「エンジニアはコーチングを学ぶべき?」ソフトウェアエンジニア・VPoEに聞いてみた
「コーチングの学びは、仕事にどう活きる?」
「プロコーチを目指していない人が、コーチングを学ぶ意味はある?」
このような疑問にお答えするため、コーチングを学んだ後コーチ以外の職種で活躍される方をお呼びし、ざっくばらんにお話いただく本企画。
4回目となる今回は「エンジニア編」。
・株式会社WE UP CTOの門脇 恒平さん
・株式会社ログラス VPoEの伊藤 博志さん
・株式会社グロービス VPoEの末永 昌也さん
エンジニアと組織開発の経験が豊富な3人をお呼びし「エンジニアがコーチングを学ぶ意義」を伺いました。コーチングを受けようか迷っているエンジニアの方はぜひお読みください。
会社の規模が大きくなる時、コーチングを学びたいと思った
——皆さんは、多くのエンジニアをマネジメントする立場として活躍されています。まずは、コーチングを学ぼうと思ったきっかけを教えてください。
伊藤さん:以前所属していた会社に、1on1を通じて自分の想いをすごく上手に引き出してくれるマネージャーがいたんです。あとから聞いてみると、その人はコーチングのスキルを使って私の話を聞いてくれていたようで、ずっとコーチングを学んでみたいなあと思っていました。
それから随分と時間が経ってしまったのですが、エンジニアの採用担当になり組織づくりに関わるようになったタイミングで、THE COACH ICPの存在を知り、学ぶなら今かなと。そこからとんとん拍子で、インテグレーション・コース(旧 プロコース)まで修了しています。
門脇さん:前職ではだんだんと会社の規模が大きくなり、プロダクト開発ための組織づくりを担うVPoE(Vice President of Engineering)という役職に就きました。
30歳を超えたあたりから、人や組織のマネージメントをを任される機会が増えていたけれど、正直苦手意識があったんです。何か1つコミュニケーション手法を体系的に学べば自信につながるのではないかと思い、THE COACH ICPの受講を決めました。
末永さん:僕も組織の規模が大きくなるタイミングで、自分のマネジメントスキルに課題を感じるようになり、1つの突破口としてコーチングを学ぶことに決めました。現在は、グロービスという会社で100人近くのエンジニアをマネジメントする仕事をしています。
「課題解決脳」を手放すことで、マネジメントに自信が持てるようになった
——THE COACH ICPを受講してみて、どんな発見や学びがありましたか?
末永さん:僕自身も含めてですが、エンジニアは基本的に「課題解決脳」なんです。常に、目の前の問題をどう解決するかに意識を向けて仕事をしていると思います。
一方、コーチングは課題を解決しようとする必要はなく、自分やその人の可能性を信じるだけでいいという考え方ですよね。基礎コースで「コーチングマインド」について教えてもらったときは、自分には全くない発想だったので本当に目から鱗が落ちました。「課題解決しなきゃ」という気持ちを手放していいんだ、と。
チームメンバーの中には、コミュニケーションに苦手意識を持っている人もいます。特にエンジニアは、自分のアイデアや感じていることを内に秘めたまま発信しない人も多いんです。
でも、話を聞く側が「課題解決しなきゃ」と思わずに、ちゃんと待ってあげることさえできれば、みんな何かしら言葉にしてくれるんですよね。そう思えるようになってからは、自分のマネジメントの在り方に少し自信が持てるようになったなと感じています。
門脇さん:受講中の練習セッションの中では、いろんな悩み事をテーマとして扱いますよね。中には、その職種の人しかわからないような専門的な悩みもあったりするわけですが、自分がその領域のことを全然知らなくてもコーチングが機能することにとても驚きました。
コーチが何かを教える必要はなく、クライアントが自ら気づいていく。その前提に立つと、コーチが必ずしも専門的な知識を持っている必要はないんだなと。
たとえば、組織が大きくなってくると、自分とは全然違う働き方をしている人も増えてきますよね。コーチングを学ぶ前は「相手の職域は自分の専門ではないから、自分にできることはない」と思い込んでいたんです。でも、コーチングを学んでからは「専門的なことはわからなくても、できることはあるんだ」と自信が持てるようになりました。コミュニケーションをあきらめず、一歩踏み出す勇気を得られたと思います。
エンジニアに必要な、対話をし共につくる力
——末永さんと門脇さんはコーチングの学びをいかすことで、自信を持ってメンバーと向き合うことができるようになったんですね。伊藤さんはいかがですか?
