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NISAで増加する積立投信。信用金庫は15年で25.8倍に拡大。「長期・積立・分散」投資の裾野拡大に貢献!【「Dataは語る」2024年11月号】

新NISA導入やiDeCo拡充を契機に、学生や新卒社会人などの“資産形成層”でも投資信託への関心が高まり、購入する動きが広がってきた。

地域金融機関ではこれまで富裕層や企業オーナーをターゲットにしたスポット購入の推進が中心だったが、資産形成に不可欠とされる「長期・分散・積立」投資の裾野拡大にどのように貢献しているのか。『ニッキン投信情報』の独自調査から分析する。(ニッキンデータ商品開発部。金融ジャーナル2024年11月号掲載)



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「ニッキン投信情報」では372機関(地方銀行57、第二地方銀行35、信用金庫183、2024年6月末時点)を対象に15年間(2009~2024年)にわたり、『定時定額購入サービス(積立投信)』のアンケート調査を行っている。

そこで、各年6月の月間振替総金額を抽出したところ、2009年は地方銀行42億円、第二地方銀行11億円、信用金庫4億円だった。それが、2024年には地方銀行561億円、第二地方銀行135億円、信用金庫124億円へ増加している。機関数や回答数に違いはあるが、各業態で10倍以上の規模に拡大している。

その原動力となったのが、NISAだ。データを詳細に見ると、2009~2013年は数%の増減で推移するのみで、2013年の振替額の3業態合計は57億円と、2009年比で微減だった。

ところが、2014年1月にNISAが始まると状況が一変する。2014年6月には71億円(前年比24%増)、2015年は95億円(同33.8%増)に急増し、現在に至るまで3業態ともに右肩上がりを続けている。コロナ禍でマーケットが荒れた2020年も30%超の増加を見せている。

そして、2024年1月からは政府が家計の「貯蓄から投資へ」を後押しするために非課税措置を拡充した新NISAがスタートした。その影響は大きく、2024年6月には3業態で822億円、前年比42.3%増と過去15年間で最大の伸びとなった。

ちなみに、15年間で最も増加率が高かったのは信用金庫。この間に25.8倍の成長を記録した。2009~2013年は減少が続いていたが、2014年のNISA開始とともにプラスに転じ、2021年以降は地域銀行を超える増加率を示している。“長期・分散・積立”投資の裾野拡大へ信用金庫の貢献は大きい。

ある信用金庫役員は「キャンペーン金利の定期預金よりもお客さまにメリットを感じてもらえる」と個人顧客へ投資を促す。一方、別の信用金庫役員は「個人取引のメインバンクを維持するには、投資信託を含めた資産運用ニーズに応えられなければならない」と話す。

資産形成支援だけではなく、銀行や証券への預金流出の対抗策として力を入れるところもあるようだ。

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