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軍事主義と闘うことなしに、気候危機と闘うことはできない ①

最近は、世界中で起こっている戦争・紛争のニュースに心を痛めている人もいるかもしれません。
戦争や紛争は、人々の命を奪うだけでなく、実は気候変動にも大きく影響していることを意識している人は少ないかもしれません。
中東のカタール政府が出資しているメディアAl Jazeera(アル・ジャジーラ)では、ヨーロッパやアメリカ中心の視点ではなく、地球上の大体数の人々が住んでいる地域からの視点を伝えてくれ、パレスチナや日本を含むアジアの情報も、それぞれの文化を尊重する視点となっているように感じます。
特にパレスチナの報道については、イギリスの国営放送BBCでも、イスラエル側よりの非常に偏った報道をしていることで、BBC内部で抗議して辞職した人々がいることでも知られています。
また、イギリスの大手のメディアの多くはビリオネアであるRupert Murdock(ルパート・マードック)さんによってコントロールされているため、BBCをさらにこえてイスラエルよりに偏った報道をしているので、アル・ジャジーラの報道を確認することは何が実際に起こっているのかを理解する助けになります。

今回は、アル・ジャジーラの報道の中でも、気候変動と軍事、気候変動とテック等を分かりやすく扱っている「All Hail the Planet」から。
10話から成っていて、どの議題もとても興味深く、30分ぐらいで退屈する暇なく、観れます。
今回は、10話のうちの一つ、militarism(ミリタリズム/軍国主義)と気候変動の関係から。
ここから無料で観ることができます。
女性ジャーナリストのAli Rae(アリ・レィ)さんの英語は聞き取りやすく、ヴィジュアル的にとても分かりやすく編集されているので、実際に観ることをお勧めします。
アリさんは、多くの場所で自分で画像も撮影していて、大きな撮影セットなしで、身軽に群衆の中から伝えてくれるのも新鮮に感じます。

現在、20億人の人々が戦争・紛争が起こっている地域に住んでいるそうです。
これは、地球上の人々の約4分の1という多さです。
2023年度は、第二次世界大戦以降、一番活動的で暴力的な紛争の数が多い年だったそうです。
「活動的」というのは、実際の武力抗争が起こっているということで、「frozen conflict/フローズン・コンフリクトー凍結した紛争、例えば北朝鮮と韓国とのバッファーゾーン」で、実際の武力抗争は起こっていないけれど、長年緊張・膠着状態が続いている地域も存在します。
実際に活動的な状態の戦争や紛争では、アメリカが関わっていることが圧倒的に多いのですが、軍事活動で排出される温室効果ガスを合計して、一つの国の温室効果ガス排出量としてカウントすると、世界4位になると見られています。
私たちが、気候変動に対応するには、どの分野でどのぐらい温室効果ガスを排出しているかを正確に把握することはとても大切です。
また、国々が(証拠はないが)想像上の「Security(セキュリティー/安全ーSafetyとは違う)」の便益をはかるために戦争を行うことを正当化する時代(※)においては、現在の大規模での戦争・紛争は、(地球上の人々全体の)共有の安全性への脅威です。

