ本社キャンパス。ところどころにブロックがあしらわれている。
右側のアーチはどう見ても"1x6のアーチ"…

全世界のレゴの中枢、レゴ・キャンパスです。この本社の社屋は2022年に誕生しました。写真右側の棟が「ピープルハウス」と呼ばれる総合施設で、ちょうどアーチの下には24時間営業の社員用ジムがあります。社員と家族は破格の値段で利用できるとか。

快適なオフィススペースはもちろん、屋上にグリーンハウスがあったり、9ホールあるミニゴルフコースがあったりと、社員の憩いの場所にもなっているそうです。

「ピープルハウス」には、前述のフィットネスジムの他、家族が社員を訪問してきたときのための宿泊施設、スポーツホール、イベントスペース、キッチン等があり、社員とその家族が利用することができます。

レゴ本社中央の吹き抜け

オフィスの1FにはMOCの展示が、3F〜4Fにはゲストに向けた会社紹介エリアなどがありました。

本社に飾られていたMOC。「Look sir, Droid ! (見てください、ドロイドです)」の図

ちなみに本社の外周は遊歩道になっていて、一般の方も散歩することができます。かわいいアヒルのオブジェを見て取ることができます。

本社ビルの外周に点在するアヒルちゃんたち。

かわった形のモニュメントが建っているあたりは、以前の工場の生産ラインがあった場所。70〜80年代には、いま林になっているあたりに倉庫があって原料のペレットが運び込まれていました。

本社のすぐとなりにある、「2x2」をかたどったモニュメント。
ここ一体が工場だったそうです。

というわけで今回は北東エリアを中心に、レゴランド関連施設とレゴ本社の様子をお伝えしてきました。実際に訪問したレゴ本社内部の様子については、後日別の記事として取り上げる予定です。

また次回以降、ビルン市内の残りの見どころについても、順次アップ予定です。どうぞ、お楽しみに!

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