コーチングとは?コーチングの効果や活用例、学び方を紹介します
こんにちは、THE COACHです。THE COACH Journeyが本格始動してから約1年。ありがたいことに500名を超える方にフォローいただき、コーチングについて考える小さなきっかけを提供できているのではと感じています。
今回のnoteのテーマは「コーチングとは?」。これまでコーチングについてさまざまなテーマを取り上げてきたTHE COACHですが、ここで改めて、コーチングに興味がある、コーチングについて学んでみたいと考えている方に向けて、コーチングについての基本をお伝えします。
コーチングとは?
「コーチングとは?」その定義や考え方は人によってさまざまであり、実は世界共通の定義はありません。国際コーチング連盟日本支部(ICF)や日本コーチ連盟(ICF)においても、その定義の詳細な部分は異なっています。
では、THE COACHが考えるコーチングとは一体なんなのでしょうか?
私たちはコーチングを「気づきと行動が生まれるプロセス」であるとしています。
コーチとクライアント(コーチングを受ける人)は、コーチングセッション(両者が対話する時間・場)で、クライアントに気づきが生まれることを目的として対話を重ねていきます。
コーチングと似たアプローチとしてカウンセリングやティーチングなどが取り上げられることがありますが、THE COACHでは、コーチング・カウンセリング・セラピー・コンサルティング・ティーチングを、下記図表のように分類しています。
コンサルティングやティーチングは、クライアントが知らない分野に対して専門家がアドバイスを行います。
一方コーチングでは、コーチは特定の分野のスペシャリストである必要はありません。それは、クライアントが設定したテーマに対する答えは、クライアント自身が持っているからです。コーチは「相手の中にある答えを引き出す」役割で、何かをアドバイスしたり教えたりすることは多くはありません。
「相手の中にある答えを引き出す」という点に焦点を当てると、カウンセリングやセラピーのコミュニケーションスタイルは、コーチングと似ている部分があります。
しかし、コーチングがゼロの状態からプラスになることを目指すアプローチであるのに対し、カウンセリングやセラピーはマイナスな状態をゼロにするアプローチです。心身に不調がある場合は、専門機関の受診やカウンセリングの受診をおすすめしています。
コーチングによる3つのメリット
コーチングを受けたことがある2,628名(31ヶ国)に聞いた調査によると、クライアントの満足度は7段階評価で平均6.5点という結果が出ています。(参考:Accelerate your Coaching Effectiveness「コーチングを受けた2,628人の調査結果(2020)」)
また、コーチングを受けたことのある管理職200名に聞いた調査では、約9割の人が「とても役に立った」「役に立った」「どちらかといえば役に立った」と回答し、「役に立ったコーチングを受けたことがない」と回答した人は1割未満に留まりました。(参考:リクルートマネジメントソリューションズ組織行動研究所「コーチングに関する実態調査(2013)」)
なぜ、これだけ多くの人がコーチングの価値を感じているのでしょうか。
ここからは、THE COACHが考える「コーチングの価値」についてお伝えします。
【メリット①】新たな気づきを得ることができる
フラットな関係性のコーチと対話をすることで、新たな気づきを得られます。
たとえばキャリアをテーマにセッションをする場合、同じことをぐるぐると考えてしまっていたクライアントが、あるやり取りをきっかけに、別の視点から自分を見つめ直すことができるようになることがあります。
【メリット②】気づきが行動変容を生む
コーチングでは、次のセッションまでにどんな行動ができそうかをコーチと話し合い、「ネクストアクション」を決めることがあります(ただし、セッションによってはネクストアクションを決めることをゴールとしない場合もあります)。
たとえば、とあるクライアントは転職するかどうかで迷っていました。しかし、コーチングセッションを進めていくと、実は本当に求めているものは「自由な時間の確保」だということがわかりました。
そこから、時間の確保のためにどんなことができるのかをコーチと一緒に考えてみた結果、必ずしも転職する必要はなく、業務の進め方を改善し退社の時間を早められれば良い、という気づきにつながりました。
ひとりで悩んでいた場合、転職のために行動をしていたかもしれません。しかし「目的」だと思っていた転職が実は「手段」であったと、コーチングとの対話によって気づくことができるのです。
この場合、時間の確保のためにどんなことができるのか、自分の真の願いに向けた次の行動が見えてきたといえます。
【メリット③】普段の生活とは別に安全な場所ができる
コーチングセッションを継続されているクライアントの方で「コーチと話す時間が生活の中で欠かせなくなった」とお話しする方は多くいらっしゃいます。
セッションの場では、キャリアの話をテーマにされる方が多いのですが、実はコーチングでは、キャリアやビジネスに限らないあらゆるテーマを扱うことができます。
