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プラタナス
東京で落ち葉を踏む時間が幸せだ。
踏みごたえのある葉を大量に落とす木。
プラタナスの木が東京には多いのだ。
11月にもなると、大きくて乾燥して丸まった葉っぱが転がりはじめ、タイミングがよければ道端に塊になっている。
誰も踏んでなさそうなところを狙って、誰にも見られないようにダイブするのが楽しみで、いい山があるのになかなか立ち去らない通行人がいるとやきもきする。
自分のアクションに対するリアクションが、乾いた音と足裏の感触で返ってくる。
今この瞬間は、少なくとも幸せだ。
小学校の先生が時々ギターで弾き語ってくれたのが、小椋佳の「小さな街のプラタナス」だと知った。
不穏さも感じるこの曲をなぜ歌ってくれたのか、意味をどう解釈しているのか、訊こうと思って先生にLINEしたら、別の話で終始してしまった。
先生は最後に「親孝行しろよ」と送ってきた。
「親孝行って何ですか?」とは訊かなかった。