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オガールプロジェクト, 岩手県紫波町 / オンサイト計画設計事務所

官民連携の先駆けとして有名なオガールにやっと行くことができたので、感じたことを記録しておく。公共空間らしい堅実さを基調としつつ、ところどこ、オンサイトらしいデザインが垣間見えて、面白いランドスケープだった。

オガールは事業スキームが注目されがちだが、デザイン視点でも面白いところが多い。
一番気になったのは、「オガール地区デザインガイドライン」が策定されたこととその内容。単一の施設であれば、基本構想などとしてその敷地の建物の計画を住民も含めて検討するが、オガールプロジェクトは個人の住宅も含む、段階的に整備するプロジェクトであるため、その後の開発にも適用できるデザインルールをあわせて検討している。このガイドラインによって、その後の空間デザインも一定の質が担保されていると思われる。
個人的にこのガイドラインですごいと思ったのは、事例写真の精度の高さ。実際の空間にかなり近い。この写真の公表資料で使用できていることひとつとっても、オンサイト計画設計事務所のデザインに関するストックの厚みを感じさせる。

主要施設配置(紫波町資料
紫波中央駅から歩くと現れるオガール
図書館や飲食店、町役場などの中心がオガール広場
広場は建屋間の動線
アーケードの下は中学生の通学路
隣接している分譲住宅地
住宅地には景観協定がかかっていて、
住宅が道路境界からセットバックして植栽帯を配置
オガール地区 デザインガイドラインより
背割みたいな住宅の裏手の通路も特徴的だったがガイドラインでの言及はなし
道路を渡ると協定の範囲外で、建屋の配置が違う気がした
この流しも印象的で、流しと作業スペースを別にしてVEにしていると思われる
たしかに別にしても問題ない
ポリカとシートサインの組合せもシンプルでいい
ファニチャー類もコストはかかってなさそうだけどいい感じだった
サインはシンプル
芝生はオートモアが管理していて、おそらく配線を最小にする配置
フリースペースでは中高生が自習
外の休憩スペースでも自習
建屋と広場の境界にはアーケード
ガイドラインより。イメージ写真の精度が高い
一番印象的だったのが敷地のはずれにある広場
残土処理かもしれないけど、地形とデザインが一体となっていてオンサイトっぽい
ガイドラインより。イメージ写真の精度が高い
神社の参道にも見える園路
個別に名前がつく予定だったのかもしれない

予算が潤沢にあったわけではないと思うが、大きな方針からディテールまで、一貫してデザインのこだわりが感じられた。オガールは事業スキームが注目されがちで現地を見に行ってない人も多いかもしれないが、空間としても面白いので、今でも訪れる価値があると思った。

名称:オガールプロジェクト(オガール東広場、オガール西広場、オガール大通公園)
主要用途:公共施設(広場、町役場、図書館、ホテル、体育館など)
竣工:2014年
規模:11,444㎡(オガール東広場+オガール西広場+オガール大通公園)
所在地:岩手県紫波郡紫波町
施主:紫波町
手法:公共事業
ランドスケープ設計:オンサイト計画設計事務所
施工:佐々木建設株式会社、橘建設株式会社

事業の体制(紫波町資料


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