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「戦略」で大切なことはすべてスタバから学んだ

家の最寄り駅にはスタバがあります。そこでよくお茶をして、ゆったりとした時間を過ごすこともあれば、リモートワークに勤しむことも。マックブックをたたきながら意識高い系を気取っていますが、スタバは私の拠りどころです

30代のころ手にとったマーケティングの本に紹介されていたのがスタバ。ですが当時は、存在は知っていたもののやたらと高価なコーヒー屋さんという、まったく興味を持てない存在でしかありませんでした。

組織は戦略に従う」と銘打たれたハワード・シュルツのミッションマネジメント。哲学を守り抜くことを大切な価値観としたアイデンティティを持ち、経営理念であるミッションステートメントに根ざした経営を行なっている企業です。

価値や目的を明確にせず、その場しのぎで対処したり、その時々の都合で対応するご都合主義の経営、事実前提の経営を相対比して、当時の私に興奮と指針を提供してくれた会社でもありました。

実際にどんなお店なんだろうと足繁く通うように。愛嬌ある笑顔の接客と、ケーキの差し入れ(試供品)をいただいたことでますますファンになりました。ミッションが具現化されている!と感激したことを今でも鮮明に覚えています。

スターバックスは、「これが大切なんだ」との信念を持つこと、それをミッションとして宣言し、この理念をすべての仕事に反映し、貫き通す経営を行なっています。「企業文化」という高度に抽象化された概念を、隅々まで浸透させ、企業の独自性と競争優位を確立。

「感動経験を提供して、人々の日常に潤いを与える」

こうした言葉が身の回りで当たり前のように行き交い、メンバーの心に深く刻まれることで、自分がどう考え行動すべきかという基準が固まっていきます。企業の価値観を組織の末端まで徹底させるために、さまざまなシステムをつくり上げています。

実は「優れた戦略」が現実に成功するかどうかはわかりません。戦略として優れていても、失敗することは少なからずあります。顧客、競合相手という、直接的にはコントロールの利かない対象を相手にしていますし、未来はそもそも不確実で予測不可能。ビジネスの成否は、やってみなければ分からないとしか言いようがありません。

戦略が優れていて、結果が伴わない企業が7割。戦略が優れていて、結果も伴うのはせいぜい3割程度でしょう。ですが、戦略がない企業が3割の成果を上げることは極めて稀。たまたま、超ラッキーで当たる可能性はゼロではありませんが、運に恵まれなければ成功率は1割にも満たないはずです。

3割打者と1割程度の打者。野球で考えると天と地ほどの差がありますが、ビジネスも同じ。当たり外れは別にしても、優れた戦略を持つ意味は十分にあります。というか、企業の生命線といっても過言ではありません。

戦略の構想は何よりも「綜合」、シンセシスです。戦術という部分の綜合が戦略。戦略という抽象を、戦術という具体に落とし込む作業を繰り返し往復運動させて、因果律の引き出しを増やしていく。そうして戦略に磨きをかけ、人材や経営者が育っていくんだと思います。

戦略というシンプルなストーリー。現場の人間が「これなら俺たちもできる」と思える、誰もが納得するような強いロジック。物事の時間的な順番に焦点を合わせて、因果論理を明確にして、戦略に動きを持たせること。ストーリーが流れるようになるまで、愚直に地道に、コツコツと小さな成功体験をパッケージ化していくことが経営の要諦だと思われます。

久保大輔




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