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【EDH】《夢の巣のルールス》における妨害カードの採用枚数考察
はじめに
以前スタックス型《夢の巣のルールス》を組む際に、スタックスカードの種類別有効度について考察しました。結局、スタックス型《ルールス》の構築は一度諦めたわけですが、別のタイプの《ルールス》を構築し直している際にふと疑問が浮かびました。
「《夢の巣のルールス》に採用する妨害カードの枚数は果たしてこれが適正なのだろうか?」
スタックスカードの種類別有効度等を考察した際、その各種スタックスカードの適正な採用枚数については考察をしていませんでした。また、これまでに組んだ《ルールス》に採用した妨害カードの枚数については、ネットのデッキリスト(主にEDHREC様)を参考に筆者の感覚で採用枚数を決めていました。
そこで今回、ネットのデッキリストや筆者の感覚ではなく、実際に結果を残している統率者のデッキリストを参考に各種妨害カードの採用枚数の方針となるデータを集計できないかと考えました。
また、この考察をするうえで筆者が最近抱いていた疑問についてもこの機会に解消したいと思いました。その疑問とは、「cEDH環境において以前と比べると、妨害カードよりも勝利に直結するカードを採用する傾向が強くなっているのではないか」という点です。
対戦相手に対応するカード(妨害カード)の採用枚数が減り、自身の勝利に直接的に関係するカードの採用枚数が増加すると環境の高速化につながっていくと筆者は認識しています。環境があまりに高速化すると《夢の巣のルールス》のような速度勝負が厳しい統率者にとっては、そもそもの構築(つまり戦略)から対応していく必要があります。そこで今回の妨害カードの採用枚数の考察から、この疑問を解消できないかと考えました。
データの集計方法について
今回の考察にあたって、どのようにデータを集めたかについてですが、今回は晴れる屋様の統率者神決定戦の第1回から第8回までのデータを参考にすることにしました。本来ならばEDHTop16様のデータも参考にしたかったのですが筆者の労力的にキツイため、とりあえずは国内のcEDH環境に絞って考察することにしました。
※この後、集計データを元にそれらしい考察をぐだぐだと述べていますが、サンプル数が少ないためまったく見当違いの考察である可能性が大です。
(晴れる屋様)
まず第1回~第8回までの統率者神決定戦において、各回の上位入賞統率者は下の表のとおりです。
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次に、この表の中から上位入賞回数の多い統率者を選出します。選出した統率者は下記の6統率者です。
・《織り手のティムナ/ルーデヴィックの名作、クラム》
・《ロフガフフの息子、ログラクフ/愚者滅ぼし、テヴェシュ・ザット》
・《フェイに呪われた王、コルヴォルド》
・《トレストの密偵長、エドリック》
・《トリトンの英雄、トラシオス/織り手のティムナ》
・《ギトラグの怪物》
さらに、妨害カードの種類を下記の6種類に大別します。
・【打消し】
・【クリーチャー除去】
・【バウンス】
・【置物対策(複数用途)】
・【墓地対策】
・【その他(ドロー妨害、サーチ妨害、呪文禁止等)】
ちなみに今回、打消し呪文を妨害カードとして集計していますが、この点については疑問の声もあるかと思います。なぜなら、打消し呪文は自身が勝つためのコンボや仕掛けを通すための「勝利に直結するカード」としても使われるからです。cEDH環境において「青」が強いと言われる理由のひとつは、この「妨害カード」であり「勝利に直結するカード」でもある打消し呪文を多数採用できる点にあります。
今回、筆者の「妨害カードよりも勝利に直結するカードを採用する傾向が強くなっているのではないか」という疑問を考察するうえで、打消し呪文を「妨害カード」という一つの役割のみに絞って集計してしまうことは好ましくないかもしれません。
しかし残念ながら、現状筆者には妨害カードの二つの役割をきれいに分けて集計する方法が思いつかないため、今回は打消し呪文を「妨害カード」として集計することにしました。
ここから、選出した6統率者のデッキリストに種類分けした各種妨害カードが何枚採用されているかを集計します。注意点として、この集計の際に妨害カードをどの種類に振り分けるかという点について筆者の主観が多く入ってしまっています。
例1)《赤霊破》や《紅蓮破》は【打消し】ではなく【置物破壊(複数用途)】として集計している。
例2)《沈黙》は対戦相手の仕掛けを止められるので集計に入れているが《堂々たる撤廃者》は集計に入れていない。
そのため、そもそもの集計方法が気になる方は稚拙なExcelデータではありますが公開しておきますので独自に集計を編集していただければと思います。
ちなみに、集計は下記のような表形式でおこないました。
例)第8回統率者神決定戦における《ティムクラ》の妨害カード採用枚数
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妨害カードの総採用枚数集計から見える点
妨害カードの種類を問わずに、選出した6統率者の第1回~第8回統率者神決定戦における妨害カードの採用枚数推移をグラフにして見てみます。
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まず、「固有色に青を含む統率者」と「固有者に青を含まない統率者」という点に注目すると、妨害カードの採用枚数が回を経るごとに収束しているように見えます。「固有色に青を含む統率者」は採用枚数が21~24枚程度、「固有者に青を含まない統率者」は採用枚数が12~14枚程度に収束しているようです。
次に、筆者が感じていた「cEDH環境において妨害カードの採用枚数が減っているのではないか」という点についてです。「固有色に青を含まない統率者」については回を経るごとに若干減っているようにも見えます。
