再び入院その後・2
倒れていた父。
一目で、すでに亡くなっているとわかった。
激しく動揺した私は、娘になぐさめられながらなんとか救急車を呼ぶことができた。ベッドをレンタルしていた会社の人も来てくれた。
父は、常々「家で死にたい」と言っていた、
調子が悪かろうが、倒れていてもそのままにしてくれと。それが親孝行というものだと。なんて勝手な言い分だろうと聞いていた。
が、父の希望通りになった。亡くなったのは、長男が来た土曜日の夜だろうということだった。
長男に頼んだ夕飯の牛丼の残りだけが残っていた。それ以外のゴミがなかった。
父は長男のことをすごく可愛がってくれていたので、最後に会えたのが長男で良かったなと思った。私も、長男が実家に行ってくれている時、父から電話があって「(長男にパンを頼むのをわすれたから、電話して頼んでくれ」と電話があり、それが最後の会話になってしまったけれど、話せて良かったなと思った。
入院中の母に話そうと思ったけれど、話せなかった。今も伝えていない。
生前の父は「いつ死んでもいい」と言っていた人だった。その割には、三回もコロナワクチンを打った。「長生きしたいんじゃん」と思っていた。もし両親が亡くなることがあっても「あ、死んじゃった」くらいの反応だろうと思っていた。
けして仲が悪かったわけではないけれど、すごく良い親子関係でもなかった。
それなのに、激しく動揺し、一通りのことが終わった後、後悔と悲しみに襲われた。
せっかく、仲良くなりかけていたのに。もっと色々買っていってあげれば良かった。父が好きそうなものを見つけて「もう買って行かなくていいんだ」と思うと、買い物中でも泣けてきた。そんな感じで半年くらい過ごした。