あれからアビスではこんな事が起きていました。 後編 9月〜12月
記事をご覧いただきありがとうございます!
前回に引き続き、
活動開始からこれまでに起きたことを
紹介させていただきます。
今回は9月〜12月です。
(5月〜9月編もありますのでまだお読みでないの方は
そちらからどうぞ)
では、早速いってみましょう!
①「one off」と「spin off」
前回は活動開始〜県大会までの
出来事を紹介しました。
9月も終わりが近づいてきたこの時期には
ようやく団体としての基盤が固まり始め、
アビスに対する愛着が
みんなの中に湧いてきた頃でした。
県大会も無事終わり
次は九州大会に向けて、という所ですが、
これから同時並行で練習する事になる
メインショーの音源をキャストのみんなに聴いてもらう日が来ました。
「サブショーとかメインショーとかややこしい!」
と感じる方もいると思うのでここで改めて説明すると、
アビスでは今シーズン2つのショーに取り組んでいます。
1つ目が、サブショーの「spin off」
主に6月〜11月ごろに取り組んでいて
大会に出て披露するために自分たちで作ったショーです。
もう1つは メインショーの「one off」
10月から取り組み始め
今年の活動をそのまま表現するために作られて
シーズン終盤にお披露目する今シーズンメインの演目です。
メインショーである「one off」は
僕がこれまで本当にお世話になってきた
‘ナカベ タカユキ’さんに書き下ろして頂いた作品です。
それまでにショーについての
打ち合わせをさせては貰ってはいましたが、
僕がお願いしたのは
「活動がそのままショーになるモノにして欲しい」
ほぼこの一点のみで、
あとはその時僕が考えている事、
感じていた事、
その時のアビスの状況などをお話ししただけだったので
どういう曲になっているのかは
聴く瞬間まで見当もつきませんでした。
ある日、音源ができたとのご連絡をいただき
僕はキャストのみんなより一足先に音源を聴かせてもらっていました。
自宅のパソコンの前に正座して
期待と想像を膨らませて
ドキドキしながらファイルを開き再生ボタンを押しました。
再生から5秒後、
頭が真っ白になりました。
この時、
ファーストインプレッションを書き留めて置こうと
パソコンのキーボードに手を置いていたのですが、
身動きが取れないまま約5分の音源は流れ終えて
ただただ涙が溢れてきました。
その後しばらく放心状態でしたが、
この感覚を忘れてなるものかと
キーボードを叩きました。
一部抜粋すると
・アビスを立ち上げるもっと前からあった想いみたいな物がフラッシュバックしてきた。
・苦しい状況が続いている僕に「大丈夫だよ」といってもらえたような気がして、鳥肌が止まらなくなって気付いたら涙が出ていた。
・まだうまくいく事なんてほとんどないアビスの活動だが、(これを聴いているのは8月)このショーなら最後に「よかった」と言える気がした。
といったメモ書きを書いて
落ち着いてから
恐る恐るもう1度音源を聴いて声を出して泣きました。
という出来事をキャストのみんなより
1ヶ月半早く体験していたので
みんなに聴いてもらうのをそれはそれは楽しみにしていたのです!
県大会の翌週、
今後の活動に関するミーティングをした後
スピーカーを囲んでみんなで音源を聴きました。
みんな僕と同じように身動き1つできない様子で音源を聴いていました。
それぞれのファースインプレッションをノートに書き留めて貰ったのですが、
その間、誰1人、口を開こうとはしませんでした。
「今は余計な言葉を漏らしたくない」
という空気がそこにはありました。
そしてメモを取り終えるとみんなで涙ぐみながらポツリポツリと感想を共有し合いました。
この時、
本当に色んな感想がみんなの口から出てきたのですが、
中でも
「あと半年で今年の活動が終わってしまうのが寂しい」という言葉が出てきて
「あぁアビスは本当にいい場所になったな」
とまた涙を流す代表市原でした。
2021年12月現在まだメインショー「one off」は完成していませんが、
キャストのみんなに早く聴かせたい!
と思ったのと同じように
この記事を読んでくださっているあなたにも
僕らの活動をそのまま表したこのショーを見て頂きたいと心の底から思っています。
②何かお忘れではありませんか?