しかし「固有色に青を含む統率者」については、減っているかと問われるとかなり微妙な推移のように思われます。ただこの点については、先に書いたように今回の集計方法だと打消し呪文の役割が「妨害カード」という役割に絞ってのみ集計されてしまっていることが影響している可能性もあります。
妨害カードの種類別集計から見える点
今度は、選出した6統率者毎に妨害カードの種類別の集計を見てみます。
ちなみに、集計は下記のような表形式でおこないました。
例1)《ティムクラ》の種類別妨害カード採用枚数推移
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例2)《エドリック》の種類別妨害カード採用枚数推移
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まず、全体を通して見ると【墓地対策】カードについては回を経るごとに採用枚数が減っているように思われます。しかし、その他の点についてはさすがに推移が微妙すぎて、あまり有意な仮説を立てられそうに見えません。
一応、個別の統率者についても見てみます。《ティムナ/クラム》は、回を経ても各種妨害カードの推移がほとんど見られません。《エドリック》は回を経るごとに【置物対策】、【墓地対策】の採用枚数が減り【打消し】の採用枚数が増えているように見えます。その他の統率者については、読み取れる内容があまり無さそうです。
《ドラニスの判事》に関する考察
今回データの集計をしている最中に、選出した統率者の妨害カードにおける《ドラニスの判事》の採用率の低さが気になりました。
筆者は《ドラニスの判事》は統率者の白を代表するカードだと認識しています。なぜか対戦相手にだけ統率者を唱えることを咎めるうえに、墓地や追放領域から呪文を唱えることも禁止するため、cEDH環境における赤の代表的なカードである《死の国からの脱出》を対策できます。
《ルールス》との相性を考えた場合でも、《ルールス》の能力で墓地から唱えられる2マナ域であり、自分は墓地から呪文を唱えられるため《ルールス》の能力の支障となりません。
筆者がデッキ構築の際、頻繁に参考にするEDHREC様においても高い採用率(6/12時点72%)を誇っていますし、EDHTop16様の記録で唯一勝利を収めている《ルールス》のデッキリストでも《ドラニスの判事》は採用されています。そのため、筆者にとって《ドラニスの判事》は《夢の巣のルールス》の最初の構築時から固定枠のカードでした。
(EDHREC Lurrus of the Dream-Den)
(EDHTop16 Lurrus of the Dream-Den)
ではここで、今回ついでに集計した晴れる屋様の統率者神決定戦における《ドラニスの判事》の使用率を見てみます。
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ご覧のとおり、晴れる屋様の統率者神決定戦においては《ドラニスの判事》の採用率は回を経るごとに低下しています。
もちろんこの結果からすぐに、《ルールス》のデッキ構築に《ドラニスの判事》は必要ないと結論付けることは出来ないでしょう。しかし、筆者はこの集計をしなければ今後もしばらくは《ドラニスの判事》を固定枠として検討することもなく採用し続けていたと思います。またこの集計結果は、EDHREC様におけるカード採用率をどこまで自身のデッキ構築の参考にするか考える良いきっかけになりました。
集計結果をもとに《ルールス》を見る
別の記事で100枚解説をした5月19日時点の《ルールス》に採用している妨害カードを集計してみます。
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妨害カードの採用枚数は15枚と、「固有色に青を含まない統率者」としては若干多めな気がします。また、これまで《ルールス》にとっては固定枠として考えていた《ドラニスの判事》と《ダウスィーの虚空歩き》は、今後の採用について検討が必要です。
《ドラニスの判事》については先に書いたとおりですし、墓地対策である《虚空歩き》については《ドラニスの判事》同様、EDHREC様において高い採用率(6/12時点80%)のため固定枠として採用し続けてきました。しかし今回の考察における【墓地対策】カードの採用率の低さ見ると、採用について検討すべきカードだと思います。
また逆に【置物対策(複数用途)】のカードについては採用枚数を1~2枚増やしてもいいように感じます。
まとめ&最後に
今回の考察をまとめると、主な点としては以下の4点です。
① 最近の妨害カードの採用枚数は、「固有色に青を含む統率者」で21~24枚程度、「固有者に青を含まない統率者」で12~14枚程度。
② 墓地対策カードの採用率は以前と比べると低下している。
③「cEDH環境において以前に比べると、妨害カードよりも勝利に直結するカードを採用する傾向が強くなっているのではないか」という点については、「固有者に青を含まない統率者」において若干その傾向が見られる。「固有色に青を含む統率者」については、打消し呪文が二つの役割を持つため、今回の集計方法では考察できない。
④《ドラニスの判事》の採用率は、以前と比べると低下している。
今回の考察で、《ルールス》における妨害カードの採用枚数等についてある程度の方針を立てることが出来たと思います。特に、長い間固定枠としか考えていなかった《ドラニスの判事》と《ダウスィーの虚空歩き》が、採用すべきか要検討のカードであるという点は非常に大きな収穫でした。
先に書いたとおり、今回の集計はサンプル数が少ないうえに筆者の偏見が多分に含まれるため疑わしい点が多々あると思います。そのため、今後も徐々にサンプル数を増やしつつ集計データの精度を上げていきたいと思います。
また、今回考察しきれなかった「cEDH環境において以前に比べると、妨害カードよりも勝利に直結するカードを採用する傾向が強くなっているのではないか」という点について、読者の皆様のご意見をいただけると筆者が大変喜びます。
最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。
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