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「24年4~6月の10枚のアルバム」に惜しくも入らなかった素敵なアルバム

どうも。

今週は実はもう一回配信の機会があったりはするんですけど、6月は上半期の終わりだし、そこ過ぎてやるとなんか遅れてるみたいで嫌なので、恒例の三ヶ月ごとの10枚のアルバム、今週やります。あと、そのあとに、これも恒例な上半期ベストソングもやります。

まずは、10枚に行く前に、これも恒例の「惜しくも入らなかったアルバム」の方からやります。

今回惜しかったのは、こういうアルバムでした!

はい。いずれも10枚に入らなかったのが不思議な良い作品ばかりですが、早速見ていきましょう。


ヴァンパイア・ウィークエンドの「Only God Was Above Us」キングス・オブ・レオンの「Can We Please Have Fun」

両方とも好きなアルバムだし、00〜10sのインディ・ロックのファンなら思い入れの強い人も多いはずです。この2枚にセイント・ヴィンセントも足していいかもしれません。だけど残念なことに、何もビルボードでのアルバムの順位を大幅に下げてしまいました。今やこの2アーティストともにトップ20にも入らないくらいにチャート順位落ちました。

これはひとえに「時代」ってやつであることも確かです。「ひと昔前」の人気アーティストというものが一番反動受けやすいのは確かですからね。
それから、確かにいい作品、KOLに至っては10数年ぶりに良いアルバムだったとさえ思うんですけど、なんか両者とも、古くからの馴染みのファンにしか意識が向かってない感じがちょっとしたことも確かです。「この作品を通じてファン層が他に広がるか」どうかを聞かれたらそれは少し疑問。その辺りが響いたのかなという気はします。


逆にこのワロウズのアルバム「Model」が大躍進でね。ビルボード初登場で28位。ヴァンパイア・ウィークエンドが1位から27位に落ちたのとは対照的に自己最高位を更新しています。

彼らなんかは典型的なストロークスやヴァンパイア・ウィークエンドを聞いて育った世代のバンドで、そのやり方を忠実に受け継いで入るんですけど、どこかうまい具合に気取りとか屈託がない感じが音に出るというかね。元が俳優だったフロントマンのディラン・ミネッテのキャラの親しみやすさもあるとは思うんですけど良い意味でインディに根ざしきってない軽さが今は良い方向に出るのかもしれません。


それに似たことはこのTwenty One Pilotsのアルバム「Clancy」やBring Me The Horizon、BMTHの「POST HUMAN NeX GEn」にも感じたことです。Twenty One Pilotsに関しては世界のどこでも強かった。それは彼らがバンドでオルタナティヴ・ヒップホップをやれることで今時の若いリスナーに近づくことができるから、というのもあると思うんですけど、同時に今回、ストレートなガレージロック、パンクを好きなようになってもいて、しっかりやりたいことできてるんですよね。

BMTHは事前にシングル切りすぎちゃったか、アルバムのチャートアクションこそ派手ではないんですけど、そのシングルは出るたび売れてたし、シーンにフォロワーもしっかりいるしで、安定してたと思います。彼ら自身、メタルのファン層を、よりエモに、ナードに、フェミニンに変えていったタイプなので、そういうとこはやっぱり「今の時代にロックをどうやって聞かせるか」の意識がすごく強いように感じられますね。


とはいえ、この3ヶ月、若いインディ・ロックでもいいのでてるんですよ。しかも、アメリカから。この国、一時、若いバンドが全く出てこなくなって、文化死んでるんじゃないかと本当に心配したものでしたが、2月のフリコもそうでしたけど、ここのところローカルのシーンに復調傾向が見られますね。

この3枚、ワシントンDCのエッコ・アストラルの「Pink Balloons」。このバンドは頭にタオル巻いたインパクトの強いトランスジェンダーのフロントウーマンによるポストパンク・バンド。続いてはニューヨークのリップ・クリティックの「Hex Dealer」というアルバム。このバンド、ヴォーカルとドラム2人という超変則編成で、エレクトロと生ドラムの乱れ打ちとともにパンクするという、いかにもニューヨークのアンダーグラウンドな感じのバンドです。

そして3枚目はビーン・ステラー。名前がコメディアンのベン・スティラーに似てますけど、彼らの「Scream From New York, NY」、ニューヨークを強調した名前ですけどサウンドの方はすごく湿っぽい王道のUKロック。エコー&ザ・バニーメンとかライドみたいな音像を思い出します。20年くらい前のブラック・レベル・モーターサイクル・クラブにもちょっと似てるかな。このバンド5人組でうち2人がギターとドラムでルックス面でもすごく華があって、加えて1975のダーティヒットとも契約してるから売れそうな気もしてるんですけどね。大きいとこでライブするバンドに成長して欲しいです。そのポテンシャルは持ってるバンドなのでね。


続いてはレイチェル・チヌリリ。彼女曰くデビュー・アルバムの「What A Devastating Turn Of Events」。彼女はイギリスの黒人の女の子ですが、もう正真正銘のインディ・ロックです。それは彼女自身が3年前のインスタで「私は生まれてこのかたずっとインディだ。R&Bじゃない」と宣言したのをきっかけに、実はその前にオルタナR&Bみたいな仕立て上げでデビューしたことがあったんですけど、そこから音から見た目のファッションからガラッと変わっての再デビュー。なんかミレニアムのポップ・パンクとインディロックの中間いく感じでY2Kな感じがして、それを黒人の女の子がやる意外性で現状は面白いです。ただ、同じ黒人の女の子でロック志向が同じく強いアーロ・パークスと比べると、楽曲そのものの個性の確率がまだ弱いので、今後はそこの強化にかかってますね。

ただ、今回僕が一番、10枚に入れるかどうか迷ったのはこれでしたね。

はい。マギー・ロジャースのサード・アルバム「Don't Forget Me」。彼女って、これまでチャート実績もあってアメリカじゃそこそこビッグなんですけど、デビュー時にあまりインディ・ロック・イメージで売り出さなかったのが響いて、僕の周囲でもフィービーやミツキほどきかれないんですよね。よりインディな、ビッグシーフ聴くような人にも浸透がいまいちで。

でも、今回のマギー、さらに一皮剥けましたよ。デビュー時のエレクトロ調のフォークは一昨年のセカンドアルバムの時点でハリー・スタイルズで当てたキッド・ハープーンのマジックでロック的な力強さとサイケ感をアップして見え方がかなりクールになりました。今回はそこからさらに進展し、ストレートで乾いたフォーク・アルバムになりました。そこにフリートウッド・マックばりの、肩の力抜いたソフィスティ・ポップも巧みに聴かせられるようになり。そして、サウンドが薄くなった分、彼女が本来得意とする、声を裏返してのソウルフルな力強い熱唱がさらに生きるようになってます。シンガーソングライターとして着実に成長してるので見逃さない方がいいですよ。

では、明日がお待ちかねの10枚です!

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