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地域と中小企業を支える役割は不変!“店舗あってこそ”の大原則を守ろう【全国信用金庫協会・平松廣司会長に聞く】
少子高齢化による顧客基盤の縮小や相続、インターネット専業銀行の進出などに直面し、信用金庫・信用組合の経営は、今、預金の減少に見舞われつつあります。「金利ある世界」への移行で預金獲得競争も厳しさを増してきています。
そのなかで、信用金庫はどのように活路を切り開いていくのか。全国信用金庫協会の平松廣司会長(かながわ信用金庫会長)に聞きました。平松会長は銀行とは違う、独自の預金獲得戦略の重要性を指摘します。(金融ジャーナル編集部。2024年11月号「預金減少時代の経営戦略」掲載。肩書き・数字等は掲載時点)
<預金減少の要因>①高齢化の影響大きい。年金の“歩留まり”も低下している②大きな都市圏への集中加速で相続預金が流出している
——信用金庫業界の最近の預金減少をどのように捉えていますか。
信用金庫業界は、これまで長きにわたり、右肩上がりで預金の増加が順調に推移してきた。それが、2023年辺りから預金全体の伸び率が鈍化し、前年比でマイナスとなる信用金庫が出てきたのは確かだ。
そして、2024年5月末には信用金庫の預金残高が162.1兆円となり、前年同月比マイナス0.1%となった。信用金庫全体の預金残高が前年同月比で減少に転じたのは、ペイオフ部分解禁(2002年4月)という制度要因で減少して以来、約21年ぶりのことだ。
このようなトレンドの変化には大きな原因があるはずで、信用金庫業界並びに個別の信用金庫でも原因について分析、追究しているところだ。
——預金減少の大きな要因として考えられるのは何でしょうか。
一言で言えば人口減少ということになるが、とりわけ急激に進んでいる高齢化の要因がやはり大きい。信用金庫のお客さまには高齢者が多いが、一般的
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