好きな音にたどり着く
これまで使ってきたエレキギターは全部で5本。
まずは約30年前、18歳の頃。当時大学1年生だった時に友人から譲り受けたzo-3。
高校生の時はアコギしか持ってなかったから、内臓アンプから鳴るエレキサウンドがとてもうれしかったのを覚えています。ボリュームフルにしてオーバードライブ風の音を楽しんでいたら、おとなりさんから苦情が来たのもいい思い出です。
やっぱりバンドするならちゃんとしたエレキギターが欲しくて、仕送り全部使って買っちゃったのが、YAMAHAのSGみたいな中古のギター。広島の中古ギターショップといえばの老舗「マルヤ」さんにて購入。夥しい数のギターがぶら下がる店内にドキドキしたものです。人と被るのがイヤで、なんか珍しく見えたこのギターを選びました。
ただ、弦高が異常に低く(今思えば調節できたはず)、音作りも上手くできなくて使いにくかった記憶があります。でも、今見るとかっこいい。19歳になったばかりだった。
19歳後半。バンド活動を始めると、やっぱりみんなが持ってるようなギターがかっこよく見えてきてしまって、結局手に入れたのがFender Japanのストラトキャスター。とにかく「普通」に見えるギターが欲しくて(1年足らずでYAMAHA SGの時とは真逆の考えになっていました)、サンバーストので白ピックガードのシングルピックアップ三発のものを購入。実際にこのギターが本当に「普通」なのかは分かりませんが、ぼくにとっては今でもこれが普通。
このギターには本当に辛い思いをさせてきました。
ぼくが当時やっていた音楽はオルタナ/グランジ、ハードコア系の音楽で、「サビは叫べばいい」というデストロイなものでした。気づけばライブの最後にはこのギターを床に叩きつけることがディフォルトとなっていたのですが、この子は健気に2年近く耐え続けました。ほんと壊れなかった。
それなのにぼくはこの子に追い討ちをかけ続けます。
the smashing pumpkinsのビリー・コーガンのギターペイントに憧れマネして絵を描いてみたところ、全く思っていた通りにいかず失敗。それを消すためにシンナーを使うと鏡面が曇ってしまい、それをさらに隠すために紙ヤスリで削ると当然ながら傷だらけになり、さらにさらにそれ隠すために今度はプラモデル用のスプレーで塗ってみたがもちろんすぐにぺりぺりと剥がれてしまい、なおさらにそれを隠すために「今度こそ」とラッカーでクリーム色で塗ってみたところ乾いていないうちに我慢できずに触ってしまったため汚くなってしまいました。
「ピックアップを変えよう」と根拠もなく配線をいじり、配線を切ったはいいものの何をすればよいか分からず、外しっぱなしで20年以上放置してしまいました。
しかしこの子は20年以上の時を経て、現在ぼくのメインギターになっています。この話はまた後ほど。
さてストラトをこれだけボロボロにできたのは、次のギターを購入していたから。
我ながらコロコロ気分が変わって恥ずかしいのですが、やっぱり他のバンドマンと被らないギターが欲しくなっていました。
そこそこ歴も深くなり、音の好みもはっきりしてきていたので、今回はいろんなギターを試奏して慎重に選びました。そこで音も見た目も最高だったのが、GibsonのFirebird Vでした。
Fenderとは違って、明らかに「高級品」的な雰囲気。手にした時は興奮したなあ。
非常に重厚な音を作ってくれるギターで、重宝しました。体の大きなぼくにも似合う大きなギターでした。
しかしながらその独特な形から、壁に立てかけることもできないし、ヘッドが重く手で支えていないと前に倒れてくるし、ピックアップセレクターが絶妙な位置にあって弾いている最中に当たってしまうし、とにかくほんと不便なギターでした。特に巨大なハードケースはとんでもなく重く、当時原付バイク乗りだったぼくにとって、スタジオやライブハウスへの運搬は至難の業でした。
後悔しているのが、前のストラトと同じ気分でライブ後に床に叩きつけたくなってしまい、とはいえやっぱり冷静になって、ただ「パタンと倒すだけ」にしてみたところ、Gibsonネックの角度が原因でピッシリとクラックを入れてしまいました。先のストラトくんを大切にしてこなかったバチが当たったんだなと反省しました。
