モンテッソーリ教育とコーチングの視点から考える、“自ら育つ力”を信じる子育て【後編〜お悩み回答編〜】
本当はこんなふうに子どもと関わりたいのに。
本当はこんなお母さん、こんなお父さんでありたいのに...。
今回は、そんな葛藤を抱えるお母さん、お父さんのお悩みが少しでも軽くなりますように!と願いを込めて、モンテッソーリ教師のあきえ先生と子育て奮闘中のTHE COACH代表・松浦瞳が対談を実施。
子どもの心に好奇心を向ける「傾聴」のあり方や、「モンテッソーリ教育」と「コーチング」の共通項について話した前編記事につづき、後編では事前に募集した「子育てに関するお悩み」に答えました。
〈登壇者プロフィール〉
お悩み①コーチングを子育てに活かしたい!なのに、よく怒ってしまう...
——ここからは、事前に読者の方からいただいたお悩みについて、「モンテッソーリ教育」と「コーチング」観点からお答えしていただきたいと思います。
1つ目は、「子育てや教育にコーチングを活かしたい!でも、ついカーッとなって怒ってしまったりする」というお悩みです。
松浦:本当はこうしたいけどできていないという理想と現実のギャップで葛藤されていらっしゃるんだなと感じました。コーチングを活かすとしたら、子どもに対してだけではなくて、まずは自分自身に対して活かしてみるのはどうでしょう?
「疲れてる」「イライラする」という一見ネガティブに思える感情も、大切な自分自身の声だと思います。自分は何を願っているのかな、どうしたいのかなと、自分の心に問いかけてみてください。「自分の欲を満たしてあげていいんだよ」と、この方に伝えたくなりました。
あきえ先生:愛するエネルギーというのは“シャンパンタワー”のようなものなんです。自分自身に愛情をなみなみ注いで、溢れたぶんを子どもや家族に与えることができるのだと思います。ぜひ、週末の予定をブロックして、リフレッシュするところから始めてみてはいかがでしょうか。
お悩み②つい先回りして、子どもの手助けをしてしまう
——2つ目は、「つい先回りして助けてあげたくなってしまうときに、どのように対応したら良いのか」という相談です。
あきえ先生:子どもの年齢にもよりますが、0才から6才くらいまでの子どもというのは、親にやってほしいのではなくて、「自分でできるように手伝ってほしい」という願いがあります。それを親が先回りして全部やってしまうと、子どもが自ら育つ機会を奪ってしまうことになるんです。
何か先回りしそうになったとき、腕を後ろに組んだり、その場から立ち去るようにしています。自分との戦いですよね(笑)育成ゲームをやっているようなつもりで、「よし、今日は待てた!3ポイントゲット!」と、できた時は自分を褒めてあげましょう。できなかったことよりも、ぜひできたことに目を向けてもらいたいです。
松浦:子どもに限らず、クライアントに対しても起こりやすいことなのですが、自分の経験を子どもに投影してしまうことはよくあるのかなと思っています。
例えば、自分が昔、受験で失敗してしまって後悔が残っていたとしましょう。すると、「子どもには同じ後悔をしてほしくないから」という理由で、勉強させるためにいろいろ先回りしすぎてしまうというのは、あるあるではないでしょうか。
先回りし過ぎてしまう背景には、自分のどんな経験やどんな想いが隠れているのか、ぜひ自分自身に目を向ける機会として捉えてみてほしいです。
お悩み③何をするにも大雑把になってきて衛生面が心配
——3つ目は、何をするにも大雑把になってきた5歳の娘さんに関するお悩みです。
あきえ先生:もしかしたらイヤイヤ期に差し掛かっているのかもしれませんね。発達段階では必ず起こることですし、しっかりとお子さんを見ようとしているからこそ起きていることだと思います。まずは情けないなんて、自分を責めないでくださいね。
モンテッソーリ教育では、子どもが育つ大切な要素として「子ども」「大人」「環境」の3つをあげています。「子ども」「大人」の関わり方だけで解決しないときは、ぜひ「環境」に目を向けてみてください。
例えば、手を洗うのがイヤという場合、もしかしたら使っている石鹸の泡の感触が嫌いだったり、タオルの位置が遠くて洗ったあとに拭くのがめんどくさいから洗わないといった場合もあるかもしれません。
本人に聞くのもいいと思いますし、答えてくれないようであれば、石鹸の種類やタオルの位置を変えて観察するというのも1つの手です。子どもの行いを直そうとするのではなく、「あなたの自立のために私ができることは何ですか?」と問いかける気持ちで、環境も含めてガイドしてあげると良いかと思います。
お悩み④自分の子どもになると、あれこれ指示してしまう
——最後に、「チャイルドコーチングの資格をもっていても、自分の子どもとなるとあれこれ指示してしまう」というお悩みです。
あきえ先生:例えば、お仕事の場面で期限が迫っているのに、部下がなかなか動いてくれなかったとしますよね。そういうとき、部下に対して「〇〇しなさい!」と指示する人は少ないと思います。「期限が迫ってるから急いでくれない?」とお願いする人の方が多いのではないでしょうか。
子育ても同じで、何か指示をしそうになったときは「お願い」や「提案」に変えてみてください。帰る時間が近づいているのに片付けをしてくれないときは、「もうそろそろ帰りの時間だね。片付けお願いできるかな?」とお願いをしたり、それでも動いてくれないときは「こっちのおもちゃか、あっちのおもちゃ、どっちから棚に戻したい?」と2択の選択肢を提案して、自分で選ばせるのもいいと思います。
松浦:コーチングでも何かクライアントに自分のアイデアを伝えたくなったときには、「提案してもいいですか?」と許可をとってからお伝えするようにしています。
会社のマネジメントでも、指示やアドバイスは短期的には効果が出やすいかもしれませんが、中長期的に考えたとき、部下が自ら成長する機会を奪ってしまっているとも言えます。短期的なメリットではなく、長期的に相手を見守る姿勢が大切なんだと、改めて感じましたね。
——今回、参加者の皆さんから本当にたくさんのお悩みが届きました。すべてのお悩みにはお答えできませんでしたが、少しでも皆さんの子育てのヒントになれば幸いです。本日はありがとうございました!
(執筆:佐藤伶)
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