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「お前なんかいらない」と言われ続けたデザイナーが、10年間営業さえせずに仕事を続けられた理由

はじめまして、高田昇浩(たかだのりひろ)です。
企業のブランディングを支援し、デザインでビジネスを前進させる【経営デザイナー®】として活動しています。

「消耗品としてのデザインではなく、経営資源としてのデザイン」
この信念のもと、ただの“見た目を整えるデザイナー(=作業者)”ではなく、クライアントの軍師・参謀として、ともに未来を創る仕事をしています。

ちょっとカッコ良く聞こえるかもしれませんが、ここに至るまでの道のりは決して順風満帆ではありませんでした。
むしろ誰よりも挫折し、何度も絶望し、それでも立ち上がってきた人生でした。

そんなぼくだから、がんばっている人の気持ちを分かち合い、誰かの支えになれるんじゃないか?と思っています。

はじめてのnoteの投稿なので、そんなぼくがどんな人物なのか?
ぜひ自己紹介のストーリーを読んでください。


完璧主義のオレ様、砕け散る

デザイン系の学校を卒業し、何度かの転職をして、
有名企業の広告を多数手掛ける広告代理店に務めた。

どこまでも完璧を求め、細部にまでこだわり抜く姿勢。
厳しく指導し、妥協を許さず、仕事に絶対に手を抜かない。
それがプロのクリエイターだと信じて、会社に身を捧げて来た。

30代にしてクリエイティブチームの事業部長に大抜擢され、
完璧主義の仕事ぶりから『Mr.パーフェクト』『Mr.ストイック』などと
社内であだ名されるようになった。
その頃は「オレがこの会社のエースだ」など慢心し有頂天だった。

そして独立を決意し、退職する日。
チームの女性スタッフ全員が、ぼくの送別会をボイコットした。

当てつけるように書かれた寄せ書き。
“独立しても自分に厳しくがんばってください♡”
“私たちはもっと仕事を楽しみまーすww”

言葉を失った。
「厳しく指導してくれて、ありがとうございます」と言っていたのに?
「ズバッと言ってくれて、勉強になります」と言っていたのに?

ぼくは、人を育てていたつもりだった。
でも、知らず知らずのうちに、人を追い詰めていたのかもしれない。
思い上がっていた。情けなかった。とんだピエロだ。

この日から、人と接することが怖くなった。
「人の笑顔を信じちゃいけない」
「裏で何を企んでいるかわからない」
こうして『オレ様・高田』は、『人間不信・高田』になった。

独立起業、さらなる地獄のはじまり

2008年9月、広告代理店を退職し独立。

「独立したら、こんなことも一緒にやりたいですね」
「こんな仕事をお願いするから、よろしくね!」
仕事でお世話になっていた方たちからも
前向きな言葉をもらうことができた。

実に順調な滑り出し。・・・のはずだった。
しかし独立から、わずか2週間足らず、事態は急変した。
2008年9月15日リーマン・ショック。

お客さんからは「またタイミングを見て・・・」と言われ
約束をしていた仕事は、なにひとつ実現しなかった。
所詮は口約束。収入ゼロからのスタート。

そんな状態でも、仕事がなければ売上げが立たない。
見様見真似で、未経験の飛び込み営業もやってみた。

結果は「ホームページ?間に合ってます」
「会社パンフレット?結構です」と門前払い。

まるで「お前なんかいらない」と言われているように聞こえていた。
『自分はなんでもできる』と思っていた状態から、否定され続ける毎日。
完全に自信をなくし、自分を見失っていた。

それでも、ぼくはデザイン力だけが頼りだった。
デザイン力があるのに稼げない原因は、スキル不足だと思い込み・・・
マーケティング、コーチング、心理学、セールス、スピーチなど
多数の講座やを受講した。

気づけば、自己投資と称して500万円以上を費やしていた。
でも、人生に大きな変化はなかった。
みるみる貯金通帳の残高も減っていく。
毎日98円のキャベツとケチャップパスタの節約生活。

稼いで、食わなければいけない。生きていかなければならない。
だが人に会おうとすると、あの送別会のシーンがフラッシュバックして、
人と会うことを想像すると嘔吐してしまう。

「人間が、怖え・・・」
夜、町が寝静まるとこの世からひとが消えたようで安心した。
自分が惨めで情けなくて、朝が来るのに怯えて毎晩泣いていた。

少年時代のヒーローに憧れて

ゲロを吐きながら営業活動をし、交流会などにも顔を出した。
さまざまな経営者のコミュニティにも入会した。
でもやっぱり「人間が、怖え・・・」。

ひとを目の前にすると、緊張でまともに話せない。
営業活動もむなしく、収入は会社員時代の半分以下。

でも、再就職やバイトという選択はなかった。 
代理店の下請けなんて考えていなかった。
何がなんでも自力集客。
自分の力で顧客を獲得することにこだわった。

啖呵を切って辞めたのに、あきらめたらカッコ悪いじゃないか。
その思いで踏みとどまった。
もはや、ボロボロだったくせにカッコつけた。

カッコいいか、カッコ悪いか。
ひと様から見たら、くだらないプライドかも知れない。
ただのエゴかも知れない。

でも、これがその頃の自分にとって明確な判断基準だった。
この思いがどこから来ているのか。
振り返れば、子どものころに憧れたヒーローだった。

小学生のころ作文に書いた将来の夢。
『ヒーローになって人々の平和を守る』

クラスメイトは『野球選手』『パイロット』『警察官』と、
妄想だとしてもまだ現実的な夢を語る中、
ぼくだけが本気でヒーローになりたいという想いを書いてた。

あの頃大好きだった主題歌に、
何十年も経ったいまも勇気をもらっている。

“心に愛がなければ スーパーヒーローじゃないのさ”
“倒れるたび傷つくたびオレを強くする ・・・さあお遊びはここまでだ!”

