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街を照らす仕事

僕は夜働く。
何時頃って?
そーだなー…暗くなったらかな?
何時までかって?
んー。明るくなるまでだね。
だから夜はデートに誘わないでね。
え?それでも一緒にいたい?
困ったなぁ…
あ、そーだ。
それなら僕の仕事場に来たらいい。
寒いから暖かい格好でおいで?
場所?
近くにコンビニが見えるなぁ。
それに信号があるかな?
交差点から少し離れたところ。
まぁ近くに来てくれたら合図するよ。
え?探せるのかって?
心配ないよ。
僕は高いところにいるから。
どんな仕事かって?
君は質問が多いなぁ。
僕の仕事は照らす事さ。
仕事に行く人に
「行ってらっしゃい」
仕事から帰る人に
「おつかれさま」
散歩する人に
「お気を付けて」
通りゆくカップルに
「お幸せに」
そうやって
いろんな人たちを照らしてる。
でもね
誰も通らない日もあるんだ。
スゴく寂しくて不安になる。
隣街の仕事場なんて、
必要なくなるからって
全部撤去されてたり。
僕もいつかそうなるのかも。
え?君がそばにいてくれるって?
それは嬉しいなぁ…
でも僕の寿命は短いよ?
最近よく点滅するんだ…
でも、照らせる限り続けるつもり。
僕を必要としてくれる人がいるから。


(3年後)
a「ここの街灯切れとるぞー?」
電信柱の上から声がする。
b「そこは変えないんだとさー!」
その下から上に叫んでいる。
b「地元の人たちが変えるなってさ」
c「この街灯に感謝してましたね」
b「3年前に隣に一つ増えてたな」
c「えらくボロいですね」
a「長いこと働いとったでな」
b「まるで代わりに来たみたいだな」
a「去年で交換のはずやけどな」
c「え、先月まで光ってましたよ」
a.(b)「これは愛や(だ)な」
c「え、街灯が?笑」


僕は街灯。
夜働く。
みんなに愛された。
みんなが使ってくれてよかった。
君が来てくれたから少し頑張れた。
僕は先に眠るけど
君がいるからこの街は大丈夫。
君は明るいから。
また起きる日がきたら
その時はよろしくね。

<街を照らす仕事>

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