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屋久島 Layover
僕の2022年最後の冒険は屋久島に決まった。
急に天から降ってきたような話で、半ば上の空で返事をしていたのだが、
スケジュールもいくつかの幸運が重なり、気がついたら2年ぶりの飛行機に乗っていた。
久しぶりの空港に無意識にテンションは上がった。
羽田から鹿児島空港へ。そしてセスナに乗り換える。
降り立つと、空には煙みたいなグレーの雲がもくもくと立ち込めていた。
今回はとある撮影で1週間ほどの滞在の予定だった。
毎日早朝に起きて、始まるのが機材を背負ったままのトレッキング。
朝起きて、地元のお弁当屋さんが作ってくれた握り飯と簡単なお弁当を食べて毎日山に登った。
いくつかのロケーションを回って、撮影のスケジュールをこなしていく。
森の中は木が生い茂っていて、木肌には苔が生えている。
この苔でベッドなんか作ったら世界一寝心地いいだろうななんて思いながら森を歩く。
根っこがそこらじゅうに広がっていて、新たな地形を作っている。
自然の作り出す層が何重にもなっていて、森を歩く度にその力を感じざるを得なかった。
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道中では案内役のガイドの方達が、いろんな話をしてくれた。
長年住んだ屋久島での生活の話。
気候やそこに住む動物たちの話。
そしてそこにいるという本物のもののけの話。
撮影の中日に海岸沿いにある岬に足を運んだ。
自然の作り出した岩の崖は、迷路のようになっていて、圧倒的だった。
岩肌の模様はとてもユニークで、人の肌に見えるようなものや木肌に見えるようなものもあった。
![](https://assets.st-note.com/img/1675159148116-ikZRDNsKRy.jpg?width=1200)
風も強く、波も結構荒立っていたのだが、そこで黙々と釣りを続ける地元の老人がいた。
自分を飲み込むんじゃないかというほど大きな波のことは、気にしている様子もなく、ただ一人で海と向き合っていた。
その後ろ姿を見つめながら、老人の島での暮らしを想像してみた。
![](https://assets.st-note.com/img/1675159221936-D8aPspg42T.jpg?width=1200)
2022年は自分の中でもたくさんのことが起こって、今の自分は数ヶ月前と比べても全く違う世界の中で生きていた。
そんな年の終わりに、ちょびっと立ち寄ることのできた屋久島は、
自分にとっても普段過ごしている東京を離れて、全く違う環境の中で過ごすことができた体験だった。
「またいつでも帰ってきていいからね」
滞在中、ずっと宿泊していた民宿のおばちゃんが送り出してくれた。
撮影も無事に終わって、ガイドさんが空港まで送って行ってくれた。
今度は一人で来るのもいいな、なんて思いながら
久しぶりでどうしても緊張する空港の荷物検査場をすり抜け飛行機に
乗り込んだのだった。
![](https://assets.st-note.com/img/1675159366929-kRTLnPhkff.jpg?width=1200)
K
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