追悼 綿引勝彦さん
俳優の綿引勝彦さんが、昨年の12月30日に、膵臓ガンで亡くなっていたらしい。享年75歳。御冥福をお祈りします。
どちらかと言うと、歳をとってから魅力が出るタイプの俳優さんだと思うので、これからだと思うと、残念でならない。
綿引さんは、私の脚本家としてのデビュー作、フジテレビ「世にも奇妙な物語〜マジシャンのポケット〜」に、出演して頂いた。
綿引さんは、井上順さん扮するジャッキー小泉というマジシャンを追い詰める村上完治という刑事役だった。
井上順さんの三流マジシャンのうらぶれた感じも良かったが、綿引さんの、感情を表に出さず、ジワジワ追い詰めて行く感じが、コロンボのようで、ハマっていた。
ついでなので、言っておきたいのは、ネットなどで、この作品の出演者が、井川比佐志さんになっているものが多いのだが、この原因はわかっている。
2000年に、ぴあから出た「世にも奇妙な本 世にも奇妙な物語 1990 - 2000」という本の記述が、間違っているのだ。ネットのデータは、これを見て書いたのだと思われる。綿引さんにも井川さんにも失礼だと思う。
さらに、この作品の音楽が素晴らしくて、いつかこの方と御一緒したいなと思っていたのだが、前作「田吾作どんのいる村」で、作曲家の土井宏紀さんに恐る恐る連絡したら、快諾して頂き、その夢がかなった。
綿引さんも同じで、いつかこの人でコメディをやると面白いだろうなあ、と思っていた。ところが、自分の力不足で、未だにそのステージに至らず、情けない限りだ。
確か、光ヶ丘のホールだったと思うが、私はラストシーンの撮影に立ち会ったので、直に綿引さんの姿を観ることができた。(ちなみに、私も3カット出演しています。)
ただ、当時ぺーぺーの脚本家だった私は、直接御挨拶できなかった。いつか、お礼を言いたかったのだが。
「綿引勝彦さん、ありがとうございました !」
(2021.1.13.記)