軍事行動が起こす温室効果ガスのここまで大きい排出量が表に出てこないのには、アメリカが関わっています。
アメリカの軍事行動で排出される温室効果ガスの内訳は、30パーセントが基地でのオペレーション(食物や器具を運ぶために必要なガソリン、大きな穴をつくってゴミを燃やしている等)で、残りの70パーセントは、戦闘ジェットを飛ばしたり爆弾を落としたりする直接的な軍事行動だそうです。
戦闘ジェットを1時間飛ばすのに使う燃料は、平均的な運転手が7年間に使う燃料と同じ量だそうです。
アメリカ軍は、2017年だけに限っても、85ミリオン・バレルをオペレーションで使用していて、戦争・紛争では勝たなくてはアメリカのプライドが許さないので、大量の石油を必要とし、直接的・間接的な軍事介入によって、世界各地の石油を自国、或いは自国の石油企業で所有・独占をはかりつづけています。
なぜこれらの軍事での温室効果ガスの排出量が表に出てこないかというと、アメリカ国防省が、1997年に採択された京都でのKyoto Protocol(京都プロトコル/京都議定書)に、軍事行動における温室効果ガス排出量はこの議定書から除外されることを主張したからだそうです。
結局は、アメリカはこの議定書にサインすることは拒んだものの、アメリカの主張した軍事行動を除外することは、この議定書に含まれているそうです。
さまざまなリサーチャー・科学者が、できうる限りの範囲で証拠を集め計算した結果、排出量が大きいとして知られている航空業と船舶業を合わせた排出量よりも、軍事行動による排出量のほうが大きいとされています。
アメリカが、軍事行動を温室効果ガス排出量から除外したかったのは、アメリカの軍事介入を減らしたくなかったからです。
なぜなら、戦争・紛争はアメリカに大きな利益をもたらすからです。
でも、それは、ほかの地域、特に中東、アフリカ、南アメリカの人々の命を奪い、環境破壊を行い、長年に渡って、水質汚染や不発弾や地雷で殺される人々、アメリカが違法で使った爆弾や化学薬品等により奇形児が生まれる、といったことはベトナムやカンボジアといった、戦争が終わってから50年以上たっている現在でも続いています。
また、地球上の多くの地域で、戦闘・爆撃で住んでいた地域から逃げざるを得ず、国内で難民となる人々、近隣の国々で難民となる人々を大量に作り出しました。
これは、無実の市民たちの人生だけでなく、近隣の国々の政治・経済・社会も不安定にさせます。
また、多くの人々は、近隣の国々で市民権を得られず、stateless(ステイトレス/無国籍)となり、仕事を得ることも教育を受けることも難しく、多くが難民キャンプに閉じ込められて、数世代にわたってそういう生活が続くことが多いことも考慮にいれる必要があります。
アメリカやヨーロッパでは、ベトナムやカンボジアからの難民を優先的に受け入れていた時期もあったようですが、難民、特に有色人種に対しては、いつまでもOthers(よそ者)扱いで、「この国(アメリカやヨーロッパという「文明化された」国)に住めることをありがたく思え」という態度をとられがちですが、ピューリッツア賞をとったベトナム系アメリカ人のViet Thanh Nguyen(ヴィエット・タン・ウェン)さんが、「そもそも、僕たちがアメリカに来ざるをえなかった原因が、アメリカにあること(アメリカがベトナムでベトナム人に対して大量殺人を行ったり、違法である爆弾や武器で国土を破壊したこと)を、アメリカ人たちは理解するべき」と言っていたのを思い出します。

実際、アメリカやイギリスといったいわゆる西側諸国/経済発展国に住んでいる人々の数は、それ以外の地域と比べるととても小さいものです。
ある統計によると、経済先進国は全世界の人口の約17パーセントで、残りの経済後進国は83パーセントです。
アメリカという国の覇権を守るための戦争で、世界中で犠牲になっている人々、環境への影響は非常に大きく、これが正当化できるものではないことは、アメリカやイギリスといった国々を除けば、地球上の大多数の人々が理解するでしょう。