「これは会社の人に相談できない」「家族や友人に心配されるかもしれない」。個人的なことを気兼ねなく話せる場がないという方もいらっしゃるかと思います。コーチングを受け、自分の話を真剣に聞いてくれるコーチに出会うことで、徐々に信頼関係が育まれ、安心してデリケートな問題を話し合えるサードプレイスになるのです。
目標達成のためにコーチングを活用される方や、自分を見つめ直したい方、そして対話そのものを楽しんでいる方など、人によってコーチングとの付き合い方が異なるところも、コーチングの良い側面です。
コーチングの活用例
コーチングは人と人の関係性があるあらゆる場で活用することができます。ここからは、コーチングを活用できる場面の一例を紹介します。
マネジメント
コーチングを学びたいという方の中には、チームビルディングや部下の育成、1on1などに活かしたいと考えている方は多くいます。
「VUCAの時代」という言葉に代表されるように、物事やあり方の複雑性が高まった現代、「答えを与える」だけでは通用しない場面が多くなりました。メンバーが困っているときに「こうした方が良い」と答えを提供するのではなく、自分自身で答えを見つけてもらいたいと考える上司も増えてきたのです。
しかしコーチングは万能なコミュニケーションではなく、チームで円滑に仕事を行っていくためには、指示やティーチング(指導)なども欠かすことはできません。
基礎的な知識を提供したり、社内文化を浸透させたりする際はティーチングを織り交ぜる。相手の可能性を引き出したり、自発的な行動を促したりする場合はコーチングを活用する。そのように、目的によってさまざまなアプローチを用いるのが効果的です。
子育て
コーチングは世代を問わず、円滑な意思疎通をサポートしてくれます。
「同じことを何度も注意してしまう」「子どもが言うことを聞いてくれない」と、良き親であろうとするために、ついついしつけに力を入れてしまうことはあると思います。
親という役割を背負うことで、保護者と被保護者の関係性で子育てを考えてしまうかもしれません。しかしコーチングを活用したコミュニケーションをすると、他の捉え方が可能になるはずです。
良い親とはこうあるべきであり、良い子に育てるならこうすべきだ。そのような思い込みをいったん取り払い、相手の話を傾聴するところから、個人対個人の関係性を形成することができます。
子育てとコーチングについて知りたい方は、こちらの記事もぜひご覧ください。
スポーツ
昭和や平成初期のスポーツにおいては「コーチ=指導者」であり、コーチの言うことは絶対というのが主なスタイルでした。しかし最近は、選手に合わせた練習メニューや戦略を開発し、コミュニケーションを重視するコーチが増えています。
たとえば、大坂なおみ選手を世界ランキング1位に押し上げた、サーシャ・バインコーチは、「テニスは個人競技、自分で問題を解決する方法を教えてくれるから価値がある」というスタンスでコーチングを行っていました。(引用:「大坂なおみ元コーチ・バイン氏に聞く、「下から目線」を続けた理由」)
「選手が私のボスなんです。ただそれと同時に、平等な関係かつ同じ目線でありたい。彼女たちに命令するのは非常に失礼なことです。」(引用:同上)と話していることからも、選手主体のコミュニケーションをされていることが伺えます。
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これらはあくまで一例であり、コーチングは、日常生活・人間関係のさまざまな場面で活用できます。
コーチングに必要なスキルとスタンス
クライアントにとって「良い気づき」が得られる良質なコーチングセッションの場にするためには、コーチ自身のあり方やスキルも重要です。ここからは、普段のセッションでコーチがどのようなスキルを活用しているのかを紹介します。
傾聴スキル
コーチングセッションでは、クライアントが話している時間がほとんどであるため、コーチは聴く時間が圧倒的に多いのが特徴です。
単にクライアントが話している内容を聴くという意味もありますが、表情や声のトーンなど非言語的な面に注目することも大切です。
たとえば「大丈夫です」という言葉を聞いて、言葉通りに受け止めのではなく、声のトーンが大丈夫じゃなさそうだな?本当は何を抱えているのかな?と、相手の奥底にある真の願いに好奇心を向けることが重要です。
ほかにも、相槌を打って「きちんと聞いているよ」というサインを送ったり、自分の好奇心という非言語情報を添えて相手の発言をオウム返ししたり、ときには沈黙を恐れずに相手にたっぷりと時間をかけて考えてもらうことも、良質なセッションにするために有効です。
問いのスキル
コーチングでは「相手の中に答えがある」というスタンスで問いを投げかけていきます。
たとえば、
のように、「なんでもいい」や「わからない」と言う相手にも好奇心を向け、「本当はどうしたいのか」を引き出していきます。
ほかにも、
と、A=BをB=Aから観測できるような問いを投げかけることで、新たな気づきが生まれやすくなります。
承認するスタンス
