戸籍収集事務を大幅に削減する! OCRで相関図を自動作成、不足戸籍を“見える化”。相続財産管理システム「AI相続ミツローくん」(EAJグループ、サムポローニア)
エスクロー・エージェント・ジャパン(EAJ)グループのサムポローニアでは、金融機関の相続事務を大幅に削減する新たなスキームの開発を進めている。特許技術を駆使し、戸籍謄本をAI-OCR機能で解析することで相続関係説明図、遺産分割協議書などの自動生成や法定相続人、法定相続分の自動判定が可能になる。
さらに戸籍関係書類の不足戸籍を“見える化”することに成功しており、戸籍収集確認事務の作業負担が大きく減る可能性がある。(金融ジャーナル編集部 2024年12月号掲載 AD)
相続業務の事務負担は大きい。ネックになるのが、戸籍情報の不足部分の把握。
日本は総人口1億2,435万人のうち、65歳以上が3,623万人で高齢化率は約30%に達している。地域金融機関では取引先の高齢化が顕著で相続業務の増加が目立っている。
ただ、相続業務は事務負担がとても大きい。相続人は、死亡した被相続人の戸籍謄本を収集した上で相続関係者などの全体像の把握、必要書類等をそろえて金融機関や司法書士らと連携し、法務局などへの手続きを経て法定相続人や法定相続割合などを確定していく必要がある。
専門知識が求められるほか、郵送手続きが多く、自治体ごとに書類請求のフォーマットも異なるなど、相続人と金融機関双方に大きな作業負担が生じている。
ネックになるのが「戸籍情報の不足部分の把握」。被相続人については、生まれてから死亡するまでの戸籍情報を収集する必要があるが、居住地の変更や複数の婚姻歴があると直近の戸籍謄本の情報だけでは足りず、不足戸籍が生じる可能性が高い。
その場合、従前戸籍から不足部分を“穴埋め”する作業が必要になる。不足戸籍の確定自体大変だが、それが出来ても「平成の大合併」で自治体の名称が変わり追跡が難しくなるケースも見られる。
相続業務を手掛ける金融機関では、これらの煩雑な手続きが大きなコスト負担になっている。地域金融機関では戸籍情報を読み解くリテラシーを持つOB、OGも活用しながら事務を処理している先も多い。高齢化が一段と進むなかでこれらは社会課題になっている。
2025年初にAI-OCR機能実装へ。戸籍謄本を読み込むだけで相関図や法定相続情報を自動作成。
サムポローニア(成宮正一郎代表取締役社長)では、金融機関と相続人双方の事務負担の削減へ新たなスキームの開発を進めている。司法書士向けに2016年から提供していた「相続財産管理システム」を、金融機関向けに機能を拡充したのが特徴だ。
相続財産管理システムは、戸籍情報を入力することで相続関係説明図の自動作成や死亡日に適用される民法に基づいた法定相続情報の自動判定などが可能になるが、今回はそこにAI-OCR(人工知能を活用した光学文字認識)機能を搭載する。
それにより、戸籍謄本を読み込むだけで本籍地や氏名、生年月日、死亡年月日を解析し、相関図や法定相続情報などが自動作成出来るようになる。取り込んだデータの活用や編集、Excel、Word出力も可能になる。
そして、ネックだった不足部分についても“見える化”する。被相続人の戸籍謄本から戸籍情報の“ガントチャート(プロジェクトの進捗管理などでよく使われる表)”を作成し、不足戸籍が一目で分かる仕様になっている。
さらに、不足戸籍の請求先も現在の自治体名が分かるように設計しており、そのまま請求書類やタックシールの作成、郵送情報の追跡まで出来るスキームにしている。
実装されると金融機関の相続業務の事務負担等は大幅に削減出来る可能性が高いほか、富裕層などへ相続情報の全体図などを生前に分かりやすく案内・説明することも容易になる。2025年初の実装に向けて現在は最終テスト段階にあるが、すでにメガバンクや保険会社から照会があるなど関心は高くなっている。
ちなみに、サムポローニアは戸籍謄本の情報を解析し、相関図などを自動生成する一連の技術で特許を取得している。相続財産管理システムと今回の機能拡充はシステム部の佐藤光朗マネージャーが開発を主導してきた。
佐藤氏は相続財産管理システムを「士業だけではなく、金融界でも幅広く利用して欲しい」との想いで大手電機メーカーからEAJに転籍。その経緯も踏まえ、新システムの名称は佐藤氏の名前、光朗(みつろう)から取った「AI相続ミツローくん」として展開していく。
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