そんなメインショーの衝撃に
色々吹っ飛びかけていましたが、
その時目の前にあったのは九州大会です。
九州大会で披露するサブショーの「spin off」は
一旦形になったものの、
諸事情により大幅に作り変える必要がありました。
サブショーを製作していたのは主に僕だったのですが、
この作り変えがかなり難航しました。
ここからの話は
僕の弱さはモロに出たお恥ずかしい話なのですが、
肝心なことを隠してしまうとこの記事を出す意味がなくなってしまうので正直に書いていきます。
このサブショーは
今シーズンの初めに書き始めていたのですが、
アビスの編成が特殊だった事もあり、
なかなか思い通りに書く事はできませんでした。
このショーを作った6月頃はどちらかというと
「今取り組むものが必要だから早急に製作せねば!」
という考えが強く出ていました。
それでもその時点では世に出せる作品ではありました。
ただ、その後トラブルが少々ありました。
元々このショーではオリジナル曲と既存の曲を折り混ぜて作っていたのですが、
既存曲が著作権の都合上使用するのが難しいというのがかなり後になってから判明しました。
そこで作り変える必要があったのですが、
・1から全て書き直すのは練習のスケジュール的に現実的ではない
・バラードとクローザーのみの書き直し
・人数の変更有り
・そもそもそんなに楽譜を書くのが得意でもない
・本音は「one off」のことで頭がいっぱい
といった具合で書けども書けども
一向にいいものは作れませんでした。
更に、前半でも書いた通り
メインショー「one off」のインパクトは
とてつもないもので、
この時の僕の頭にはこんなことが過ぎっていました。
「サブショーでこんだけ大変な思いするなら、いっそ九州大会への出演は見送って、
今からメインショーに取り組んだ方がいいのでは…
キャストのみんなも早くメインショーをやりたがってるし…」
この時、サブショーにどんなに手を加えても
作品として満足行くものにはできないという事に
薄々気づいていました。
頑張ればどうにかなるというものではなく、
根本的に欠陥があるというものでした。
いわば’どんなに練習しても完成しないショー’に
なってしまっていました。
そこに時間をかけるならキッパリ予定を変更してしまう方がいいのでは?
という選択も考えました。
かなり悩みましたが、
「spin off」というショーは
未完成なままのショーでいいという結論に至りました。
今書いているこの記事や
普段出しているYouTubeの動画のように
「今は未完成でも何かができる過程を皆さんに届けることが今の僕たちにできることだろう」
というのと同じように「spin off」も出そうと思ったわけです。
その後、どうにか「spin off」の書き換えも終わり、
九州大会に向けたサブショーと
その先に向けたメインショーを
同時並行で練習していくことになりました。
サブショーで苦労していた反面、
この頃のアビスはとても居心地のいい場所になっていました。
キャスト同士で
お互いの価値観を尊重できるようになってきて
明らかにみんなの表情が変わったのがこの時期でした。
シーズンが始まる際に
「一年かけてこんな雰囲気を作っていこう」
と思っていたものがそこにはありました。
ところが一見良好なこの雰囲気に
なんとも言えない危機感も感じていました。
ここが少々難しいところで
アビス雰囲気は格段に良くなったし、
それがうわべだけの物ではない事もわかっていました。
みんなそれまでにない充実感を感じてもいました。
ただ、
県大会までの1ヶ月は大きく変化がありましたが、
県大会が終わってからの1ヶ月は
それまでやって来たことの成果が出たという感じで、
あまり前進してはいませんでした。
この状況に僕はこんなことを考えていました。
「団体としての雰囲気は良くなったけれど、このままではシーズン頭にみんなが立てた目標は達成できない。
なんだか居心地が良くなってきて、このままなんとなく最後まで行けるとみんな思ってはいないだろうか?」
言葉を選ばずに言うと、
居心地のいい団体であるだけなら
アビスで活動する意味はありません。
むしろ絶えず変化し続けると言う事は
居心地がいいというものとは
対照的なものかもしれません。
居心地の良さを求めるなら
もっと適した環境があるはずです。
せっかくアビスに集まったみんななのだから、
そこがうやむやになってしまうことだけは
