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【日下CEOに聞く】JPKIの活用で金融DXの再構築が可能!「データの主権は個人に回帰する」とは。

携帯電話の契約時や医療機関の利用シーンなど、マイナンバーカード一本化の動きが本格化。海外でもデジタルアイデンティティーウォレットを利用した本人確認が進展するなか、本人確認の在り方とは。デジタルIDを活用した社会課題の解決を総合的に支援するGovtech(ガブテック)企業として全国1,741自治体にデジタルIDアプリや金融領域でのオンライン本人確認ソリューションなどを提供する、xIDの日下光代表取締役CEOに聞いた。(金融ジャーナル編集部。2024年9月号掲載分を一部再編集、数字、肩書き等は掲載時点)


重要なのはデジタルID社会の在るべき姿を描くこと

マイナンバーカードの一本化に向けて、理解すべきポイントは何でしょうか。

マイナンバーカードの一本化について是非を問う議論に集中しがちだが、大前提としてその先にあるデジタルIDが実装された社会の在るべき姿をしっかり描くことが大切だ。まず、本人確認の必要性については、携帯電話を取り巻く社会的要請から説明すると分かりやすい。総務省は2024年2月にICT(情報通信技術)サービスの利用環境の整備に関する研究会を初開催し、不適正利用対策に関するワーキンググループ(WG)が発足した。フィッシング詐欺や振り込め詐欺など、ICTを悪用した犯罪行為についてどう対応していくかという議論の中で、2024年6月の第6回WGでは携帯電話不正利用防止法(携帯法)に基づく本人確認方法の見直しの方向性についての案が示された。

一方、同月には政府による犯罪対策閣僚会議も開かれ、国民を詐欺から守るための総合対策の中の「『犯罪者のツールを奪う』ための対策」として、携帯電話などの契約時の本人確認についてマイナンバーカードなどを活用した電子的な確認方法へ原則一本化することがデジタル庁から発表された。そもそも携帯電話を巡る犯罪を防ぐための法律には、携帯法に加えて金融機関にとってはなじみ深い犯罪収益移転防止法(犯収法)がある。所管官庁は総務省と警察庁にまたがっている状況だ。加えて、昨今は携帯会社が銀行業に参入する動きが拡大し、通信業界と金融業界の垣根がなくなってきている。

こうした環境の変化を背景に、携帯法と犯収法については犯罪対策強化の観点からも改めて足並みを揃えることが求められている。同時に、両業界のサービスを利用する際に本人確認の重複を避けるなどのUX(顧客体験)向上を図る上でも、マイナンバーカード一本化の動きが本格化してきた。

WGの詳細について教えてください。

第6回WGで議題に上がった本人確認方法の見直し案の中で、「公的個人認証(JPKI)で本人確認を実施済みの事業者への依拠の導入」という方向性が示されたことは、今後重要になってくるだろう。これまでも、例えば新しいクレジットカードを契約する場合の本人確認は、口座振替の設定時に設定先の金融機関が既に保有する契約者の本人確認情報に依拠する形で行われてきた。

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