利他の心で自己欲求を満たす
本を購入するお金がなくて(泣)古い本を引っ張り出してきて再読しています。「1年で駅弁売上を5000万アップさせたパート主婦が明かす奇跡のサービス」に引き寄せられ、読み進めています。10年以上も前に読んだ本。44歳でパートを始め、すぐに契約社員になり、エリアを任されたあと、50歳をすぎて正社員、しかも所長に就くというストーリーです。
とにかく売上をつくる規模がすごすぎて圧倒されます。そしてそこに難しいスキルや知識が解説されているわけではなく、シンプルに「自分が楽しく、そして自分がいいと思ったものを紹介する」ことで売上が上がっていったと解説。たったサンプル「1」の成功話で科学の「か」の字もなく、汎用性はないかも知れません。ですが「人生がときめく片づけの魔法」でおなじみの近藤麻理恵さん、通称「こんまり」さんを思い出しました。
主婦の母を見て育ったこんまりさん。定期購入していた家事や料理系の本を、母より先に読みふける少女でした。家事にハマりこむも、ひたすら散らかり続ける身の回りをどうにかしようと悪戦苦闘。「ときめくもの」だけを置くと驚くほど整理整頓ができるようになりました。自分の部屋に飽きたらず、友だちに「部屋を片付けさせれくれる?」という変わったお願いをして片付けまくっていたら「こんまりが家に来ると部屋が片付く」という噂が広まりました。
いつしかお金をもらって片付けができるようになり、本を出版してアメリカに渡るなど、「世界で最も影響力のある100人」に選出されるほどになりました。こんまりさんも「好きなこと」をひたすら続けていると「利他の心」が芽生え、利他の活動をしているように見えて実は「自己の欲求」を満たす、しかもそれがお金になるという誰もがうらやむ世界に足を踏み入れることになります。
駅弁販売員の近藤さんも同様。好きなことにのめり込み、お客さんに喜んでもらいたい一心、つまり利他の心で目一杯の接客をしていたら人生が変わりました。会社員をして、一生懸命働いているのに一向に給料が上がらん!とぼやいていた自分自身を恥ずかしく、そして私も一歩踏み出し自由と責任の狭間で緊張感ある毎日を送れることに幸せを感じていることの本質を三浦さんの本が教えてくれました。
そして、販売員とのコミュニケーションや配慮を欠かさない姿勢にも共感を覚えます。責任ある立場になったとき、結果を出さねばという焦りから周囲にキツく、厳しく接し、孤独になった経験がそうさせたと三浦さんは述懐していますが、「場を温める」こと、つまり仲間との信頼関係が成果をあげる上でいかに大切なことか、コミュニケーションの具体事例をことさらに記すことで読者に訴えかけているように思えました。
同じ本でも、10年前に読んだ感想と、今読んだ感想がまるっきり違う。そしてまるっきり違う視点でアウトプットができることにも驚きです。あと数冊、古い本を引っ張り出してきたので、楽しみながら読み進めたいと思います。
久保大輔