避けなければなりませんでした。
「絶えず変化し続けるのは大変なことだけど、大事なことに向き合わないならアビスで活動する意味がなくなってしまう」
この事にみんなで気づくというのを
九州大会のひとつの目標にしようと思っていました。
ですが、、、
少し後で分かるのですが、
この時キャストのみんなに感じていた危機感は
何を隠そう僕自身の弱い部分の現れでした。
九州大会が近づくにつれて
僕の生活もかなり慌ただしくなって来ました。
アビスの事だけではなく、
同時に運営している
ジュニアバンドも九州大会に出場するので、
アビスと同じように準備が必要だったり、
大会前という事で団体のレッスンも忙しい時期でした。
だいぶ余裕もなかった僕は
無意識にこんなことを考えるようになっていました。
「九州大会が終わればspin offを終わらせて
やっとone offに取りかかれる」
と。
ハッキリ言いますが、
この時サブショーの「spin off」が僕は嫌いでした。
自分で作ったショーなだけあって
練習していても構成の粗や
クオリティの低さが嫌でも目につくのです。
ましてや、
それをお客さんに見てもらうのは
かなり抵抗がありました。
どこかで失敗作だと思っているショーに
自信を持つ事ができなかったのでした。
それでも「アビスに必要な経験だから」と言い聞かせて大会へ参加しようとしている状態でした。
「九州大会さえ終われば…」
この頃はこればかり考えていたように思います。
キャストのみんなに
「居心地が良くなってなんとなくこのままいけばいい感じに終われると思ってたら俺たちはオワコンになる!」
と偉そうに言っていた僕は
「なんとなく「spin off」が終わるのを待っている」
という特大ブーメランを投げていたのです!
僕自身が自分の失敗から目を背けようとしているのに
アビスが前に進めるわけがありません。
この1ヶ月半停滞していたのは
何を隠そう僕自身だったのです。
この話は海月さんが気づかせてくれたのですが、
「あぁ…まだ俺はこんなにもザコなのか…」
と一瞬打ちのめされました。
ただ、ショックというよりは
「無自覚だった自分の弱さが分かって納得がいった」
という方が勝っていました。
そして「spin off」というショーは
'手探りで挑戦するも何ひとつ上手くいかなかった
これまでの記録みたいなものだな'
と思うと急に愛着が湧いて来ました。
「作品として完成することはないかもしれないけど、ちゃんと終わらせることはできる」
と思った僕は九州大会前日、
キャストのみんなに正直に話をしました。
サブショーは僕にとって失敗作だと思っていたこと
失敗作だと思っているものに
みんなで取り組んでもらう事に罪悪感を感じていたこと
自分の弱さから目を背けたまま先に進もうとしていたこと
前日になってしまったが、
取り返しのつかなくなる前にこの話ができたこと
このショーをちゃんと消化して終わらせるためにみんなの力を貸して欲しいということ
いろんな話をしました。
みんな僕の話を受け止めてくれ最後の練習を終えました。
活動記録 ep 19
https://youtu.be/vILFC5Fr6CY
そして迎えた九州大会当日
いろんな思いがありましたが、
余計なことを考えるヒマなど一切ない
過密スケジュールとなりました。
というのもジュニアバンドの運営は普段1人でやっているので、当然大会当日の引率もあります。
アビスとジュニアバンドでお互いの楽器の搬入をやったりと
会場での動きは協力体制でかなり練っていましたが、
当日にならないとわからない不確定要素がいくつもあり、
ひとつ狂うと最悪の場合
本番の時間に間に合わない人が出てくる
というような綱渡りでした。
子どもから大人まで
全員が脳みそフル稼働で挑んだ九州大会は
1つのトラブルもなく
100点満点の内容で無事終えることができました。
「spin off」はショーとしては
ひどく不完全なものでしたが、
アビスの活動の記録として
いつまでも残るものになりそうです。
「あの頃は作品ひとつまともに作れなかったよね」
と思い出す為の記念すべき作品となりました。
活動記録ep20 九州大会
https://youtu.be/Fq02Nm-BzHM
③来たるその日に向けて
九州大会を終えいよいよ
メインショーの「one off」に専念する時が来ました。
12月初旬にはクリエイターのナカベタカユキさんに
直接見て頂く事になっていたので、
どんな状態でお迎えするのか?
