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「どですかでん」のデジャヴ
テレビでクルーザーの特集をやっていた。あんな動く書斎があればいいなあと思った。3億円だそうだ。
その前は、キャンピングカーが欲しくて、パンフを集めたり、キャンピングカー・ショーに行ったりした。200万円は軽くする。
大昔は、友人と別荘を作ろうと、ログハウスの設計図を作り、土地まで見に行ったことがある。
全て、いまだに、夢のままだ。
黒澤明監督作品に、山本周五郎原作の「どですかでん」(1970)という初カラー作品がある。電車好きのちょっと頭の弱い少年周辺の長屋に住む変人たちの物語だ。
若い頃は、良く分からなかった。でも、歳を取って、やっとこの映画の意味がしみじみと分かってきた。この作品は、“人間の愚かさ”を嘲笑っているのだ。
登場人物の中に、三谷昇が演じる乞食がいる。いつか豪邸に住む夢を見ている。でも、働かない。子供が病気になるが、「きっと治るさ」と医者にも見せずに、死なせてしまう。何もしないで、夢だけ見ているのだ。
まるで、自分を見てるようだ。夢を見てるだけの怠け者。
黒澤明の笑い声が、聞こえた。
(2021.10.3.記)
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