
外国人との共生社会を実現するためには、「安全・安心」を守りながら“受け入れる意識”を醸成していくことが大事!【出入国在留管理庁 福原申子さん解説】
少子高齢化の進展で、働き手としての外国人の存在が大きくなっています。社会の安全・安心を確保しながら、共生社会を実現することは可能なのでしょうか。在留外国人の現状や就労定着に向けた道筋、金融機関の役割について、出入国在留管理庁在留管理支援部の福原申子部長に聞きました。(金融ジャーナル編集部。2024年12月号第Ⅱ特集「外国人との共生」掲載。肩書き・数字等は掲載時点)
在留外国人の傾向
日本に暮らす外国人は2024年6月時点で359万人を超え、過去最高を更新している。2022年と2023年の2年間はいずれも年間30万人以上増加し、2024年も半年間で17万8,000人増えるなど、年間30万人以上の増加ペースが継続している。在留外国人を国籍別で見ると、10年前と比較してベトナム、ネパール、インドネシア、ミャンマーなどの増加が目立つ。コロナ禍前から増加傾向にあったが、コロナ禍後に加速した印象を受けている。
出入国管理及び難民認定法(入管法)が定める在留資格は現在29種類で、在留資格別に見ると「永住者」の比率が最も高いことは以技能33,203人1.6%技術45,039人2.2%人文知識・国際業務76,021人3.6%家族滞在123,441人5.9%日本人の配偶者等148,431人7.1%定住者159,596人7.6%前から変わらないが、日本でのOJTを目的とした「技能実習」、大学などを卒業して専門的な分野で働く「技術・人文知識・国際業務」、人手不足対策から2019年4月に新しく創設された「特定技能」の増加が目立つ(図表)。

ほかにも、「留学生」が増加傾向にあるほか、「技術・人文知識・国際業務」などの就労資格の外国人や高等教育を受ける留学生の配偶者や子どもといった「家族滞在」の数も非常に増えている。今回の統計では、家族滞在の比率が在日韓国・朝鮮人などの「特別永住者」の比率を初めて上回った。年齢別では20代から30代前半がボリュームゾーンで、日本で働き手として活躍する若い外国人が非常に多いことを示している。
日本の総人口に占める在留外国人の割合は、2023年時点で2.74%。OECD諸国の外国生まれ人口の平均である10%程度と比較すると低いように感じるが、日本でも自治体によっては20%を超えているところもある。将来にわたり働き手が不足する状況を考えると、地域経済や産業を支えるために外国人が不可欠という考え方は、今後ますます強まっていくだろう。
在留資格に関する最近の制度改正
「特定技能」の創設と、「育成就労」の創設を目的とした入管法の改正が挙げられる。特定技能の創設以前は、人手不足対策を目的とした在留資格はなかった。特定技能は、人手不足が深刻な産業分野に一定の技能レベルや日本語能力を有する外国人労働者を受け入れるための在留資格で、分野別に5年間の受け入れ見込み数を設定している。2024年3月の閣議決定では、特定技能の受け入れが12分野から16分野に拡大したほか、全体の受け入れ見込み数も34万5,000人から82万人に改められた。
ここから先は
¥ 400