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【実例で解説】ARコンテンツの品質を高める絵コンテ活用法(前編)

デザイニウムでは、プロトタイプ開発に着手する前段階として、アイデアの可視化や体験フローの確認に絵コンテを活用しています。

これによってARコンテンツの具体的なイメージを可視化し、プロジェクト関係者全員が同じイメージを共有できます。開発段階での認識のズレを防ぐことで、効率的な進行が可能になります。また、絵コンテは修正が容易なため、柔軟にアイデアの調整ができます。

ここでは、ARコンテンツの開発において絵コンテが果たす重要な役割について解説し、実際にこれまでデザイニウムが作成した絵コンテの一部を紹介します。


絵コンテ活用のメリット

【体験設計のイメージ共有】

  • 認識のズレを防ぐ
     開発チーム全員が具体的なビジュアルを共有することで、AR体験の全体像を把握しやすくなり、完成イメージへの理解を深めることができます。VPS(Visual Positioning System)など位置情報を使ったコンテンツ配置や、使用シーンを絵コンテで示すことで、認識のズレを防げます。

  • 体験設計の品質向上
     絵コンテを使って、ユーザー視点から体験の流れを可視化することで、ユーザーが実際にどのようにARコンテンツを体験するかを具体的に検討できます。コンテンツ配置やインタラクションのシナリオを絵コンテで確認し、没入感や魅力を引き出す演出を実現しやすくなります。

  • 承認プロセスの短縮
     絵コンテを使って完成イメージを視覚的に提示することで、説明や確認の時間を短縮できます。また、フィードバックや効果音のタイミングなども事前に視覚化して確認できるため、修正指示の手間が減り、意思決定がスムーズに進みます。

【開発の効率化】

  • 効率的な連携
     絵コンテを活用し、アニメーションの定義やシナリオを事前に示すことで、デザイナー、エンジニア、プランナーなど開発チーム全員が同じビジュアルイメージを共有できます。これにより、メンバー間での認識のズレが減り、作業が効率的に進むようになります。

  • アニメーションやエフェクトの最適化
     絵コンテでアニメーションの動きやエフェクトの発生位置、ユーザーの動作に応じたフィードバックなどを視覚的に示し、体験の質を高めます。これにより、ユーザーにとって違和感のない動きや演出を提供し、満足度の高いコンテンツを実現できます。

  • 仕様変更への柔軟な対応
     絵コンテを使用することで、プロトタイプ開発前にアイデアを具体化し、設計段階で細かな調整が行えます。絵コンテでアニメーションやエフェクトの動きを確認できるため、実装後の仕様変更を減らせます。


ARコンテンツの絵コンテの実例

ARコンテンツ開発に役立つビジュアルとインタラクションの設計のため、事前に作成した絵コンテの具体例を7つご紹介します。これからARコンテンツ開発を進める方の参考になればと思います。

1. マルチプレイARコンテンツ
マルチプレイが可能なARコンテンツでは、複数のユーザーが一緒に楽しめるように、各ユーザーの動きやインタラクションを予測した絵コンテを作成しました。ユーザーが特定のエリアに近づくと発生するエフェクトや、リアルタイムで同期されるアクションを視覚的に表現しています。

現実世界とデジタル世界をシームレスに繋ぎこむ演出が大切

2. ビルを活用したARゲーム
ビルの壁面や窓をゲームの舞台として活用するARコンテンツの絵コンテ。ユーザーがスマホをかざすと、ビルにCGエフェクトやキャラクターが現れる仕組みです。どの位置でどのような演出が見えるかを絵コンテで定義することで、開発段階での実装がスムーズに進みます。

ビルの壁面を利用したARコンテンツの想定
様々なボードゲームを検討しました


3. 街を使ったARシステム
街全体をフィールドとするARシステムでは、特定のエリアに到達することでミニゲームが起動するなどの仕掛けを設けています。ユーザーが街を探索しながら楽しむため、導線やエフェクトの位置、演出のタイミングを絵コンテで可視化。ユーザー視点で、全体の流れを確認しました。

ユーザー視点でARコンテンツがどのように見えるかを絵コンテに


4. 特定のロケーションでのARコンテンツ
特定の観光スポットやランドマーク、テーマパークなどでのARコンテンツも多く手がけています。絵コンテを作ることによって、コンテンツの表示ポイントや、ユーザーがスマホをかざす方向、見え方のイメージを詳細に設定することで、現地で没入感ある体験を提供することができます。

看板からキャラクターが飛び出る想定


6. 博物館でのAR体験
博物館内の展示物に対して、ARで追加情報を提供するシステムも開発しています。例えば展示物の各部にタグを付け、そのタグをスマホでスキャンすると、歴史的な解説や3Dモデルが浮かび上がるといった仕組みです。展示物の詳細やタグの位置、AR表示の流れを示します。

キャラクターによる案内のイメージ
デジタルと融合させることでより展示をわかりやすく演出
ARによるゲームコンテンツなども実装できます


7. 展示会での顔ハメAR体験
展示会やイベントで人気の顔ハメAR体験では、ユーザーがスマホで自分の顔を撮影し、特定のキャラクターや背景に組み合わせられるようにしました。絵コンテでフローや撮影ポイントを具体的に設定し、ユーザーがスムーズに楽しめるよう工夫しました。


絵コンテ〜ビデオコンテ制作の流れ

企画を絵コンテに落とし込んだ後、実際に動くデモとしてプロトタイプを開発する前に、ビデオコンテ(Vコン、Vコンテ)を作成することもあります。

  • ユーザー利用シーンのディスカッション
    ARコンテンツの利用シーンを具体的にイメージし、開発チームでディスカッションを行い、現実的かつ効果的なアイデアを引き出します。

  • キーメッセージの整理
    伝えたい情報を明確にし、キーメッセージや訴求ポイントを整理。体験の核心が明確になります。

  • 情報を届けるシーンの検討
    整理した情報をどの場面で伝えるかを考え、ユーザーが自然に情報を受け取れる配置を工夫します。

  • 「直感性」と「驚き」の演出
    直感的でわかりやすいシーンに驚きや楽しさを加え、飽きない体験を設計します。

  • 「能動」と「受動」のバランス
    情報量が少ない「能動的なシーン」と、動画などで見て理解できる「受動的なシーン」に分け、体験にメリハリをつけます。

  • 絵コンテとVコンテの制作
    動きやエフェクトをVコンテで具体化。実際のコンテンツに近い形で、体験の流れを確認します。

  • 開発
    Vコンテを基にプロトタイプの開発を進め、スムーズな工程でコンテンツ制作を進めます。

まとめ

ARコンテンツの企画における、絵コンテ・Vコンテの活用法をまとめました。魅力的なAR体験を提供するには、各ステップでしっかりと構成を練り、ビジュアルに落とし込むことが大切です。ぜひこのプロセスを参考にして、効果的なAR体験を企画に取り入れてみてください。

後編記事


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