コロナ前のヨーロッパが僕をカメラマンにした (3)
あの日友人宅でゴダールの「勝手にしやがれ」を見たときには僕はいわゆるパリマジックにかかっていたのだろうか。
ぼくも友人も見たことないと見始めたゴダールだったが、あんまり面白くないと文句をいうパリジャンの友人を横目に自分はベランダで普段吸わなかった巻きタバコとか吸っちゃってたからそうだろう。
フランス滞在中にはパリだけでなく友人の実家があるAvignonにも行ったし、彼のおじ、おばが住んでいる南仏にも足を運んだ。
寄り道しながらのロードトリップ。
フランスにいたが、ロードトリップ初心者の自分の気分はさながらケルアック「路上」の登場人物だった。我ながら単純すぎるがしょうがない。
二週間超のステイはあっという間に過ぎて、いよいよ別れ。
道中車でしょーもない話から、真剣な話までしていたので、なぜだが悲しい気分にはならなかった。
次は日本でねと約束し空港へ。
出会いと別れを繰り返し、動いているのは自分だけかと錯覚するほどに移動を繰り返していた。
「深夜特急」みたいに壮大な旅ではないけれど、自分にとっては大きな旅だった。
今まで出会った人たちをマイルストーンに行き先を決めたヨーロッパ。
行く場所行く場所で多くの人がみんな違った形で迎えてくれて、そのエネルギーに触れた。
何かに決められていたかのように、最後の目的地へ。
またすぐ帰ってくるだろうと根拠のない自信に満ち溢れながら、マルセイユ空港からミラノ行きの飛行機に乗り込んだのだった。
続く
K
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