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フリーエージェント宣言


本業を続けた起業家は、やめた起業家よりも失敗の確率が33%低いというデータがあります。つまり独立を志すなら、まずは今の会社にいながらにしてこっそり準備した方がいい。いきなり会社を辞めて独立するのはリスクありますよ、という話。経済的、そして精神的にも安全地帯に身を置き、じっくりとお客さんづくりに励むことが大事です。会社を離れるのはその後でも遅くありません。

起業までいかずとも、たとえば会社の方針に異を唱えるときも、「安全地帯」を確保しておくことが必要不可欠。どういうことか。アップルの流通販売部門マネージャーを務めていたドナは、ジョブズの提案に真っ向から反対した唯一のスタッフでした。会長であるジョブズに異議を申し立てるなど勝ち目などない。そんな空気を一掃するかの如く、自分の意見を貫くことで逆にジョブズから一目置かれるようになりました。ドナが行動に移せたのも、社内で圧倒的な実績を積み重ねていたから。対外的にも信用を得ていて、仮に干されたとしても彼女には行き場がたくさん残されていました。

フリーエージェント社会の到来
私の大好きな著書の一つですが、著者のダニエル・ピンクさんはこんなことをおっしゃっていました。

人々は組織の影に身を隠すのではなく、自分の仕事に責任をもつようになったのだ。なにをもって成功と考えるかは、あらかじめ決められた定義に従うものではなく、自分自身で決める。

「自由」「自分らしさ」「責任」「自分なりの成功」がフリーエージェントの思考を構成する4要素です。中世ヨーロッパ時代、十分な報酬があり、戦いに誇りをもてるなら君主は問わない傭兵のことを、「フリーランス(自由な槍)」と呼びました。こういった一匹狼的な存在に対して、20世紀の米国では「インディペンデント・コントラクター(独立契約者)」としてその存在を法律で規定しました。

米国政府労働問題専門エコノミストであるコハニーは、「仲介業者を介した仕事や不規則な仕事をしている労働者は、必ずしも自分の仕事を不安定だとは考えていない」と結論づけました。ノースウエスタン大学のマンスキーさん、ウィスコンシン大学のストローブさんは「雇われないで働いている人は、雇われて働いている人に比べて失職の不安を感じていない」と報告しています。多くのフリーエージェントは、一般的な労働者より将来への不安が少ないのかもしれません。

昨日も書きましたが、社内で自分のキャリアを伸ばしていったとしても、それが必ずしも社外で通用するとは限りません。現代のキャリアは陳腐化する可能性があり、だからこそスキルは蓄積するよりも更新するものだと心得ておくべき。偶然を必然化するような、偶然の出来事を自ら仕掛けていくことも大切です。

だからといって皆が独立したほうがいいということではありません。自己管理に厳しい人は、独立心が高くて、独自の目標をかかげて、自分で自分の仕事を組み立てないと気が済まない。一方、外的管理に柔軟に対応できる人は、外部から与えられる規則や枠組み、手順を重視して人生を構築してきます。皆さんはどちらに当てはまりますでしょうか。

ちなみに私は圧倒的に前者。そして7月からは独立します。偶然を必然化するために、「好奇心」「こだわり」「柔軟性」「楽観性」「リスク」を志向してがんばっていきます。ようやく決心がついたのも、こうやって毎日noteを記しているおかげ。インプットして思考を整理しているからこそ、メンタルの安定が積極的な行動に結びついたんだと思います。

久保大輔




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