とはいえぼくはこのギターが大好きで、長くメインギターとして使ってきました。他の人と被ることもなく、狭い世界ではありましたが「ぼく=Firebird」というアイコニックな存在になってくれました。20歳から30歳くらいまで。
10年くらいバンド活動から離れていた時期があって、「もう一度あの時の興奮を!」と、30歳を過ぎたおっさんになったオリジナルメンバーで集まることになったときに手に入れたギターがTokaiのストラトタイプ、その名もSilverstar。
たくさん改造をしたのでもはや原型を留めていませんが、おそらくそれまで手にしてきた中で1番気に入ったギター。バンドへの関わり方も変化して使用頻度は減ってしまったかもしれなけれど、人生において間違いなく1番長くメインギターとして活躍してくれました。
まずとにかく見た目がかっこいい。これ1番重要だとぼくは思ってます。特に繊細な音が求められる音楽をやっているわけではないので、なんだかんだでエフェクターやプリアンプに頼って好きな音を出せていました。
さらに軽い。年齢を重ねた今、もうFirebirdの重さに耐えることはできません。
ピックアップも一つ、トーンコントロールも省いたため、音作りの幅も狭まり悩むこともありません。
しかもこの子は1978年製で、ぼくと同い年。Fenderというメインストリームではなく、いわゆるジャパンヴィンテージ時代のTokaiというのも、おっさんとなった今ではむしろ心地よいわけです。
「メインギターとして活躍した」と過去形で触れましたが、現在活躍してくれている相棒が、この子。
この子は先に登場した悲運のギター、Fenderのストラトくんです。
現在、嬉しいことに活発にバンド活動していて、上のTokaiを頻繁に使うためスペアギターが欲しくなっていたところ、長く押し入れに眠らせていたこのギターを復活させることにしたんです。
お世話になっているリペアマンさんにかなり無理を言って作り上げてもらったのがこちら。
センターにシングル、リアにハムを載せてもらって、オレンジに塗装してもらいました。もちろん諸々調整もしてくださいました。
この姿も好きでしばらく使っていたのですが、やっぱりリヤしか使わない。なんならセンターピックアップがジャマで弾きにくいときがありました。さらにフロントはダミーで何も入ってません。元々空いていた穴もキャップで補っています。
これはぼくが示した予算のせいでこうせざるを得なかっただけで、リペアマンさんが悪いわけではありません。むしろ感謝の気持ちでいっぱいです。しかし、一度気になり出したらもう止まりません。
「必要のない部品が付いている」ことを解消するべく、今度はDIYで改修したわけです。
まずはピックガードを購入。本当はセンターとリヤの穴が空いているものが欲しかったけど売っていなかったため、穴は開ければいいやととりあえずリヤ穴のみのものを購入。まずはピックアップセレクター用の穴を空けてみたところこれが思いのほか大変で、空けてからセンターにピックアップを載せることを諦めました。空けた穴が空いたままなのは嫌なので、取り外したピックガードをさらに切り刻んで空けた穴を塞ぐための部品を作りました。空けて、すぐに塞いだわけです。まあこれはこれでなんかかっこいいでよしとしました。
ネックプレートも交換したら、音がすごく太く伸びるようになりました。見た目もかっこいい。
結果的に先のTokaiと同じくリヤハム一発のギターが完成しました。
今度はいろんな音が出るギターにしようなんて思っていましたが、カスタムはやっぱり「自分が好きな音を出せるギター」に落ち着くのかなと思いました。
メインで使っているギターが両方ともカスタムで、リヤハム一発。なんかポリシーあってすてきです。
また、Tokaiはぼくの生まれ年。Fenderは初めて新品で買ったギター、25歳。
好きなギターに囲まれて、好きな音が出せて、好きな音楽ができている。最高に幸せです。
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