ということをこの期間はよく話し合いました。
一方で僕は11月の間、
アビスのみんなとは離れて活動していました。
この間僕は九州を離れて
大会やイベントの開催、団体への訪問などを
していたのですが、
一旦アビスから離れて多くの刺激を得つつ、
客観的にこれまでやって来たことを見直す機会となりました。
多くの刺激を受ける中で
ひとつシンプルな結論が出て来ました。
「このままだと来年アビスは活動できなくなるな」
その時、
活動がうまくいっていなかったわけではありません。
目指す方向性はブレていなかったし、
団体もキャスト一人一人も僕も確実に成長していました。
ですが、
僕たちは今年の活動を通して
「証明」をしようとしているんだという事を
再認識しました。
アビスの活動の目的は簡単にいうと
「マーチングを通して新しい価値観を提示する」
というものです。
そのためには
「そういう方法もアリなんだ!」
と言ってもらえるだけの説得力、
つまりクオリティが必要になるのですが、
その為に必要なクオリティはあまり付いてきていませんでした。
新しい価値観を提示したいが説得力がなく、
このままでは口だけの集団
↓
何の証明にもならない
↓
翌年そんな団体に入りたいと思う人はまずいない
↓
来シーズンスタートが切れずに解散
↓
〜THE END〜
と言う未来が垣間見えました。
九州に戻った僕はすぐにミーティングを開いて
「このまま終わらせてなるものか!
いっちょみんなで腹括ろうや!」
と伝えるのでした。
あっという間に11月は過ぎていき
いよいよあのお方を迎える日がやってきました。
ここは衝撃映像なので動画でぜひご覧ください。
メンバーの目つきや顔が変わる瞬間を奇跡的に動画に収める事に成功しました。
活動記録ep24 ベッキーさんレッスンday1
https://youtu.be/LXp88yf57Po
活動記録ep25 ベッキーさんレッスンday2
https://youtu.be/OQQpkxDo9H0
レッスンが終わって感想をシェアしてたあの時の光景は僕がずっと憧れてたものでした。
アビスには
こんなに素敵な想いを持った人が集まっているという事を「one off」という作品を通して
1人でも多くの人に届けたいと
強く思うようになった2日間でした。
⑤最後の3ヶ月はたたみ掛けますよ。
さて、
活動開始からこの年末までの出来事を振り返ってきましたが、
最後にこれからのことを少し紹介させてもらおうと思います。
これからアビスは大きく3つの本番に向けて活動しています。
・演奏会 3月20日
今シーズンは最後に演奏会を開催して締めくくりにします。
もちろん公に告知して一般開放しますが
これまでお世話になった人、
アビスの活動の集大成を見て欲しい人
を中心に見に来て頂きたいと考えています。
・動画撮影
アビスを応援してくださる方の中には演奏会を見にこれない方の方が多いと思うので
動画作品として「one off」をお届けします。
・訪問演奏 2月20日〜3月13日
個人的にはここがアビスらしい企画だなと思っています笑
演奏会を開催しますが、
僕らはまだまだ出来立ての団体なので
「見に来てください!」
と言ったところでお客さんなんて呼べません。
それでも今年の集大成を見てもらいたいと言う思いは強いので
どうするか考えた結果、
「こっちが見せたいものならお客さんに見に来てもらうのではなく、こっちから見てもらいに出向くのが筋だろう」
と思い立ったわけです。
最大で8ヶ所に訪問する予定で
現在3団体訪問させていただく事になりました!
もしこの記事を見てくださっている方で
「うちにも来て欲しい」
と言ってくださる方がいらっしゃったら
ぜひご連絡ください!
どんな人にでもメッセージが伝わるようなショーなので、
マーチング関係じゃない方にも見て頂きたいと考えています。
と言うわけで
前半後半に分けて
活動開始からこれまでの事を振り返ってきましたが、
いかがだったでしょうか?
結構長くなってしまいましたが、
これでもかなり内容を削っています…
僕としてはこれまでの変化が大きすぎて
書きながら
過去の自分が恥ずかしくなることばかりでしたが
逆にそれだけ成長してこれたんだなとこの記事を通して再確認する機会になりました。
この2本の記事では主に
これまであったことを紹介させもらいましたが、
次回はこれらの経験を踏まえて
今僕が考えている事、ようやく気づけた事について書いていきます。
次の記事を書くためにこの2本の記事を書いたようなものなので
ここまで読んで下さったあなたには必ず読んでいただきたい内容となっています。
最後まで読んでくださりありがとうございました。
ご感想をコメント欄に書いていただけるとすごく嬉しいです!
それでは次の記事でお会いしましょう!
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