ドジでお調子者で臆病者だけど
仲間とともに強敵に立ち向かい、傷ついても勝負を諦めない
ラスト5秒で奇跡を起こす、炎の逆転ファイター。

そんな「カッコわるく戦い続ける、カッコいい超人(=ヒーロー)」に憧れ
やがてそれが自分の価値観になっていった。

そのとき奇跡が起きた  ─経営デザイナー誕生

そんなある日、1件のアポイントが取れた。
「ホームページの反響が悪いので、相談に乗ってほしい」というもの。

独立して仕事は無かったが、時間だけはあったので、
自分のホームページはしっかりと作り込んでいた。

社長は、ぼくのホームページを見て、
想いや仕事への熱意に共感してくれたのだ。

社長とお会いし、全力でプレゼンをした。
もうすで受注確定したかのような、密度の濃い提案だった。
本来コストが掛かることも、すべて自腹で先に準備した。

やっと自分を必要としてくれているひとに出会えた。
自分を頼ってくれた人に尽くすと決めたぼくは、
もう人間怖いなんて言っている余裕はなかった。

広告代理店時代のスマートさなんて、どこにもなかった。
とにかく「目の前で困っている社長を救いたい。」その一心だった。

一心不乱のプレゼン。 無我夢中のアドバイス。
最後にその社長がぼくに言った言葉は・・・

「何社も営業に来たが、こんなに熱心に我が社の未来を考えてく
れた会社はいなかった。」
「ぜひ我が社のデザインの全体をまかせたい。頼んだよ。」

その会社のウェブサイト、営業ツール、販促ツール、名刺、看板にいたるまで、すべてのデザインを任せていただいた。

それだけでなく、会社のブランディング、デザイン戦略、にたいしてコンサルティングに入ることになった。

【経営デザイナー®高田昇浩】の誕生だった。

それ以来、「売上に直結するデザイン」を武器に、
クライアントの軍師・参謀として伴走する仕事を続けている。

一社あたりのお付き合いは5〜10年以上の関係が続き、
新規営業をすることもなく、お客様が途切れず仕事を続けてこれた。

誰かの「頼れるヒーロー」であるために

自信を失いかけ、怯え続けてきたけど、また立ち上がらなけば、
誰かの役に立つなんてできない。
逃げ出さなくて良かった!と思った。

かつてのような自信たっぷりの「オレ様キャラ」では無くなったけれど
相変わらず「人びとを支えるヒーロー」になるための準備はしてきた。
あとは全力を尽くして、お客さまに貢献するだけだ。

ヒーローとは、カッコよくて強い人間のことじゃない。
困っている人に優しく手を差し伸べ、
夢を叶える手助けができる存在のこと。

「高田さんがそばにいるから、我が社は大丈夫だ。」
「ゼクスデザインさんがいてくれてよかった。」
そう言われることが、ぼくの最大の喜びだ。

一方ぼくは、まだ完璧主義のままだ。

「神は細部に宿る」
そう言われるように、ぼくは仕事の細部に徹底的にこだわる。
線一本、文字の大きさひとつで、ブランドの印象は変わる。

「誰でもできることを、誰にもできないレベルでやる」
完璧主義は、もう呪縛ではない。ぼくの信念だ。
お客さまを成功させるための、ぼくの武器だ。

株式会社ゼクスは、デザインを起点として経営者に寄り添うブランディングコンサルティング&事業です。
理念は「デザインで、ビジネスを前進させる」です。

ぼくが実現したい理想の会社

デザインとブランディングで経営者のサポートをする中、
同時にデザイナーやクリエイターの社会的価値の向上にも力を入れている。

デザイナーが単なる“作業者”ではなく、ビジネスを前進させる戦略パートナーとして認められる世界をつくりたい。

そのために、経営デザインの普及、セミナー、教育活動を通じて、次世代のクリエイターがもっと自由に、誇りを持って働ける環境をつくっていく。

ぼくを必要としているひとがいる限り、必ずそのひとの力になる。
それを可能にするだけの実力を身につけるために日々努力し、研究する。
あきらめずにがんばりたい。
あなたにとっての頼れるヒーローでありたい。

おわりに

ここまで長い長いぼくの物語にお付き合いいただき、どうもありがとうございます。

これからデザイナーとして独立を目指される方、すでにデザイナーとして活動をしているけど、将来に不安を感じている方の参考になればと思い書き綴りました。

フリーランスデザイナーの最大の魅力は、「お金」「時間」「人間関係」を自由に選択できることだと考えています。
でも自由には責任がセットです。「好きなことで食っていく」という理想だけで独立するのは危険ですが、でもこんな働き方もあるということお伝えしたかったので書き綴りました。

記事の内容に質問やもっと知りたいことがあれば気軽にご質問ください。
最後まで読んでいただきまして、本当にありがとうございました!

▼経営デザイナー®高田昇浩のメルマガ
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