THE COACHでは、「人は生まれつき必要なものをすべて満たしており、ありのまま直すところのない存在である」という考えのもと、相手の話を否定せずに承認することも大切にしています。
繰り返しになりますが、コーチングには「相手の中に答えがある」という前提が存在しています。そのため、コーチの価値観や世間が考える「普通」はセッションの場には不要であり、「正しい」「間違っている」とコーチが判断する必要性はありません。
コーチングの学び方
まずはコーチングを受けてみる
コーチングとは何か、まずは実際の雰囲気を知るために、コーチングを受けたことのない人はクライアントを経験してみるのがおすすめです。コーチングは身ひとつで体験が可能で、特別に何か準備をする必要はありません。
この人にコーチをしてほしい、とすでに考えている人がいるならその人を。コーチの選び方がわからないという方は、共に歩むコーチと出会えるコーチングサービス「THE COACH Meet」をおすすめします。
初めてコーチングを受ける方向けに、「コーチングの受け方」についての記事も公開しています。
本から学ぶ
「コーチング」という言葉の認知度が高まってきた近年、コーチングに関する書籍が数多く出版され、誰もが手軽にコーチングについての学びを得られるようになってきました。
コーチングを受ける前にコーチングについての基礎知識をつけたい、概要を学んでおきたいと考える人には、書籍を読んでみることをおすすめします。
THE COACH公式note「THE COACH Journey」では、コーチングを学習する上で講師陣が参考になったと考える本をレベル別に計30冊紹介しています。直接コーチングについて書かれた本ばかりではありませんが、学びを深める際の参考にしてみてください。
スクールで学ぶ
THE COACHでは、「コーチングはスポーツに似ている」と考えています。本で知識を得ることは可能ですが、それだけで良質なコーチングセッションを実現するのは難しいのが現実です。クライアントにより良い気づきを与えられるコーチングセッションの場を作るためには、コーチとして多くのセッションの場を経験する必要があり、その場としてスクールを利用するのが効果的です。
日本には数多くのコーチングスクールが存在しています。それぞれに特色や授業のスタイルなどがあるため、受講の際には、説明会や体験授業などを通して複数のスクールを比較・検討することをおすすめします。
THE COACHが運営するTHE COACH ICPはプロレベルを目指せるオンラインのコーチングスクールで、リアルタイムに講師とやり取りしながらコーチングを体系的に学ぶことができます。「わかる」でなく「できる」を目指し、受講者同士で数多くの練習をしながら体験学習をしていきます。
コーチングに必要な資格
コーチングの分野にも資格があります。医師や弁護士のような国家資格ではありませんが、国内外を問わず各種組織が認定する民間資格が提供されています。
資格の有無に関わらずコーチを名乗ることができますが、資格を取得することで、知識や経験を保持していることの証明となり、クライアントからの信頼度が増すことも期待できます。将来的に他のコーチとの差別化を図ることもできるでしょう。
THE COACH ICPでは、コーチング業界最大規模の非営利団体、国際コーチング連盟(ICF)から認定を受けたプログラムを提供するスクールです。
ICFが発行するコーチング資格のうち「ACC」と呼ばれる資格取得に必要な、60時間以上のコーチ専門プログラムの受講と証明書類の取得、10時間のメンター・コーチングの一部要件を満たしています。
また、THE COACH ICPが提供する4つのコース(基礎コース・応用Aコース・応用Bコース・プロコース)全てがCCE認定プログラムであり、ICF認定コーチが講師として在籍しています。
コーチングの資格について詳しく知りたい方は、こちらの記事もぜひご覧ください。
コーチングとは、スキルだけではなく「あり方」
THE COACHでは、コーチングとはスキルだけを指すのではなく、「あり方」であると捉えています。
コーチングを学ぶことの本質はテクニックを知ることではありません。人の話を本気で聴く・自分の話を本気で聴いてもらう体験をすることで、人との向き合い方に変化が生まれ、自分や他者に対しての「あり方」を見つめなおせるのが、コーチングの真の価値です。
コーチングを社会に広めていきたい、と考えている一方で「自分なんかがコーチになっていいのだろうか」という不安を聞くこともしばしばあります。
しかし、金メダリストのコーチは必ずしも金メダリストではないのと同じく、自分のことを棚に上げても問題ありません。コーチとしてのあり方と向き合い、育んでいくことで、次第に信頼されるコーチになっていくはずです。
ご興味のある方は、THE COACH ICPで会える日をお待ちしております。随時無料体験会を実施していますので、下記URLよりお申し込みください。
また、THE COACH ICPでコーチングを学んだ人の声もTHE COACH Journeyで紹介しています。こちらも合わせて参考にしてみてください。