 (※)
アメリカは、軍事予算が異常に大きい国で、軍事予算が世界2位から10位までの国々(中国、ロシア、UK、インド、サウジアラビア等)を合わせた軍事予算と同じくらいの規模です。
アメリカの軍事費は、アメリカの国家予算の約13.3パーセントを占めているそうです。(対GDPではなく、対国家予算/連邦予算)
軍事費は大きいものの、公共機関(電車やバス等)の状態はひどく、絶対的貧困・相対的貧困共にとても高いことでも知られています。
私営化・民営化がネオリベラリズムのイデオロギーに沿った政策で進み、医療費が異様に高く、40パーセントの自己破産は医療費の支払のせいだとする統計もあります。
多くの人々が必要とするインシュリンの平均価格は、アメリカが一番高価で、2018年度の比較では、アメリカ(98.70 米ドル)、日本(14.40 米ドル)、イギリス(7.52 米ドル)です。日本のインシュリン価格が世界4位ととても高いことも覚えて置く必要があります。なぜなら、日本はアメリカとヨーロッパの中間でもアメリカ寄りで、「企業の儲け>>>一般市民の健康」だからです。
イギリスもネオリベラリズムが進みましたが、今でも医療費(診察・治療・入院・手術等のすべて)は無料で、薬代は処方箋ごとに国で定められた金額を払うのみで、失業中だと無料になります。
アメリカでは、一般市民が日常の生活に苦しんでいる状況にも関わらず、軍事費は、年々、上がり続けているそうです。
軍事費は、もちろん国民の税金からまかなわれています。
日本を含めた地球上の隅々にまで、合計で800ぐらいの米軍基地を設置していますが、軍事費のうち、約30パーセントはオペレーション(食料や武器の輸送・基地のメインテナンス等)とみられています。
また、温室効果ガスだけでなく、これらの米軍基地で行われていることは、イギリス国内であるにも関わらず、国家機密としてイギリス市民が知ることができないことも問題となっています。
例えば、ガザ虐殺で、イギリス政府・イギリス軍がどう関わっているか(イスラエルへの武器や武器の部品、兵士やインテリジェントの提供等)は、税金を払っているイギリス市民は知る権利があるはずなのですが、現時点では機密情報として公開されていないそうです。
また、この米軍基地で勤務するアメリカ人に対する治外法権も問題になっています。最近では、イギリスの米軍基地で働いている人の家族が車で反対車線を運転していて、道路法に従って正しく走行していたオートバイに乗っていたイギリス人の若者をはねて殺しました。でも、イギリスで刑事裁判を受けることなく、アメリカに即時に帰り、イギリスへの送還依頼はしない/できない、ということで今でも問題となっています。
日本では、米軍基地で働く人々の「治外法権」は、長い期間、問題になっているので知っている人は多いと思いますが、イギリスではアメリカ軍に従事する人々が多くいるにも関わらず、一般の人々は知らないままでした。
アメリカの軍事費が大きいことには、歴史的な事情もあります。
アメリカは、第二次世界大戦後には、唯一の黒字国で、ヨーロッパやほかの地域の国々や人々が大きく戦争や植民地からの独立戦争・独裁政治への抵抗紛争で疲弊していたのに比べ、アメリカは自国が戦場になることもなく、武器や物資の輸出を通して、工場や技術も発展し、経済も大きく飛躍しました。
戦前は、経済・パワー共に中心だった西ヨーロッパは、植民地国の多くが独立を求めて抵抗運動を強め、世界大戦後の十年ぐらいで多くの地域は独立国となったこともあり、西ヨーロッパは覇権を失います。
アメリカでは、第二次世界大戦後は、アメリカ国内で効率よく生産されたモノを売るマーケットは、アメリカや既存の地域のマーケットでは多すぎて余剰となることが理解されていました。