伊藤さん:エンジニアは1人で黙々とコードを書いているイメージを持つ人も多いと思いますが、チームで動くことも結構多いんです。
スクラムという、ペアやチーム全体でプログラミングをする開発手法があって、いかに「いい対話ができるか」が重要です。それぞれに価値観や仕事の進め方の好き嫌いがあるなかで、ジャッジメンタルにならずにまずは意見や感情を場に出し合うこと。その上でメリット・デメリットをフラットに議論する必要があります。
いい対話やコミュニケーションのあり方を学んだ経験がないエンジニアがほとんどの中で、コーチングを知っておくことはとても強みになるんじゃないかなと思いますね。
末永さん:最近はシステムコーチングなどコーチングの学びを1対1ではなく、チームや組織全体に活かす手法も学んでみたいなと思っています。伊藤さんが言うように、僕らも大規模スクラムといって組織全体での開発を進めているんです。
伊藤さん:私の会社では、システムコーチングを学んだメンバーがファシリテーターとなり、DTA(Designing Team Alliance: 意図的な協働関係の構築)と呼ばれるワークショップを実践しています。例えば新しいメンバーが入ってきたときなどに、「どんなチーム(関係性)でありたいか」話し合い、最後には指針をまとめるというものです。そこで炙り出された指針をチームで定期的に振り返るようにしています。
▼株式会社ログラスのシステムコーチング実践について
門脇さん:いいですね。特にスタートアップ組織は、世の中の環境やつくらなきゃいけないものがどんどん変わっていきますから、チームでサッカーの試合をしているような感覚ですよね。一人ひとりのプレイヤーの成長と、チームとしての成長、どちらの視点も重要だと僕も感じています。
「話したいことがない」と言われた1on1ほど、関係性が深まるチャンス
——コーチングをどんな人に勧めたいですか?
伊藤さん:基礎コースから、応用AB、インテグレーション・コースへ進んでいくほどに、ここまで深く自分のことを知る機会は、これまでの人生になかったと感じています。
特に、今やっていることと、心からやりたいことになんとなくズレを感じている人にTHE COACH ICPをすすめたいです。人によって悩みはさまざまですが、日本のエンジニアたちが生き生きと活躍できるように、私も副業コーチとして何か役に立てたらいいなと思っています。
門脇さん:これまでは現状と自分のやりたいこととのギャップがあるときに、ただモヤモヤして終わってしまっていました。どうしたらいいのかわからなかったんですよね。でも今は、コーチに話を聞いてもらうこともそうですし、じっくり自己内省することで、モヤモヤと向き合うことができています。コーチングを知っているかどうかで、自身の悩みとの向き合い方も全然変わってくるんじゃないかなと。
末永さん:僕は「1on1がうまくいかないな」と思いはじめた人にすすめたいです。1on1あるあるかもしれませんが、「今日は特に話したいことはありません」と部下に言われることってあると思うんです。特にアジェンダがなければ「スキップでいいか」と思ってしまいがちですが、逆にそういう時のほうがいい対話が生まれる可能性が高いと思っていて。
「いまどんなこと感じているの?」と一言問いを投げるだけでも、その人の想いや願いが見えてくる。だから、自分の1on1が業務連絡や課題解決だけに終わってしまって、関係性が深まっていかないなあと感じているマネージャー層にぴったりだと思います。コーチングを学ぶことが、1on1に何か変化を生むきっかけになるのではないでしょうか。
(執筆:佐藤伶)
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