ひとりの部屋
「つまらないな・・・」
昨日まで面白いと感じていたお笑いも番組も、漫画も、全てつまらない。
何も感じない。
それでも、夜に一人で部屋にいると人の声が聞きたくなって、僕は音楽を聴いた。
君の声はもう聞くことがないから。
お気に入りの曲が流れる。
それを歌っているのは、夢を叶えた人間。
それだけじゃない、テレビに映っている人も、漫画を書いている人も、全員夢を叶えた人たちだ。
部屋は冷えている。
突然、僕は叫びたくなった。
でも実際に出たのは嗚咽だった。
笑いたい。
それを誰かと共有したい。
自分の力で金持ちになってみたい。
圧倒的におもしろい人間になってみたい。
いつか、人の心を震わせたい。
泣いたとて、自分をやめることはできない。
そんなことはわかっている。
「さよなら」
透明な空間に、僕は呟いた。