モノが売れなければ、工場や店は従業員を解雇することとなり、失業率があがり、失業する人々が増えれば、国内のマーケットも小さくなり、恐慌に陥ります。
資本主義の仕組(とにかくモノを果てしなく多く生産し(そのために、多くの資源と労働力を際限なく搾取・搾り取る)、モノを売るマーケットや場所をどこまでも永遠に広げていく必要がある。そうでないと経済が破綻する)もあり、マーケット(売るモノは工業製品でも武器でもなんでもいい)をどこかにひろげる必要性がありました。
ちなみに、日本も第二次世界大戦後の経済発展のきっかけは、Korean War(コリアン・ウォー/韓国戦争ー英語では北朝鮮はNorth Korea, 韓国はSouth Korea)での戦争需要でした。
アメリカにとって、日本は地勢的に韓国での攻撃を行うことに便利だったこともあり、また、アメリカの覇権を脅かす存在になる可能性のあった社会主義を抑えるために、中国や韓国地域への社会主義への防波堤として日本を使うこととなり、第二次世界大戦の戦犯被疑者であった元閣僚たちが釈放され、公的な地位に就くことが許され、元首相の阿部さんの祖父、岸信介さんが首相になったりもしました。
これは、西ヨーロッパの視点からみると、ドイツのヒトラー政権で閣僚だった人々が、戦後に政府の要職につくのと同じことで、とても驚かれることです。
アメリカは、自国の権力独占と経済的覇権を保守するため、国際的な仕組(Bretton Woods, 国際通貨基金、世界銀行、ISDS-投資家対国家の紛争解決、アメリカドルを世界の準備通貨とし石油の取引にはどの国もアメリカドルが必要等  ←別の回に詳細を説明)も作りますが、同時にCold Warを口実に(社会主義から民主主義を守る、等のプロパガンダ)、地球上のあらゆる地域(特に石油や金、コバルトといった資源が豊かな地域)で戦争や軍事クーデーターを直接的・間接的に引き起こし、軍事需要の大きさを保ち、アメリカの利権を守る傀儡政権を設置し、その地域からの資源や労働力を搾取して儲け続ける仕組を保ちます。
南アメリカでは、自国民の福祉や教育をよくしようとした国々の多く(チリやアルゼンチン等)は、アメリカやアメリカ企業からの自国の資源・労働力の搾取をストップさせる政策をとったことで、アメリカからの軍事介入が起こり、アメリカの傀儡政権がとてもひどい独裁政治を行い、多くの無実の市民たちが殺害されました。それを知りながらも、アメリカ政府は、この独裁政権と友好関係を続けました。
南アメリカへの介入は、冷戦時代だけでなく、近年でも起きています。
自国民への教育や福祉を優先し、アメリカ企業の搾取を阻む政策(国の資源の国有化、最低賃金を引き上げる等)を行ったボリビアに対して、主要政党反対派にお金やインテリジェンスを提供して民主的に選ばれた大統領をクーデーターで取り除こうとしたことも知られています。
これらの情報は、ウィキリークスのジュリアン・アッサンジュさんが公開したホワイトハウスの機密文書の内容からも証明されています。
アメリカは、「民主主義・自由・人権の尊重の国」といったことを文化(映画や小説)や政治・経済を通してプロパガンダにしていますが、国際法違反の戦争・侵略ーイラク侵略、アフガニスタンへの侵略等ー数えきれないほどの侵略や戦争を引き起こしました。
イラクの場合も、世界3位の埋蔵量がある石油目当てだったことは明らかで、侵略を行った際も、石油施設だけは守り、アメリカ企業はそこから大きな利益を得ています。
この侵略で、数多くの無実のイラク市民の命は奪われ、環境は破壊され、現在でも混乱は続いています。
侵略の後に続いた長年のアメリカ軍・イギリス軍によるイラク占領時代には、無実のイラク市民の多くが(戦争違反である)拷問や市民をターゲットとした攻撃等によってアメリカ軍・イギリス軍によって殺されたことも、前述のウィキリークスのジュリアン・アッサンジュさんがホワイトハウスの外交機密文書の公開等を行ったことで明らかになりました。
