品質新撰組 /ep 3; Welcome to the Jungle
” Good idea!バッテリーぽいし、トミーのパワーなら、このサイズの車、押しがけできそう。”
”だろ、トミーの家なら歩いて来れる距離だし。”
10分ほどして、表れたトミーの押しがけにより、ローバーミニのエンジンはかかり、車内にはヤンに薦められ今日買ったGunsのWelcome to the Jungleが流れ出した。
”歳よ、金が無いのか?もっと良い車を買え!また、トラブったら、俺を呼ぶのか?靴屋をつづけるのか?”
”お前も言うか。車のトラブルと靴屋は関係ないだろ。”
”トミーよ、こちらの四方様は、副店長様だぞ、靴の行商で成り上がる計画らしい”
”そんなん言ってないだろ!”
”今は、歳の頭の中も、曲と同じで、ジャングルのようにゴチャゴチャか?!”と助手席のヤンが、後部席のトミーに目を向け、ガハハハッ・・・・と二人が笑い出す中、歳の内心では、
“さて、どうするか?2年続けた靴屋だが、確かに40歳以上の自分をイメージ出来ない。俺は、何をしたいのか?何に向いているのか?”との思いが巡っていた。
その夜、ベッドに横たわり、天井を見ながら
アルバイト面接なのに、正社員で雇ってくれたし、今は副店長。店長は、俺に気を掛けてくれているのだろうな。それを1年で辞めるのは申し訳ないかな。でも、一言も無く副店長だしな。と色々考えていた処、前職の配送計画のオッちゃんを思い出した。
“真面目に大人しく、周りに気を使って頑張っているだけじゃ仕事は報われんぞ。結果を出しても、所長から指導した結果と言われるだけ。新人だからと小さくなっていると舐められる。態度をデカクしろ!所長だろうが、上司だろうが、同じ人間には違いない。もっとも、そんな考えだから、俺は、営業職からトラック配送担当にされたのだけどな。”
あの人も、俺に気を掛けてくれていたのだろうな。
そうだよな、先輩の支援で、入社3か月で新規受注が取れ、同期内での新規受注1番乗りのハズが、所長の売上げになっていたし。挙句、その価格を所長が勝手に値上げし、請求書を客に出した事は、俺と先輩の独断にされ、客に呼びつけられ詐欺師扱いで、土下座までさせられたもんな。やはり、あそこは総合不祥事社だよな。それとも、俺には、営業や、販売は、向いてないのかと思いながら眠りについた。
休日、車を走らせていると建設中の鉄筋アパートのような建物と、遠目にも大きな看板を見つけた。車を止め、読んでみると、社員寮建設中以外に、総務の求人が書かれていた。営業に向かない文系の俺。。。。社員寮もあるなら大きな会社だろうな、と思いながらトミーの家まで車を走らせた。
”タコ焼きを持って来た。来る途中に、建築中の社員寮があって、壬生に工場が出来るらしい、知ってるか?“
”あ~大手だろ。一部の人の間じゃ有名な会社だぞ。“
数日後の昼時、客のいないレジで店長と2人、
“来月開店する隣町の店の件だけど、この石田店は四方君に任せ、私は向こうに行くつもりだか、ここの店長を頼めないかな?”
“え?!まだ2年だし、25歳っすよ。”
注記; 身近で似た経験をした方がいたとしても、全てがフィクションであり、架空の物語です。