イスラム過激派ISIS(アイシス)が結成され成長したのも、このアメリカ・イギリス主導のイラク侵略・占領がもとになっていると見られています。
イスラム過激派の台頭は、アメリカやイギリスといった西側諸国よりも、イラクやシリアといった中東の国々で無実の市民の殺害を大きく引き起こしました。
西側の報道では、アメリカやイギリスといった西側の人々の死者は大きく報じられますが、ほかの地域(有色人種)はほぼ報道されないか、みんなテロリスト(=だから殺してもかまわない)といった偏った報道となります。
ここには、植民地時代から続く、偽科学の「人種」をつかい、白人は有色人種よりすべてにおいて優秀である(=だから、有色人種を奴隷のように扱ったり、有色人種たちがもつ資源や土地を奪うことは正しくて善いことー野蛮で文明のない有色人種には資源や土地は管理できないから優秀な白人が管理するのが正ししくて善いこと)という根強く続くイデオロギーも影響しています。
アメリカやイギリスが私利私欲のために引き起こした戦争が、中東やほかの地域にとても悪い影響を及ぼし続けているのは、アメリカやイギリスが気候危機の原因をつくり拡大させているのに、その影響を強く受けているのは、気候危機の原因にはほとんど寄与していない地域と人々であることにも似ています。
イランでは、正当な選挙で選ばれ、民主主義を目指し、自国の石油を自国の人々へと戻そうとしたモサデク政権を軍事クーデーターで取り除き、アメリカとイギリスの傀儡政権であるシャーを政権に植え込みました。シャーは独裁政治で、イランの人々を苦しめました。
イランは国民たちの多くが民主主義を願い、その方向に向かっていたのにアメリカとイギリスによってその希望を絶たれ、今も民主主義は夢のままです。
これも、石油を狙ってのことです。
リビアは珍しく自国の石油を自国で所有・管理していたのですが(←本来なら自国の資源の恩易を受けるのは自国民であるべきですが、多くの石油資源国は旧植民地宗主国の企業に利権を握られている場合が多い)、石油の売買をアメリカドルではなく、ゴールドで行おうという提案をアフリカや中東地域で始めると、オバマ政権の時代に、アメリカ軍からの侵略を受け、ある程度豊かで安定した地域であったにも関わらず、現在は、その跡形もない混乱状態となっています。
アメリカは貿易の輸入・輸出をみると、長い間損失が多く、借金も大きい国で、普通なら経済的にとっくに力を失っているはずなのですが、石油の売買はアメリカドルを通して行うようにしていることや、クレジットカードのお金のやりとりも多くはアメリカの企業を通しているので、どの国もアメリカドルを保持するしかなく、余剰のアメリカドルは、アメリカのリアル・エステートを買うことに投資するぐらいしかなく、アメリカドルが世界通貨のように機能させ続けることは、アメリカの経済にとってとても重要なことです。そのため、石油売買をアメリカドルを通さず行うとしたリビアを攻撃したとみられています。このときに、オバマ政権は、ドローンを多用することで、「アメリカ人が戦闘で死なないから、これは戦争ではない」として、本来なら議会での話し合いを通して戦争(リビア攻撃)を許可されるべきところを、バイパスしてリビア攻撃を行ったそうです。
多くの無実の市民が殺されましたが、それについては、ほかの軍事介入と同じく、なんの責任も取っていません。
アメリカでは、ほとんどの地域に武器工場や、軍事に関る会社があり、ほかの地域での戦争を起こす・戦争を続ける・戦争をサポートすることに対して、感覚が麻痺している人々もいるそうです。
それには、アメリカ政府の以下のような典型的なプロパガンダに洗脳されていることも影響しているかもしれません。

「野蛮な国」の「文明をもたない野蛮な人々」に、文明を広めたり、民主主義を与える等=戦争は英雄的な好意で、慈善・慈悲的な行為
アメリカにテロ活動をした/テロ活動する可能性のある人々やグループがいる国々(←証拠がないことがほとんど)をテロを仕掛けられる前にたたきつぶすー市民が巻き添えになるのは、テロ・グループのせいで、アメリカ軍のせいではない
※市民を巻き添えにするのは戦争犯罪だけれど、国際法違反でイラクに侵略した際も、市民が普通に住んでいる地域・市民が密集している地域・遊牧民しかいないような明らかに武装集団がいない地域等に、激しい爆撃を行ったことは記録でも明らかです。
目的は、すさまじい量の爆撃を侵略の最初の段階で行い、闘う気をなくさせることだったそうですが、結果的に多くの無実の市民の命を奪い、怪我で身体障害者になった子供たちや人々も多く、結果的には、とても強力なテロ組織ISISができる原因となりました。
一番の被害を被ったのは、イラクや中東地域に住む普通の市民たちです。
近年では、2015年以降、イエメンで多くの無実の市民が戦争で殺されたり飢饉や伝染病で死んだりしましたが、この戦争もアメリカとイギリスがサウジ・アラビアを大きく支援して、サウジアラビアが国際法違反の行為をしていること、世界最大規模の飢饉が起きていることを知りつつも、大量の武器を売り続け、戦争を長引かせることで儲けをえました
これらの場合のアメリカの他国・他地域への侵略(多くの場合は国際法違反)や戦争を正当化する理由は、「独裁政治を倒し、市民たちの望む民主主義をもたらすため」だったり、「War on Terror(ウォー・オン・テラー/テロリズムへの戦争)=自国の安全を他国・他地域のテロリズムから守るため」だったりとさまざまですが、どれも嘘であることは既に明白です。
アメリカやイギリスの権力や経済力の覇権を守るため、アメリカやイギリスといった先進国に住んでいる人々の(想像上の)危険という気持ちを軽くするため、地球上の多くの人々を犠牲にしている現状がいいわけはありません
アメリカもイギリスも国際法違反を犯しても、お互いがかばいあい、金力や権力を使って法律を捻じ曲げて解釈する法律家を雇って自分たちをかばったりと、国際法違反や戦争犯罪で罰せられるのは第三世界の国々ばかりであることには、大きな批判もあります。
アメリカが戦争を続ける為には、常に敵をつくり、「恐怖」を国民に常に引き起こす必要がありますが、現在の敵は中国やイランです。
中国もほかの国々に影響を及ぼそうとしたり、自国内での人権侵害(ウィグル族の人々や香港の人々に対して)はしているものの、アメリカや西ヨーロッパの帝国主義とは違い、他国に侵略したり、軍事クーデーターを起こして自分たちに都合の良い傀儡政権をおくようなことはしていません。
歴史的には、中国は西ヨーロッパや日本から植民地国として搾取された地域であり、近年ではサウジとイランの国交を回復させる役目を果たしました。
アメリカは、西ヨーロッパからの侵略者たち(白人・キリスト教徒)が、原住民である人々(有色人種・非キリスト教徒)を大量に殺害し、殺しきれなかった人々に対しては、土地を奪い小さな地域に閉じ込めたり、キリスト教の学校に子供たちを無理やりいれて原住民の文化やことばは野蛮なものだとして教えこみ、原住民の子供たちが親や親戚とコミュニケーションできないようにする(=文化やことばの抹殺で、これも虐殺の定義の一つ)等のひどことの上に成り立っている国です。
その上に、黒人を奴隷としてただ働きさせて豊かさを築いた国ですが、そういったひどい歴史はなかったこと、見えないことにされています。
でも、国民たちの無意識化には、ひどいことをしてきた歴史の上に自分たちの豊かさがあることは気づいていて、だからこそ、「有色人種の数が増える=今まで白人が有色人種に対して行ってきた数々の悪事を白人が受けることになるのでは(←有色人種の大多数がそんなことを行うとは考えづらい)」という不合理な恐怖で「有色人種の数を減らす/有色人種は白人より下であるということを思い知らさなくては」となったり、アメリカ以外の国々が力を持ち始めると、「アメリカや西ヨーロッパの国々が帝国の支配下にある人々に行ったようなひどいことと同じことを自分たちに対して行うに違いない(←アメリカや西ヨーロッパが行った野蛮・残虐な行為をほかの国々が行う可能性はとても低い)」という不合理な恐怖で「攻撃される前に攻撃しなくては」となるのではないか、という説もあります。
これは、自国がひどいことをしてきた歴史に責任を取り、きちんと向き合うことでしか解決できないでしょう。 

 

 

 



 

 

 

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